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倉庫業者は物流効率化法で何を求められるか:努力義務・特定倉庫業者(70万トン)・荷主からの計測依頼

執筆:株式会社APT公開日:更新日:

経営層向けの要点

  • すべての倉庫業者に、自社の施設とその周辺での荷待ち時間、自社の施設での荷役等時間を短縮する努力義務があります。荷主にも寄託先の倉庫での短縮に努める義務があり、両者の連携が前提になっています。
  • 前年度の保管量が70万トン以上の倉庫業者は特定倉庫業者として指定され、中長期計画と毎年度の定期報告が必要です。CLOの選任義務はありません。
  • 荷主から個別の計測を頼まれたときは、費用の分担を含めて契約を見直したうえで応じることが望ましいとされています。

改正物流効率化法は、荷主だけでなく、倉庫業者にも荷待ち時間の短縮を求めています。荷主から「荷待ち時間を測ってほしい」「受付を予約制にしてほしい」と求められる場面も増えています。この記事では、国土交通省の手引きと判断基準の解説書をもとに、倉庫業者に求められていることを整理します。

すべての倉庫業者に課される努力義務

倉庫業法の登録を受けた倉庫業者は、規模にかかわらず、自社が管理する施設とその周辺での運転者の荷待ち時間、自社が管理する施設での荷役等時間を短縮する努力義務を負います。法律と判断基準では、次の措置が挙げられています。

  1. 荷主から寄託を受けた貨物の受渡し日時を運転者に伝えるときに、荷捌き場で荷役ができる台数を超えるトラックが一度に集中して到着しないようにすること
  2. 運転者に荷役などを行わせる場合に、バースなどの荷捌き場の拡張や、荷積みの前に貨物を倉庫から速やかに運び出しておくこと、荷卸しの後に貨物を速やかに倉庫へ運び入れることなど、荷役を円滑に進めるための措置

荷主の側にも努力義務がある

荷主にも、寄託先の倉庫での荷待ち時間・荷役等時間の短縮に努める義務が課されています。荷主の判断基準では、たとえば次のような取組が挙げられています。

  • 寄託先の倉庫への受発注を前倒しし、倉庫業者の作業時間を確保すること
  • 寄託先の倉庫から、出庫の日程や量の調整、定時便の設定などの提案があった場合に、必要に応じて協力・連携すること

つまり、倉庫での荷待ちは「倉庫だけの問題」ではなく、荷主と倉庫業者が連携して減らすものと位置づけられています。荷主の受発注のタイミングが原因で待ちが生じているなら、そのことを数字で示して提案することが、倉庫業者の側からできる打ち手になります。

特定倉庫業者に指定されると

前年度の保管量が70万トン以上の倉庫業者は、特定倉庫業者として指定されます。保管量は、寄託を受けて自社の倉庫に入庫した貨物の重量の合計です。トラックを使わずに搬入した貨物や、自社の倉庫を経由せず再寄託先の倉庫に直接搬入された貨物は、算定の対象になりません。基準は、大手から順に、全国の倉庫業の保管量の半分程度を占める事業者が指定される水準とされています。

手続(国土交通省の規則の様式番号) 内容 期限
保管量の届出(様式第5) 保管量が基準以上であることの届出 基準以上となった年度の翌年度の5月末
中長期計画(様式第7) 荷待ち時間・荷役等時間の短縮に向けた計画。計画期間は5年以内 指定を受けた年度の7月末(2026年度は10月末)。変更がなければ最長5年に1度
定期報告(様式第8) 判断基準の遵守状況、荷待ち時間等の計測結果など 指定を受けた翌年度から毎年度7月末

様式の番号は倉庫業者向けのもので、荷主向けの様式とは番号の付け方が異なります(たとえば荷主の定期報告書は様式第5です)。

特定荷主と違い、特定倉庫業者には物流統括管理者(CLO)の選任義務はありません。

定期報告での荷待ち時間等の計測

定期報告では、荷待ち時間等の計測対象の選び方、対象施設の一覧、施設ごと・月ごとの平均時間を記載します。全施設・全受渡しの計測が難しい場合は、次のサンプリングが認められています。

