物流効率化法の定期報告書の書き方:特定荷主の様式第5・提出期限・荷待ち時間の報告
経営層向けの要点
- 特定荷主は、指定を受けた翌年度から毎年度、前年度の取組状況を7月末までに報告します。2026年度に指定された企業の初回は2027年7月末です。
- 報告書は、判断基準のチェックリスト、追加の取組の記述、施設ごと・月ごとの荷待ち時間等の平均、寄託先との連携状況などで構成されます。
- 荷待ち時間等は全施設を測らなくてもよく、取扱重量の半分程度を把握できる施設と期間を選んで測る方法が示されています。計測の設計を早めに決めることが準備の中心です。
改正物流効率化法で特定荷主に指定された企業は、中長期計画の提出に加えて、毎年度「定期報告書」の提出も求められます。この記事では、国(経済産業省)の手引書をもとに、提出の時期と記載欄の構成、準備しておくデータを整理します。
いつ、何を報告するのか
定期報告書は、特定荷主の指定を受けた翌年度から毎年度、前年度(4月から翌年3月まで)の状況を、7月末日までに提出します。2026年度に指定された企業の場合、初回は2026年度の状況を2027年7月末までに報告することになります(国土交通省の説明会資料のスケジュールでも、2027年7月末が定期報告の提出とされています)。
似た時期に出てくる「中長期計画」とは別の書類です。
| 書類 | 中身 | 提出の時期 |
|---|---|---|
| 中長期計画書 | これから実施する措置と目標(将来の計画) | 指定を受けた年度の7月末(2026年度のみ10月末)。内容に変更がなければ、最長5年に1度 |
| 定期報告書(様式第5) | 前年度に実施したことと荷待ち時間等の実績 | 指定を受けた翌年度から毎年度、7月末 |
手引書では、計画書に実績を書いたり、報告書に今後の計画を書いたりする混同が「よくあるミス」として挙げられています。中長期計画書の書き方は、中長期計画書(様式第3)の書き方と記載例で整理しています。
2026年度に指定された企業の初回の計測
2026年度に指定された企業は、記事の作成時点(2026年10月)で、すでに第1・第2四半期が過ぎています。指定より前の四半期をどう扱うかは、確認した範囲の手引書・Q&Aには示されていませんでした。所管の窓口に確認したうえで、残りの四半期で確実に測れるよう、すぐに準備を始めることをおすすめします。
報告書の4つの欄
定期報告書は、基本情報と、3つの取組状況の欄に分かれています。
- 基本情報(I):法人番号、特定荷主番号(指定通知に記載)、主たる事業(日本標準産業分類の名称と細分類番号)、指定の区分(特定第一種荷主・特定第二種荷主)、物流統括管理者(CLO)と作成担当者の情報など
- 判断基準の遵守状況(II):国が定めた判断基準の各項目について、チェックリスト形式で回答します
- IIのほかに実施した措置(III):判断基準に直接は含まれない、自社独自の効率化の取組を自由に記述します(任意)
- 荷待ち時間等の状況等(IV):計測の対象と方法、施設ごとの計測結果、寄託先との連携状況などを記載します
II:チェックリストの答え方
積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮に関する項目は、実施の度合いを4段階で選びます(体制の整備などの「実効性の確保」に関する項目は3段階)。4段階の目安として、手引書では次の例が示されています。
| 選択肢 | 目安 |
|---|---|
| ほぼ全ての発注で実施 | 90%以上 |
| 大半の発注で実施 | 50%以上90%未満 |
| 一部の発注で実施 | 0%超50%未満 |
| 実施していない | 0% |
「実施していない」を選んだ項目には、その理由を記載します。荷待ち時間と荷役等時間の短縮に関する項目は、特に断りがない限り、自社が管理する施設と寄託先の施設の両方の状況を答えます。
IV:荷待ち時間等の状況の書き方
IVは、次の項目で構成されています。
| 項目 | 必須か | 書くこと |
|---|---|---|
| 計測対象の選定の詳細 | 必須 | どの施設・期間・運行で測ったか、その選び方 |
| 計測対象施設の一覧 | 必須 | 施設名・所在地と、施設ごとの番号(計測方法の記載は任意) |
| 1回の受渡しに係る荷待ち時間等の計測結果 | 必須 | 施設ごと・月ごとの平均時間(分単位) |
| 報告を省略する施設・運行(付表) | 該当する場合 | 省略する施設・運行の番号と、省略の理由 |
| 荷待ち時間等の状況に関する参考情報 | 任意 | 時間が長くなる要因など、数字で示せない事情 |
| 寄託先との連携状況等 | 必須 | 主要な寄託先(預け荷物量か契約金額の大きい上位5者)と、書面で物流効率化の提案や改善の要請があった寄託先との連携の内容。寄託先がなければ「該当なし」と記載 |
| 寄託先の荷待ち時間等に関する参考情報 | 任意 | 寄託先で把握できている範囲の状況 |
荷待ち時間と荷役等時間を分けて把握できる場合は、それぞれの欄に数値を入れます。分けられない場合は、合計を「荷待ち時間等」の欄に記載します。
平均時間は、計測期間内の荷待ち時間等の合計を、受渡しの回数で割って求めます。サンプリングで特定の期間だけ測った場合は、その期間が属する月の欄に記載し、測っていない月は空欄にします。
計測の範囲:全部を測らなくてもよい
