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営業倉庫(1類倉庫)の施設設備基準を解説
営業倉庫は、法令によって厳格な施設設備基準が定められています。倉庫業登録をする場合、一定の基準をクリアしなければならないため、どのような施設設備基準になっているのか把握しましょう。
そこで本記事では、営業倉庫の基本となる分類を解説するとともに、もっとも施設設備基準が厳しい1類倉庫を例にして解説します。今後1類倉庫の運営を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
営業倉庫の分類
倉庫業法の定めている営業倉庫とは、主に以下の3つに分類されています。
・普通倉庫業
・冷蔵倉庫業
・水面倉庫業
普通倉庫業は、農業や製造業に鉱業などのほかにも、一般的な消費者財産を保管する施設といった具合に、非常に幅広い用途・目的に沿った倉庫形態です。そのため、1類〜3類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫、危険品倉庫、トランクルームなど、倉庫業法ではさらに細分化されています。
冷蔵倉庫業については、畜産物や農産品、冷凍食品など、常時10℃以下で商品を保管する施設のことを指します。なお、水面倉庫業は、原木などの第5類物品を水面上で保管する施設のことを指しており「水面貯木庫」とも呼ばれています。
営業倉庫(1類倉庫)の施設設備基準
上記で解説した営業倉庫の種類によっても、施設設備基準は変わってきます。そのため、正確な施設設備基準を確認する場合、どの倉庫種別に分類されるか確認した後に、該当する施設設備要件をチェックしましょう。
なお、ここからは、もっとも施設設備基準の厳しい1類倉庫を例にして解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
使用権限
倉庫の施設設備基準「使用権限(第一号)」では、建物の使用権限が定められています。この使用権限では「申請者が当該倉庫の所有権または賃借権を有していること」とされています。
自社で倉庫を保有している場合は、登録申請する際の提出書類として不動産謄本が求められます。一方、賃貸物件だった場合、提出書類として賃貸借契約書などが必要になります。
関係法令への適合性
規則第3条の3第2号「関係法令への適合性」で、1類倉庫は以下の法令適合性を求められます。
イ 建築基準法(告第2条第1号)
特殊建築物に該当する倉庫として使用される部分の面積が100㎡以上の建築物その他建築基準法第6条第1項各号に該当する倉庫については、建築基準法の規定(建築基準法第6条第1項の建築基準関係規定(後述)を含む。)に適合していることを要します。
ロ 建築基準関係規定(告第2条第2号)
建築基準法第6条第1項各号に該当しない倉庫については、建築基準法第6条第1項の建築基準関係規定のうち以下に掲げるものに適合していることを要します。
(1)消防法第17条第1項
倉庫は、消防法上防火対象物とされているため、消防法第17条第1項に定める技術上の基準に従って、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設を設置し、及び維持することを要します。
(2)港湾法第40条第1項
港湾法第39条第1項の規定に基づき港湾管理者が分区を設定している地域に設けられる倉庫にあっては、同条第40条第1項の規定により当該分区の用途に適合していることを要します。
(3)都市計画法第29条第1項又は第2項
都市計画区域等に設けられる倉庫にあっては、都市計画法第29条第1項又は第2項に規定するところによりその建築に際し開発許可を取得していることを要します。
土地への定着性
規則第3条の4第2項第1号「土地への定着性」では、建築可能な水面や海底を含む土地に対して、定常的に定着されている状態が求められています。一般的な陸地に建築されている倉庫はもちろんのこと、容易に移動できない水面施設も含まれます。
ただし、簡単に撤去や移動ができる船舶や工作物については、土地に定着しているとは認められないため注意しましょう。
軸組み、外壁又は荷ずりの及び床の強度
則第3条の4第2項第2号「軸組み、外壁又は荷ずりの及び床の強度」では、該当施設の外壁や軸組み、荷ずりや床の強度について、国土交通大臣の定める基準に適合していることとされています。
なお、具体的な基準では、外壁などで「2500N/㎡以上の荷重に耐えられる強度」、床面で「3900N/㎡以上の荷重に耐えられる強度」とされています。