  • 対象施設:保管量の半分程度を把握することを念頭に、年間の保管量が大きい施設、または実態を把握すべき施設(入庫が多い施設、トラック事業者から苦情があった施設など)
  • 対象期間:四半期ごとに任意の連続した5営業日以上。前年度の月別の売上から、各四半期で売上が最も低いと見込まれる月は除く(施設ごとではなく、事業者全体の売上で判断してよい)
  • 対象受渡し:原則として、対象施設で計測したすべての受渡し

手引きでは、1回の受渡しの荷待ち時間等の平均が1時間未満の場合などは、報告を省略できるとされています。なお、国の「物流効率化法」理解促進ポータルサイトの定期報告のページでは「1時間以内」と書かれており、サンプリングと報告の省略について「検討されています」という表記も残っています(2026年10月24日確認)。提出の前に、最新の手引きと様式で確認してください。

荷主から計測や改善を求められたら

国の手引きでは、倉庫での荷待ち時間等の短縮には荷主にも努力義務があることから、荷主から個別に切り分けた荷待ち時間等の計測やデータの提供を頼まれる場合がある、としています。その際は、費用分担に関する契約の見直しを行ったうえで応じることが望ましいとされています。

話し合いを進めるうえで、次の点を整理しておくと役立ちます。

  • 自社の施設のどこで、どの工程に時間がかかっているか(受付、待機、荷役、検品)
  • 待ちの原因が、自社の設備・人員なのか、荷主の受発注のタイミングや納品条件なのか
  • 計測・データ提供にかかる手間と費用、それをどう分担するか
  • 予約受付システムの導入や、バース・設備の更新など、改善の選択肢とその費用

複数の荷主が使う倉庫では

複数の荷主の貨物を扱う倉庫では、荷主ごとに受渡しの日時が決まると、同じ時間帯にトラックが集中しやすくなります。判断基準でも、荷主から寄託を受けた貨物の受渡し日時を運転者に伝えるときに、荷捌き場で荷役ができる台数を超えるトラックが一度に集中しないようにすることが求められています。到着の時間帯を倉庫全体で割り振る仕組み(予約受付など)を検討しておくと、荷主それぞれとの話し合いの土台になります。

なお、荷主向けの国の手引書では、複数の荷主が共同で利用する施設(共同配送センターや、倉庫の区画を借りている場合など)は責任の切り分けが難しいため、荷主の計測の対象から外せるとされています。一方で、できる範囲で施設全体の荷待ちの状況を関係する事業者と共有し、短縮に努めることが望ましいともされています。どの範囲を測るかの考え方は荷主によって異なることがあるため、荷主ごとに確認しておくと安心です。

よくある質問

特定倉庫業者に指定されない倉庫業者は、物流効率化法で何もしなくてよいのですか。
いいえ、倉庫業者は規模にかかわらず、荷待ち時間等を短縮する努力義務の対象です。国は判断基準をもとに指導・助言を行うことができます。
特定倉庫業者は、すべての倉庫で荷待ち時間を測る必要がありますか。
いいえ、すべての倉庫で測る必要はありません。全施設・全受渡しの計測が難しい場合は、保管量の半分程度を把握できる施設を選び、四半期ごとに連続5営業日以上を測る方法が、国の手引きで示されています。
荷主から、その荷主の貨物だけの荷待ち時間を測ってほしいと頼まれたら、倉庫業者は応じる必要がありますか。
費用の分担を含めて契約を見直したうえで応じることが望ましい、とされています。国の手引きでは、倉庫での荷待ち時間等の短縮には荷主にも努力義務があるため、荷主から個別に切り分けた計測やデータの提供を頼まれる場合があるとしています。

出典

制度の内容の最終確認日:

制度の内容は変わることがあります。最新の情報は出典のページでご確認ください。

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