ドライバーの拘束時間とは?1日13時間・月284時間のルール一覧と荷主の対応【改善基準告示】
経営層向けの要点
- 拘束時間とは、始業から終業までの、労働時間と休憩時間を合わせた時間です。2024年4月から適用されている改善基準告示で、トラックドライバーの拘束時間は、原則として1日13時間以内(最大15時間)、1か月284時間以内、1年3,300時間以内とされています。
- 荷主のもとでの荷待ちや荷役の時間も、拘束時間に含まれます。荷主の拠点で長く待たせると、ドライバーが1日に運べる量が減り、運送事業者がルールを守れなくなるおそれがあります。
- 荷主にも、荷待ちを減らす対応が求められます。厚生労働省は、荷主が長時間の荷待ちをさせること自体は労働基準関係法令の違反ではないとしつつ、労働基準監督署が荷主に要請を行うとしています。貨物自動車運送事業法にもとづく国の働きかけ・要請・勧告(公表)の対象にもなり得ます。物流効率化法でも、荷待ち時間の短縮に努める義務があります。
トラックドライバーの拘束時間とは、始業から終業までの時間のことで、運転している時間だけでなく、荷待ちや荷役、休憩の時間も含みます。厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)は、拘束時間を「労働時間、休憩時間その他の使用者に拘束されている時間」と定めています。
2024年4月から適用されている改善基準告示では、トラックドライバーの拘束時間は、原則として1日13時間以内(最大15時間)、1か月284時間以内、1年3,300時間以内です。この記事では、ルールの一覧を整理したうえで、荷主がこのルールをどう受け止めればよいかを説明します。
拘束時間・労働時間・休息期間の違い
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 拘束時間 | 始業から終業までの時間。労働時間と休憩時間を合わせたもの |
| 労働時間 | 拘束時間のうち、休憩時間を除いた時間。運転・荷役・荷待ちなどを含む |
| 休息期間 | 勤務と勤務の間の、会社の拘束を受けない時間 |
たとえば(APTが作った説明のための例です)、8時に始業し、途中に1時間の休憩をとって21時に終業した場合、拘束時間は13時間、労働時間は12時間です。この日のうちに荷主の拠点で2時間待てば、その2時間も拘束時間と労働時間の両方に含まれます。
改善基準告示のルール一覧(トラック、2024年4月から)
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 1年の拘束時間 | 3,300時間以内。労使協定があれば3,400時間まで |
| 1か月の拘束時間 | 284時間以内。労使協定があれば、1年のうち6か月まで310時間まで(284時間を超える月は3か月を超えて連続しないこと、時間外・休日労働が月100時間未満となるよう努めること) |
| 1日の拘束時間 | 13時間以内。延長する場合も最大15時間。14時間を超える回数はできるだけ少なく(通達は1週間に2回以内が目安) |
| 1日の休息期間 | 継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らない |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間以内、2週間平均で1週間44時間以内 |
| 連続運転時間 | 4時間以内。1回おおむね10分以上で合計30分以上の運転の中断が必要。中断には原則として休憩を与える |
| 休日労働 | 2週間に1回まで。拘束時間の上限を超えない範囲で |
出典:厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」第4条、同通達(2026年10月27日確認)
「1日」は、始業の時刻から数えて24時間です。休息期間は、ドライバーが会社の拘束を受けない時間(勤務と勤務の間の時間)を指します。
例外のルール
| 例外 | 内容 |
|---|---|
| 宿泊を伴う長距離の運行 | 1週間の運行がすべて1回450km以上の長距離で、休息期間を住所地以外でとる場合、週2回まで1日の拘束時間を最大16時間、休息期間を継続8時間にできる(運行の後は継続12時間以上の休息が必要)。1か月・1年の上限は変わらない |
| 連続運転の延長 | 高速道路などのサービスエリア・パーキングエリアが満車で止められず、やむを得ない場合は4時間30分まで |
