運営:株式会社APT(メーカーを問わない物流エンジニアリング会社)資料ダウンロード

荷待ち時間・荷役等時間の計測方法:定期報告に向けた対象施設・期間・記録項目の決め方

執筆:株式会社APT公開日:更新日:

経営層向けの要点

  • 定期報告では、荷待ち時間と荷役等時間の平均を、施設ごと・月ごとに報告します。始点と終点の決め方や、除ける時間は国が定めています。
  • 全施設を測らなくてもよく、区分ごとの取扱重量の半分程度を把握できる施設で、四半期ごとに連続5営業日以上を測る方法が示されています。
  • 報告に必要な2つの時間だけでなく、工程ごとの時刻を残しておくと、どこに投資すべきかを判断する材料になります。

特定荷主の定期報告では、荷待ち時間と荷役等時間の平均を施設ごとに報告します。初回の報告は、2026年度に指定された企業なら2026年度の実績を2027年7月末までに出すため、まだ計測を始めていない場合は、残りの四半期で測れるよう、すぐに「何を、どこで、いつ測るか」を決める必要があります。

何を荷待ち時間・荷役等時間と数えるか

国は2つの時間を次のように定めています。

  • 荷待ち時間:トラックドライバーが、集貨・配達の場所などで、荷主などの都合で貨物の受渡しのために待機した時間
  • 荷役等時間:トラックドライバーが、荷積み・荷卸し、検品、荷造り、搬出・搬入、保管、仕分、商品陳列、ラベル貼り、代金の取立て・立替え、荷主などが行う荷役への立会いなどの附帯業務に従事した時間

荷待ち時間の始点と終点

荷待ち時間の終点は、どの場合も「荷役等を開始した時刻」です。始点は、到着時刻の指示を出しているかどうかで変わります。

状況 荷待ち時間の始点
到着時刻・時間帯の指示がない 到着した時刻(到着後すぐに受付をした場合は受付の時刻)
指示より前に到着した 指示した時刻
指示した時間帯の中に到着した 到着した時刻(同上)
指示より後に到着した 到着した時刻(同上)

指示より前に到着した場合も、指示した時刻より前に毎回2時間以上の待機が生じ、トラック事業者が交渉しても改善されないときなどは、実質的に指示がないものとして到着した時刻から数える可能性があるとされています。

トラック事業者の都合で到着が遅れた場合も、遅れにかかわらず通常生じる範囲の待ち時間は荷待ち時間に当たります。遅れのために順番が後ろにずれて生じた追加の待ち時間は、荷待ち時間から除けるとされています(ただし、意図的に過度な長時間の待機を強いた場合は、荷待ち時間に含まれる可能性があります)。天候や交通事情など、荷主などの責任によらずに生じた荷待ちも、通常生じる範囲の待ち時間を除いて、荷待ち時間から除けるとされています。

休憩の扱いにも注意が必要です。ドライバーが業務上の指示などで休憩する時間は含まれませんが、受け入れる側の休憩時間のために荷卸しができずに待った時間は、荷待ち時間に含まれます。

荷役等時間の数え方

荷役等時間は、荷役等を始めた時刻から終えた時刻までで、荷役等に従事していない時間は除きます。荷卸しと荷積みを同じ場所で行う場合は、それぞれを別の荷役等時間として数えることができます。

荷主や倉庫の側が荷役を行う場合でも、ドライバーがすぐに車両を動かせる状態での待機や、荷役への立会いを求められていて、実質的に休憩がとれていない時間は、荷役等時間に含まれます。一方、少し離れた待機場所から荷役をする場所までトラックで移動する時間は、運送の時間と考えられるため、荷役等時間に含める必要はないとされています。

どの施設・期間を測るか

全施設・全運行を測るのが難しい場合は、対象を選んで測る方法(サンプリング)が認められています。国の手引書(特定荷主編)が示す最低限の目安は次のとおりです。

項目 目安
対象施設 特定第一種荷主・特定第二種荷主の区分ごとに、年度の取扱貨物の重量の半分程度以上を把握できるよう、自社が管理する施設から選ぶ。取扱重量が多い施設か、改善のために実態を把握すべき施設を優先
計測期間 四半期ごとに、原則として貨物の受渡しがある営業日を連続して5日以上。前年度の月別の売上から、各四半期で売上が最も低いと見込まれる月は除く
対象運行 原則として、対象期間中の対象施設での全運行

寄託先の倉庫を計測の対象から外す場合は、その取扱重量を、半分程度を計算するもとの重量からも除けます。

対象運行からは、次のような運行を除けるとされています。

  • 郵便物・信書便物
  • 宅配便(1個30kg以内で、同時に受け渡す貨物の合計が150kg未満のもの。特定第二種荷主は合計の重量にかかわらず除ける)
  • 取扱重量の合計の1%程度までの、軽微な資材・事務用品など

予定していた受渡しが予期せずなくなった場合に、計測期間を変えることまでは求められていません。

なお、国のポータルサイトの定期報告のページでは、サンプリングについて「検討されています」という表記が残っています(2026年10月24日確認)。計測を始める前に、最新の手引書で確認してください。

