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移動棚型自動倉庫のメリット・デメリットと事例を紹介
人材不足の解消、保管効率の向上など、倉庫が抱えている課題やニーズはさまざまです。これらの多様な問題を改善させる方法として、近年、注目を浴びているのが「自動倉庫システム」の導入です。
ただし、自動倉庫システムにはさまざまな種類があるため、倉庫内の課題をきちんと解決できるシステムを選択しなければなりません。
そこで本記事では、自動倉庫のなかでも保管量アップが期待できる「移動棚型自動倉庫システム」について深堀りして解説をしていきます。導入によって得られるメリットや、反対に事前に理解しておかなければならないデメリットなども詳しく解説していきます。
これから導入を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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移動棚型自動倉庫とは?
多くの倉庫で採用されている移動棚型自動倉庫は、棚が移動することで格納効率をアップさせるシステムです。なお、別名で「自動ラックシステム」や「移動ラックシステム」と呼ばれているケースもあります。
このシステムの大きな特徴は、棚自体が移動して「高密度の格納・保管」ができるようになるということ。従来、商品を格納するためには通路が必要になってきますが、棚が移動できるようになるため、倉庫内で確保している通路スペースを削減できるようになります。
一般的な倉庫内の通路スペースは、実に40%を超えていることも多いです。しかし、移動棚型の自動倉庫システムを導入すれば、これらのスペースを削減できるようになるため、保管量の向上や格納効率のアップが期待できます。
移動棚型自動倉庫のメリット
そんな移動棚型自動倉庫システムは、導入によって非常に多くの恩恵を受けることができます。しかし、メリットの部分が必ずしも自社のニーズや課題解決につながるとも限りませんので、事前に確認しておく必要があります。
そこでここからは、移動棚型自動倉庫を導入した場合のメリットについて、詳しく解説していきます。
通路エリアも有効活用
移動棚型自動倉庫は、商品を格納している棚自体を自動で移動できるシステムです。フォークリフトなどが通る作業用の通路は、1列確保するだけで済むようになるため、従来通路だったスペースも保管エリアとして活用できるようになります。
これまで、デットスペースとなっていた通路幅を設置スペースに転換して有効活用できるようになるため、固定されている棚と比較しても、保管効率や格納効率が劇的に向上するでしょう。
操作が簡単
また、移動棚型自動倉庫システムの多くは、操作性も簡略化されているため非常に簡単です。タッチパネルや簡易的な操作パネルが用意されているため、棚を移動させるために特別な労力は必要ありません。
最近では使いやすさに配慮された設計のモデルも多く、ワンタッチで操作できるタイプなどもあります。そのため、操作を周知させるための教育コストも抑えることができるでしょう。
重量物も安全に格納
移動棚型自動倉庫にもさまざまなモデルが展開されており、保管したい商品の種類や運用方法に合わせて選ぶことができます。例えば、重量物を扱っている場合は、重量物用移動棚を選ぶことで安全に格納できるようになります。
なお、移動棚型自動倉庫は安全性に配慮された設計になっているため、障害物センサーなどさまざまなシステムが搭載されています。
移動棚型自動倉庫のデメリット
倉庫内の作業効率や保管効率を大幅に向上できる自動倉庫システムですが、導入する際にはきちんとデメリットも把握したうえで、比較検討しなければなりません。
そこでここからは、移動棚型自動倉庫システムを導入する場合、どのようなデメリットが想定できるのかを解説していきます。
設備投資費用
通常の大型ラックとは違って、移動棚型自動倉庫はコンピューター制御をおこない操作をするラックシステムです。移動型のラック自体の設置工事はもちろんのこと、システム構築をするためには多額の導入費用がかかってきてしまいます。
そのため、仮に導入する場合「どの程度の期間で設備投資した費用を回収できるか」を確認しなければなりません。場合によっては費用対効果が薄いケースもあるため、きちんとシミュレーションしましょう。
トラブルの対応
自動倉庫システムは、コンピューター制御によって機械を稼働させますが、場合によってはシステム障害や機械トラブルが発生してしまうケースもあります。特に移動棚型自動倉庫システムの場合は、通路スペースもシステムで制御しているため、トラブル時には一時的に入出庫ができなくなってしまうようなこともあるでしょう。
以上のことからも、トラブル発生時には「どのようなフローで復旧していくのか」をマニュアル化して周知・徹底させる必要があります。小さなトラブルでも業務全般に影響してしまう可能性もあるため、トラブル対応は事前に明確にしておきましょう。
メンテナンス費用
自動倉庫システムを取り扱う際には、トラブルなどを未然に防ぐためにも、定期的なメンテナンス費用が別途必要になります。機械のメンテナンスや保守点検作業はもちろんのこと、自動倉庫はコンピュータのシステムもメンテナンスが必要になります。
大規模なシステム障害などのリスクを抑えるためにも、メンテナンスサポートを受けていかなければならないことは理解しておきましょう。
移動棚型自動倉庫の事例
格納する棚ごと動かせる移動棚型自動倉庫システムは、限られた倉庫内スペースを有効活用できるため、さまざまな企業で導入されています。
そこでここからは、実際に移動棚型自動倉庫システムを導入した企業例をもとに、改善されたポイントなどを紹介します。
作業時間を大幅に短縮
もともとは固定棚で保管していたものの、保管能力が限界に達してしまったため、移動棚型自動底システムを導入した事例。
限られた倉庫内の設置スペースも、移動棚型自動倉庫にして省スペース化を実現。もともとの保管能力の約二倍を達成し、保管量が大幅に改善しました。また、ロケーション管理を明確にして格納効率もアップ。作業動線も短縮できたため、総じて生産性も向上しています。
保管効率の向上
消防法の規定によって保管できる延床面積に制限があった事例。固定棚では必要としている保管量を確保できないため、移動棚自動倉庫を導入することになりました。
石油製品を取り扱う企業だったため、防爆仕様の移動棚型自動倉庫システムを導入。固定棚の保管量を大幅に超える2倍の保管効率を実現。倉庫内で制限された延床面積でも、想定する保管量を実現させることができました。
まとめ
移動棚型自動倉庫システムは、通路スペースなども省略できるため、倉庫内のスペースを有効活用して保管効率を上げることができます。また、操作性も非常に簡単で、高度な技術を持つ作業員を配置する必要もないため、労働単価も抑えることができるでしょう。
ただし、導入する際には多額の設置・構築費用がかかってくるため、実際にどの程度コスト削減をできるのか、費用対効果を確認しつつ、比較検討するようにしてください。
この記事の筆者
株式会社APT
世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。
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