| 予期し得ない事象 | 車両の予期しない故障、フェリーの欠航、災害や事故による道路の封鎖や渋滞、異常気象(警報の発表時)への対応時間は、1日の拘束時間、2日平均の運転時間、連続運転時間の判定から除ける。1か月の拘束時間などからは除けない。客観的な記録が必要。事故や災害を伴わない自然渋滞は含まない |
| 分割休息 | 業務の必要上、勤務の終了後に継続9時間の休息を与えることが難しい場合に限り、1か月程度の全勤務回数の2分の1まで、1回3時間以上で2分割(合計10時間以上)または3分割(合計12時間以上)できる。3分割の日が連続しないよう努める |
| 2人乗務 | 身体を伸ばして休める設備がある場合、最大拘束時間を20時間まで延長し、休息期間を4時間まで短縮できる。設備がベッドなどの条件を満たせば24時間まで、8時間以上の仮眠を与えれば28時間まで延長できる |
| フェリー | 乗船時間は原則として休息期間として扱える |
荷主の都合による遅れは「予期し得ない事象」に含まれていません。 荷主の拠点で長く待たされた時間は、そのまま拘束時間に数えられます。
年960時間の時間外労働の上限との違い
時間外労働の限度は、原則として1か月45時間・1年360時間です。臨時的な特別の事情がある場合でも、2024年4月からは、労働基準法第140条により、トラックドライバーの時間外労働は年960時間が上限になっています。2つのルールの違いは次のとおりです。
| 時間外労働の上限 | 改善基準告示の拘束時間 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 労働基準法(法律) | 厚生労働大臣の告示 |
| 対象の時間 | 法定労働時間を超えた労働時間 | 休憩時間も含めた、始業から終業までの時間 |
| 上限 | 年960時間 | 年3,300時間など |
| 違反した場合 | 法律の罰則がある | 告示のため罰則の規定はない。労働基準監督署が指導する |
厚生労働省のQ&Aによると、改善基準告示の違反は労働基準監督署による指導の対象で、貨物自動車運送事業法の運行管理の規定などに重大な違反の疑いがあるときは、地方運輸局などに通報されます。また、国土交通省の貨物自動車運送事業輸送安全規則は、トラック事業者に、国が定める基準に従って運転者の勤務時間と乗務時間を定め、守らせるよう求めています。
荷主に関係する理由:荷待ちは運転・配送に使える時間を減らす
拘束時間には、荷待ちや荷役の時間も含まれます。たとえば1日の拘束時間の上限が13時間のドライバーが、荷主の拠点で2時間待たされると、その上限の中で運転や別の配送に使える時間は2時間減ります。荷待ちが長い取引先ほど、運送事業者にとっては運べる量が減り、ルールを守るのが難しくなる取引先になります。
国土交通省の調査では、2025年4月〜8月の通常期の代表的な1日の運行について、トラックドライバーの1運行あたりの荷待ち・荷役等の時間は平均2時間2分で、前年度の調査より1時間16分減りました。これは1回の受け渡しあたりの時間ではありません。背景は物流の2030年問題とはで解説しています。
なお、物流効率化法で荷主が測る「荷待ち時間」と、改善基準告示の「拘束時間」は、範囲が違います。物流効率化法の荷待ち時間からは、業務から完全に離れられる休憩時間は除かれます。測り方は荷待ち時間・荷役等時間の計測方法で整理しています。
国が荷主に求めていること
厚生労働省の要請
改善基準告示の改正に合わせた厚生労働省の通達は、発荷主・着荷主などに、次のことを要請しています。
- 荷主の都合による長時間の恒常的な荷待ちを発生させないよう努めること
- 運送を発注する担当者に改善基準告示を周知し、ドライバーがルールを守れるような着時刻や荷待ち時間などを設定すること
- 改善基準告示を守れず、安全な走行が確保できないおそれのある発注をしないこと
厚生労働省のQ&Aは、荷主が長時間の荷待ちをさせることは労働基準関係法令に違反するものではないとしつつ、運送事業者の違反が長時間の恒常的な荷待ちによると疑われる場合は、労働基準監督署が荷主に、荷待ちを発生させないよう努めることなどを要請するとしています。厚生労働省と国土交通省のリーフレット(2026年2月)も、荷主に、改善基準告示に配慮した着時刻・納品期日の設定と発注を求めています。
貨物自動車運送事業法の働きかけ・要請・勧告
貨物自動車運送事業法は、荷主に、トラック事業者が法令を守って事業を行えるよう必要な配慮をする責務を定めています(第64条)。さらに、トラック事業者の違反の原因となるおそれのある荷主の行為(違反原因行為)について、国土交通大臣が働きかけ、要請、勧告をすることができ、勧告をしたときは公表すると定めています(附則第1条の2)。
