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倉庫管理システム(WMS)で生産性を向上!導入流れと費用を解説

倉庫管理システム(WMS)

物流業務の現場では、人手不足や誤出荷、在庫の不一致といったさまざまな課題が生じます。こうした課題を解決し、生産性を大きく向上させる手段として注目されているのが倉庫管理システム(WMS)です。

そこで本記事では、WMSの基本的な役割から導入までの流れ、費用相場、導入時の注意点まで、はじめて導入を検討する方にもわかりやすく解説します。

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倉庫管理システム(WMS)とは?

倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)とは、倉庫内における入出庫・在庫・ロケーション・作業進捗などを一元管理するシステムです。従来、紙の伝票やExcelで行っていた業務をデジタル化・自動化することで、人手不足の解消や業務の効率化、ヒューマンエラーの削減などのメリットがあります。

WMSは単なる在庫管理システムにとどまらず、受注・出荷に至る一連の物流オペレーションを標準化・可視化する役割も果たします。例えば、ロケーションごとの在庫数の把握、入荷時の検品、ピッキング指示、出荷トレーサビリティなどがリアルタイムで確認できるようになり、管理者の判断が迅速かつ正確に行えるようになります。

倉庫管理システムとは?それぞれの特徴と選び方のポイントを解説

倉庫管理システム(WMS)の導入の流れ

WMSの導入には、明確な手順と事前準備が欠かせません。システムの選定や設定だけでなく、現場とのすり合わせや教育も重要なポイントです。

そこでここからは、初めて導入を検討する企業に向けて、導入までの一般的な流れを5つのステップに分けて解説します。

1.現状の課題整理と要件定義

WMSを導入する際には、まず自社の倉庫業務における課題を明確にすることが重要です。誤出荷、在庫差異、作業の属人化など、現場で発生している問題点を洗い出し、業務フローを図式化して整理します。

そのうえで、「どの業務をどのように改善したいか」を明文化し、WMSに求める機能要件を具体的に定義します。この段階で要件が曖昧なままだと、導入後に「現場に合わない」「必要な機能がない」といったトラブルにつながるため、現場とのヒアリングや部門横断的な検討が大切です。

2.WMSの選定・比較

次のステップは、自社の業務要件に合ったWMSを選定することです。WMSには大きく分けて、既製品をベースとした「パッケージ型」と、オーダーメイド開発の「フルスクラッチ型」があります。

また、クラウド型かオンプレミス型かも選定ポイントです。複数のWMSを比較し、導入実績、サポート体制、拡張性、ベンダーとの相性も含めて検討しましょう。費用面だけで判断せず、長期的な運用における効果や柔軟性を重視することが大切です。

3.システム開発・カスタマイズ

選定したWMSに対して、自社の業務に合わせたシステム設計やカスタマイズを行います。パッケージ型であっても、現場の運用ルールやレイアウトに応じて設定変更や機能の追加が必要になることが多いため、ベンダーと緊密な連携が必要です。

また、基幹システムや他の業務システムとデータ連携を行う場合は、インターフェースの仕様も重要になります。この段階では、開発と並行してテスト環境を構築し、実際の運用を模した動作確認を行うことが望ましいです。

4.現場導入・操作研修

システムが完成したら、実際の倉庫現場に導入し、運用を開始する前にスタッフへの操作研修を行います。WMSは現場スタッフが日常的に使用するツールであるため、直感的な操作性や教育のしやすさも重要です。

また、研修後には現場用のマニュアルやFAQも整備し、誰でもすぐに対応できる環境を整えることが大切です。教育が不十分なまま本稼働に移行すると、現場で混乱が生じ、導入効果が薄れてしまうため、段階的な移行や試験運用を取り入れるのも効果的です。

5.本稼働の開始

研修や試験運用を経て、いよいよWMSの本稼働を開始します。この段階では、操作ミスや想定外のトラブルが発生することもあるため、初期段階でのサポート体制を万全に整えておくことが重要です。

また、稼働後も定期的に現場の声を収集し、業務フローや設定の見直しを行うことで、WMSの運用精度を高めていきます。日々蓄積されるデータを活用し、作業効率の分析や人員配置の最適化、さらなる自動化への展開も視野に入れることで、効率的な運用を実現できるでしょう。

倉庫管理システム(WMS)の費用相場

倉庫管理システム(WMS)の費用相場

WMSの導入費用は、導入規模や機能、運用形態によって大きく異なります。小規模倉庫向けのクラウド型WMSであれば、初期費用0〜100万円程度、月額1万〜数十万円が一般的です。

一方、オンプレミス型や大規模対応のフルスクラッチ開発では、初期費用が数百万円〜数千万円にのぼることもあります。費用には、ソフトウェアライセンス料、端末機器、カスタマイズ開発費、教育研修費、保守サポート費などが含まれます。

倉庫管理システム(WMS)を導入する際の注意点

WMSは大きな効果をもたらす一方で、準備不足や体制の不備によって期待した成果が得られないこともあります。

そこでここからは、WMSを導入する際に注意すべき重要な観点を3つに分けて詳しく解説します。

関係先・他部門との連携

WMSを導入する際は、倉庫部門だけでなく、営業・購買・経理・ITなど他部門との連携が重要です。例えば、受発注データのやり取りや基幹システム(ERP)との連携を考慮せずに導入を進めると、二重入力やデータ不整合が発生し業務の混乱を招きます。

そのため、導入初期から関係部署を巻き込み、業務フロー全体を俯瞰したうえで要件定義を行うことが大切です。社内の合意形成を図り、組織全体でWMS導入を支える体制を整えることが重要です。

導入コストとカスタマイズ費用の管理

WMS導入では、当初の見積もり以上に費用が膨らむケースが少なくありません。特に業務に合わせたカスタマイズを繰り返すと、開発工数が増加し想定外のコストが発生します。

また、要件定義の段階で、将来的に追加される可能性のある機能も見越しておくことで、後の改修費用を抑えることができます。都度の仕様変更には事前承認フローを設け、予算管理を徹底することも大切です。

コストと効果のバランスを常に意識しながら、無理のない投資計画を立てることが成功のポイントです。

サポート体制の確認

WMSの運用を安定させるためには、導入後のサポート体制が極めて重要です。操作トラブルや不具合は稼働初期に起こりやすく、迅速な対応が必要になるでしょう。サポートが電話・メール・チャットのいずれに対応しているか、対応時間は平日のみか、24時間365日かなど、契約前に確認しておく必要があります。

また、マニュアルやFAQの提供の有無、操作教育の継続的な提供、バージョンアップ時の対応なども評価ポイントとなります。ベンダーによってサポートの質や範囲には差があるため、単に価格だけで判断せず、実際の運用時にどれだけ支援が受けられるかを重視するべきです。

まとめ

倉庫管理システム(WMS)は、在庫精度の向上や業務効率化、ヒューマンエラーの削減など、多くの効果をもたらすツールです。しかし、導入にあたっては現状の課題整理から始まり、他部門との連携、費用管理、導入後のサポート体制まで、多角的な視点で検討する必要があります。

部分的な最適化にとどまらず、組織全体の物流戦略としてWMSを位置づけ、段階的かつ計画的に導入を進めることが成功のポイントです。

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この記事の筆者

株式会社APT

株式会社APT

世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。