すべての施設・すべての運行を測るのが難しい場合は、対象を選んで測る方法(サンプリング)が認められています。手引書に示されている最低限の目安は次のとおりです。
- 対象施設:特定第一種荷主・特定第二種荷主の区分ごとに、その区分で年度に取り扱う貨物の重量の半分程度以上を把握できるよう、自社が管理する施設から選ぶ。取扱重量が多い施設か、改善のために実態の把握が必要な施設(苦情や滞留が多い施設など)を優先する
- 対象期間:四半期ごとに、原則として貨物の受渡しがある営業日を連続して5日以上。前年度の月別の売上から、各四半期で売上が最も低いと見込まれる月は除く
- 対象運行:原則として、対象期間中の対象施設での全運行(郵便物、宅配便、取扱重量の1%程度までの軽微な資材などは除けます)
寄託先の倉庫は、計測の対象からも、半分程度を計算するもとになる取扱重量からも外せるとされています。そのかわり、前述のとおり寄託先との連携状況の記載が必要です。
測り方は、トラック予約受付システムの記録、トラック事業者の運行記録(デジタルタコグラフ)の共有、入退場の記録簿や聞き取りによる簡易な把握などが例として挙げられています。対象外にできる運行の条件や記録の項目は、荷待ち時間・荷役等時間の計測方法の記事で詳しく整理しています。
報告を省略できる場合
手引書では、次の2つの場合に報告を省略できるとされています。
- 1回の受渡しに係る荷待ち時間等の平均(施設ごとに1か月、またはサンプリングの計測期間を通じた平均)が1時間未満の場合
- 特殊な車両を使う附帯作業や、危険物・重量物の安全確認など、手引書に列挙された類型に当たり、荷役等時間の短縮が難しい場合(該当する荷役等時間の報告を省略)
2つは組み合わせて使えます。短縮が難しい荷役等時間を除いた残りが1時間未満であれば、1の条件も使えます。ただし、荷待ち時間と荷役等時間を分けずに測り、合計が1時間を超える場合は、合計の時間を報告する必要があります。省略する施設・運行は、付表に記載します。
なお、手引書では「1時間未満」と書かれていますが、国の「物流効率化法」理解促進ポータルサイトの定期報告のページでは「1時間以内」と書かれており、サンプリングと報告の省略について「検討されています」という表記も残っています(2026年10月24日確認)。提出の前に、最新の手引書と様式で確認してください。
準備のチェックリスト
手引書の事前準備の項目をもとに、社内で確認しておくことをまとめます。
- 法人番号、特定荷主番号(指定通知に記載)、主たる事業の細分類番号
- 提出先(指定通知を出した大臣すべて)と、届出の内容との一致
- 提出の方法(e-Govの電子申請と、GビズIDの準備)
- 選任・届出済みのCLOの役職と氏名、作成担当者の連絡先
- 判断基準の各項目について、自社で実施したこと・実施していない理由(営業・倉庫・物流子会社などへの聞き取り)
- 計測対象の施設・期間の選定と、その理由
- 施設ごと・月ごとの荷待ち時間・荷役等時間の平均
- 主要な寄託先との協議の状況
報告するのは前年度(4月〜翌年3月)の状況で、提出は7月末です。年度が終わってからまとめ始めると時間が足りなくなりがちなので、計測と記録は四半期ごとに進め、4月以降は集計と社内の確認にあてられるよう、年間の段取りを決めておくと安心です。
よくある質問
- 物流効率化法の中長期計画を出していれば、定期報告は毎年出さなくてもよいですか。
- いいえ、定期報告書は毎年度の提出が必要です。中長期計画は内容に変更がなければ最長5年に1度の提出で足りますが、定期報告書は指定を受けた翌年度から毎年度出します。計画書は将来の計画、報告書は前年度の実績と、役割も違います。
- 特定荷主は、寄託先の倉庫で起きている荷待ち時間も測って報告する必要がありますか。
- いいえ、手引書では寄託先の倉庫は計測の対象から外せるとされています。ただし、主要な寄託先などとの連携状況は報告書の必須の記載事項です。また、国は寄託先の施設についても、把握して改善につなげることが望ましいとしています。
- 荷待ち時間等が短い施設も、定期報告ですべての時間を報告しなければなりませんか。
- いいえ、1回の受渡しに係る荷待ち時間等の平均が1時間未満の施設は、その時間の報告を省略できるとされています。ただし、省略する施設・運行は、報告書の付表に記載します。1時間未満であることは、計測のほか、トラック事業者や作業員への聞き取りで確認してもよいとされています。
出典
- 経済産業省「『物流効率化法』対応の手引書 —中長期計画・定期報告等の記載ガイドほか— 特定荷主編」第1.1版(2026年4月)(新しいタブで開きます)(2026年10月24日閲覧)
- 国土交通省 物流・自動車局 物流政策課「物流効率化法に基づく中長期計画に関する説明会」資料(令和8年9月)(新しいタブで開きます)(2026年10月24日閲覧)
- 国土交通省・経済産業省・農林水産省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト「定期報告」(新しいタブで開きます)(2026年10月24日閲覧)
- 国土交通省・経済産業省・農林水産省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト「特定事業者の指定」(新しいタブで開きます)(2026年10月24日閲覧)
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