現在この仕組みを担っているのが、国土交通省のトラック・物流Gメンです。国土交通省が公表している、2026年9月30日現在の累計の実績は次のとおりです(Gメンの発足前からの国の働きかけなどを含む累計です)。
| 対応 | 件数 | うち荷主 |
|---|---|---|
| 勧告 | 5件 | 3件 |
| 要請 | 197件 | 108件 |
| 働きかけ | 2,578件 | 1,828件 |
出典:国土交通省「トラック・物流Gメン」(2026年10月27日確認)
前述のリーフレットによると、Gメンが働きかけなどをした荷主の違反原因行為のうち、長時間の荷待ちが47%、契約にない附帯業務が21%を占めています(2025年11月30日時点)。
物流効率化法の努力義務
2025年4月から、すべての荷主に、荷待ち時間・荷役等時間の短縮に努める義務(努力義務)がかかっています。国の基本方針は、荷主などは1回の受け渡しごとの荷待ち時間と荷役等時間の合計を原則1時間以内とし、やむを得ない場合を除いて2時間を超えないよう短縮するものとしています。また、運転者の拘束時間を減らすため、有料道路の利用料を適切に負担し、高速道路の利用を促す必要があるともしています。
判断基準の解説書は、判断基準に定める取組のほかに荷主が可能な限り取り組むことが望ましい事項として、ペナルティの見直しなどで、ドライバーが必要以上に早く着かないよう配慮することを挙げています。事故渋滞や災害などドライバーに起因しない遅れに対して、運賃を減らす、待機列の最後に回すといったペナルティを設けることは、労働時間などのルールを守れなくする行為を強いることにつながりかねず、配慮が必要だとしています。制度の全体像は改正物流効率化法とはで解説しています。
ドライバーの拘束時間を延ばさないために荷主が見直せること
国の資料をもとに、APTが整理した例です。
| 見直すこと | 内容 |
|---|---|
| 着時刻の設定 | 早朝の着時刻や、遠方からの短い時間での納品の指定が、ドライバーの拘束時間を延ばしていないか確かめる。発注を担当する部門にも、改善基準告示を知ってもらう |
| 荷待ちを減らす | 到着の時間を分散する、予約受付を使う、慣習の時間指定をやめる(バース予約とは) |
| 荷役の時間を減らす | パレットで運ぶ、検品を効率化する、そもそもドライバーに荷役をさせる必要があるかを見直す |
| 遅れの扱い | 事故渋滞や災害などドライバーに起因しない遅れに、運賃の減額などのペナルティを課していないか確かめる |
| 費用の負担 | 待機料や荷役の料金、有料道路の利用料を、運賃と別に適切に負担する(物流改善の進め方) |
荷物を受け取る側の荷主にも、同じように荷待ちを減らす努力義務があります(着荷主と第二種荷主の違い)。
倉庫内の設備・システムの見直しをAPTに相談する
荷主の拠点での荷待ちや荷役が長いのは、到着の集中だけでなく、トラックが着いているのにピッキングや荷揃えが終わっていない、検品に時間がかかってバースが空かない、といった拠点の中の作業が原因の場合もあります。
APTは、メーカーを問わない物流エンジニアリング会社として、倉庫の課題の整理から、既設の自動倉庫やコンベアのリニューアル、倉庫管理システム(WMS)・設備の制御システム(WCS)の更新まで支援しています。運送や労務の管理は行っていませんが、荷主の拠点で、トラックの滞在時間を延ばしている作業と設備の見直しからご相談いただけます。進め方の実例は導入事例をご覧ください。
よくある質問
- トラックドライバーの1日の拘束時間の上限は、何時間ですか。
- 改善基準告示では、1日の拘束時間は13時間を超えないものとし、延長する場合も最大15時間です。14時間を超える回数はできるだけ少なくするよう努めるものとされ、国の通達は1週間に2回以内を目安としています。1週間の運行がすべて450km以上の長距離で、休息期間を住所地以外でとる場合は、週2回まで最大16時間にできます。1日の上限を延ばしても、1か月・1年の上限は変わりません。
- 荷待ちの時間は、拘束時間に入りますか。
- 入ります。改善基準告示は、拘束時間を「労働時間、休憩時間その他の使用者に拘束されている時間」と定めています。荷主の拠点で待っている時間も、ドライバーが会社に拘束されている時間であることに変わりはありません。
- 1か月の拘束時間は、何時間まで延ばせますか。