水の浸透を防止する構造及び設備
規則第3条の4第2項第3号「水の浸透を防止する構造及び設備」では、建物内部に水が浸入しないための防水措置に関する規定が定められています。なお水の浸透を防止するための措置として、防水塗装やルーフィングなどが講じられていることとされています。
また、水の浸透を防止する設備として、雨樋などの排水設備を有することとされています。なお、排水設備については排水勾配の規定などもされているため、基準を満たす設置内容にしなければなりません。
床の防湿措置
規則第3条の4第2項第4号「床の防湿措置」では、床面からの水分の浸透や結露を防ぐための措置が講じられていることとされています。具体的には、床面がアスファルト舗装や金ゴテ押さえによって防湿措置しなければなりません。
それ以外にも、床下換気孔が設けられているなど、結露を防ぐための有効な措置を実施していることで要件を満たすことが可能です。
遮熱措置
規則第3条の4第2項第5号「遮熱措置」では、建物内部に侵入する熱貫流率に関する基準が定められています。この熱貫流率とは、いわゆる「熱の伝わりやすさ」を数値化したもので、断熱性能を表す数値となります。
なお、1類倉庫で定められている具体的な数値については、平均熱貫流率が4.65W/㎡・K以下になるような措置が講じられていることとされています。
耐火性能又は防火性能
規則第3条の4第2項第6号「耐火性能又は防火性能」では、倉庫の防火構造についての規定が定められています。遮熱措置の断熱性とは違って、建築基準法の定める防火性能や設備についての項目になります。
なお、この項目で定められている防火構造とは、建築基準法第2条第9号の2で定められている耐火建築物と、建築基準法第2条第9号の3に定める準耐火建築物とされています。
災害防止上有効な構造又は設備
規則第3条の4第2項第7号「災害防止上有効な構造又は設備」では、危険物などを扱う施設や国土交通大臣の定める施設に該当する倉庫を対象に、災害防止の観点から建物周辺に施設がないことが規定されています。
内容については細かく規定されており、例えば労務員詰所のような「居室を有する施設」の場合、倉庫の外壁から3m以上離れていなければなりません。
防火区画
規則第3条の4第2項第8号「防火区画」では、火気又は危険物等を取り扱う施設を対象に、防火壁や防火設備によって区画することを規定しています。なお、対象となる施設は、喫煙所や焼却炉、ボイラーなどの火気を取り扱う施設とされています。
また、危険物を取り扱う施設に関しては、高圧ガスなどの燃焼しやすい物品を取り扱う施設とされています。
消火器具
規則第3条の4第2項第9号「消火器具」では、倉庫内に消火器具を配置することが定められています。消火器具の配置は「消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第6条の基準に適合していること」とされています。
なお、上記基準が適用されない150㎡未満の倉庫であっても、150㎡の倉庫と見なして当該基準を適用するとしています。
防犯上有効な構造及び設備
規則第3条の4第2項第10号の「防犯上有効な構造及び設備」では、防犯に関する規定が定められています。具体的には、施錠できる出入り口扉の設置や、盗難防止の観点からの警備体制、隣接部分から倉庫を遮断することが規定されています。
なお、隣接部分からの遮断については、寄託者の流通加工施設など、関係者用のスペースだった場合、遮断措置は不要とされています。
そ害の防止設備
規則第3条の4第2項第11号の「そ害の防止設備」では、鼠の侵入によって保管物に被害が出ないように防止措置を施すことが規定されています。なお具体的な措置としては、地窓や下水管から通じる部分に金網を設置するなどとしています。
また、出入り口が密閉できない作りの場合、閉鎖時に鼠返しなどの予防策を講じる必要があります。
まとめ
営業倉庫の事業運営をおこなう場合、今回解説したようにさまざまな施設設備要件をクリアしなければなりません。なお、要件を満たさない倉庫物件に関しては、倉庫業の登録自体ができないため注意しましょう。
また、今回解説した設備要件については、営業倉庫の中でも基準が厳しい1類倉庫となりますが、営業倉庫の種類によっては要件が変わってくるため、自社の運営で該当する施設設備要件を確認するようにしましょう。
この記事の筆者
株式会社APT
世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。
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