工程を分けて記録する

荷待ち時間と荷役等時間は、原則として分けて計測します(分けられない場合は合計でもよいとされています)。報告に必要なのは2つの時間ですが、改善につなげるには、さらに工程ごとの時刻を残しておくと原因が見えます。

  1. 1到着・受付
  2. 2待機
  3. 3荷役(積み降ろし)
  4. 4検品・附帯作業
  5. 5出発

荷待ち時間に当たる工程(到着または受付から荷役の開始まで)荷役等時間に当たる工程

たとえば「待機が長い」のか「荷役が長い」のかで、打ち手はまったく違います。待機が長ければ、受付の予約制や到着時刻の分散が効きます。荷役や検品が長ければ、パレット化、入出荷の動線、バースや設備の見直しが候補になります。

1つの事業所に停める場所が複数あり、1回の運送で複数の施設を回る場合は、原則として施設ごとに計測します。施設ごとに切り分けて測れない場合に限り、事業所全体を1つの施設として測ることもできますが、構内を走る時間が含まれ、荷待ち時間等が実態より長く出ることがあります。

測り方の選び方

手引書では、次のような方法が例として挙げられています。

  • トラック予約受付システムなどで、到着・出発の時刻を自動で記録する
  • トラック事業者の運行記録(デジタルタコグラフ)のデータを共有してもらう
  • 入退場の記録簿の集計や、現場担当者・ドライバーへの聞き取りで、おおよその平均を把握する

最初から全施設にシステムを入れる必要はありません。まずはサンプリングの対象施設で記録の様式を決め、工程ごとの時刻を残す運用を始めることが現実的です。

記録の様式には、たとえば次の項目を入れておくと、荷待ち時間と荷役等時間を分けて集計でき、どの工程で時間がかかっているかも見えるようになります。

  • 施設、日付、運送会社と車両
  • 到着時刻(受付をした場合は受付時刻)、指示した到着時刻・時間帯
  • 荷役・検品・附帯作業のそれぞれの開始時刻と終了時刻、出発時刻
  • ドライバーが業務から完全に離れていた休憩などの時間
  • 遅れや待機の理由(トラック事業者の都合、天候、受け入れる側の休憩など)

国の手引書では、荷主・物流事業者・システム事業者のあいだでデータをやりとりしやすくするため、物流情報標準ガイドラインの「運送完了報告情報」の項目(到着時刻、運送完了日、運送完了時刻など)と値の形に合わせることが推奨されています。あとから予約受付システムなどに切り替えるときも、項目をそろえておけば記録を続けて使えます。

寄託先の倉庫の扱い

寄託契約を結んでいる倉庫業者の施設は、計測の対象から外せるとされています。そのかわり、定期報告書には、主要な寄託先などとの連携状況を記載する必要があります。寄託先の倉庫業者自身も、特定倉庫業者に指定されていれば、自社の施設で荷待ち時間等を計測・報告する立場にあります。

荷待ち時間の目標は1時間以内(国の基本方針)

国の基本方針では、荷主などは1回の受渡しごとの荷待ち時間等について、原則として目標を1時間以内とし、やむを得ない場合を除いて2時間を超えないよう短縮するものとされています。定期報告でも、手引書では1回の受渡しの平均が1時間未満の施設は報告を省略できるとされています(ポータルサイトでは「1時間以内」と表記)。省略できる条件の詳細は、定期報告書の書き方の記事で整理しています。

拠点の改善目標としても、わかりやすい目安です。待機は受付の分散や予約で、荷役と検品は入出荷の動線や設備の見直しで縮めます。

よくある質問

物流効率化法の荷待ち時間に、ドライバーの休憩や、受け入れる側の昼休みの待機は含まれますか。
ドライバーの休憩は含まれませんが、受け入れる側の休憩時間のために荷卸しができずに待った時間は含まれます。到着後すぐに受付をせず、業務上の指示などで休憩する時間のように、業務から完全に離れられる時間は荷待ち時間に含まれません。一方、受取施設の休憩時間の間に待機した時間は、荷主などの都合による待機なので荷待ち時間に含まれるとされています。
トラックが指示した時刻より早く着いた場合、荷待ち時間はいつから数えますか。
原則として、指示した時刻から数えます。ただし、指示した時刻より前に毎回2時間以上の待機が生じていて、トラック事業者が交渉しても改善されない場合などは、実質的に指示がないものとして、到着した時刻から数える可能性があるとされています。
1つの事業所に工場と倉庫など、トラックを停める場所が複数ある場合、荷待ち時間はどう測りますか。
原則として施設ごとに測ります。施設ごとに切り分けて測れない場合に限り、事業所全体を1つの施設として、入構から出構までの時間で把握することもできます。その場合は構内を走る時間も含まれるため、荷待ち時間等が実態より長く出ることがあります。

出典

制度の内容の最終確認日:

制度の内容は変わることがあります。最新の情報は出典のページでご確認ください。

自社の拠点に当てはめて考えたいときは

現状を伺い、優先して確認すべき拠点・データ・改善テーマを整理します。資料の準備は不要です。