- 原則は1か月284時間以内、1年3,300時間以内です。労使協定がある場合は、1年のうち6か月まで1か月310時間まで、1年3,400時間まで延ばせます。ただし、284時間を超える月が3か月を超えて続かないようにし、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満となるよう努める必要があります。
- 年960時間と年3,300時間は、何が違うのですか。
- 時間外労働の限度は、原則として1か月45時間・1年360時間です。臨時的な特別の事情がある場合でも、トラックドライバーは労働基準法第140条により年960時間が上限です。年3,300時間は、改善基準告示にもとづく、休憩時間なども含めた拘束時間の上限で、時間外労働の上限とは別に守る必要があります。どちらも2024年4月から適用されています。
- 改善基準告示に違反すると、罰則はありますか。
- 改善基準告示は法律ではなく厚生労働大臣の告示のため、罰則の規定はありません。違反があれば、労働基準監督署が是正を指導し、貨物自動車運送事業法の運行管理の規定などに重大な違反の疑いがあるときは、地方運輸局などに通報されます。一方、年960時間の時間外労働の上限は労働基準法の規定です。
- 荷主がトラックを長く待たせると、罰せられますか。
- 荷主にも、荷待ちを減らす対応が求められます。厚生労働省のQ&Aは、荷主が長時間の荷待ちをさせること自体は労働基準関係法令に違反するものではないとしています。ただし、運送事業者の違反が長時間の恒常的な荷待ちによると疑われる場合、労働基準監督署は荷主に、荷待ちを発生させないよう努めることなどを要請します。また、貨物自動車運送事業法にもとづき、トラック・物流Gメンによる働きかけ・要請・勧告の対象になり得ます。勧告は公表されます。
- 荷主の都合で遅れた時間は、拘束時間から除けますか。
- 除けません。改善基準告示で除くことができるのは、車両の予期しない故障、フェリーの欠航、災害や事故による道路の封鎖や渋滞、異常気象(警報の発表時)など「予期し得ない事象」への対応時間で、客観的な記録が必要です。荷主の都合による遅れや、事故・災害を伴わない自然渋滞は含まれていません。また、除けるのは1日の拘束時間、2日平均の運転時間、連続運転時間の判定だけで、1か月の拘束時間などからは除けません。
出典
- 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号、令和4年12月23日改正)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について」(令和4年12月23日 基発1223第3号)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 厚生労働省 労働基準局監督課「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」(令和7年3月11日追補)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 厚生労働省・国土交通省「発荷主・着荷主・元請運送事業者の皆さまへのお願い」(2026年2月)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法」(平成元年法律第83号)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 国土交通省 物流・自動車局 物流政策課「物流効率化法に基づく中長期計画に関する説明会」資料(令和8年9月)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 国土交通省「トラック・物流Gメン」(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 「貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化の推進に関する基本的な方針」(令和7年農林水産省・経済産業省・国土交通省告示第1号)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 国土交通省・経済産業省・農林水産省「荷主の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化に関する判断の基準の解説書」第1.4版(2026年3月30日)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
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