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バース予約(トラック予約受付システム)とは?仕組み・導入の進め方と荷待ちが減らない理由

執筆:株式会社APT公開日:

経営層向けの要点

  • バース予約(トラック予約受付システム)とは、トラックが拠点に着く日時を事前に予約してもらい、到着が一時に集中しないようにする仕組みです。物流効率化法の荷主の判断基準では「到着時刻表示装置」と呼ばれ、荷待ち時間を減らす取組の1つとされています。
  • 導入は義務ではありません。国の調査では、回答した荷主の25%が、少なくとも一部の施設でバース予約システムの導入を実施していると答えています。国は、単に導入するだけでなく、荷役にかかる時間を想定した予約枠を設けるなど、実際に荷待ちを減らす使い方が必要だとしています。
  • 予約の記録は、定期報告の荷待ち時間の計測にも使えます。ただし、到着から出発までの時間がそのまま荷待ち時間になるわけではなく、早く着いたトラックは原則として予約(指示)した時刻から数えるなど、制度の数え方に合わせる必要があります。

バース予約(トラック予約受付システム)とは、トラックが拠点に着く日時を、運送事業者やドライバーに事前に予約してもらう仕組みです。予約の状況が見えるようになるため、到着が一時に集中するのを防ぎ、荷待ち時間を減らすことができます。バースとは、トラックを止めて荷物を積み降ろしする場所のことです。

物流効率化法の荷主の判断基準では、この仕組みを「到着時刻表示装置」と呼んでいます。国の手引書は、到着時刻表示装置とは、いわゆるトラック予約受付システムのことだと説明しています。国の資料では「バース予約システム」「トラック予約受付システム」などの言い方が混在しており、予約と、当日の受付・呼び出しをあわせて扱う仕組みもあります。この記事では、法律での位置づけ、導入の状況、導入しても荷待ちが減らない理由、進め方、定期報告の計測での使い方を整理します。

主な機能

製品によって違いますが、一般に次のような機能があります(APTの整理です)。

機能 内容
予約 運送事業者やドライバーが、スマートフォンなどから到着の日時を予約する
受付・呼び出し 着いたトラックを受け付け、空いたバースへ呼び出す
状況の表示 予約の空き状況や、バースの作業の状況を表示する
記録 到着・受付・作業の開始と終了などの時刻を記録する

なぜ予約制で荷待ちが減るのか

判断基準の解説書は、荷主が到着の時刻を指示しない場合、「早く並んで早い順番を取りたい」という動機がドライバーに生まれ、到着が受付の開始時刻などに集中すると説明しています。先着順で受け付けていると、早い順番を取るために受付の開始前からトラックが集まり、長い待機が生じることがあります。

予約制にすると、トラックは予約した時刻に合わせて来ればよくなります。予約の空き状況が見えるので、混んでいる時間帯を避けて、空いている時間帯に誘導することもできます。

物流効率化法での位置づけ

判断基準の「到着時刻表示装置」

2025年4月から、すべての荷主に、荷待ち時間の短縮に努める義務(努力義務)がかかっています。荷主の判断基準は、到着の日時を調整する取組として、自社が管理する施設に到着時刻表示装置(トラック予約受付システム)を導入し、適切に活用することを挙げています。主に発荷主に当たる第一種荷主にも、主に着荷主に当たる第二種荷主にも、同じ項目があります(着荷主と第二種荷主の違い)。

判断基準の定義では、到着時刻表示装置は、施設の搬入・搬出の状況の情報と、トラック事業者から提供された到着予定時刻の情報を管理するシステムを使って、予定時刻を表示する装置です。

導入は義務ではない

判断基準は、判断基準に書かれた取組によらない方が有効な場合は、その方法でも構わないとしています。解説書も、輸送の回数が少ない拠点では、費用対効果が低い場合もあるとしています。そのような拠点では、慣習で続けている「朝一」「午前必着」などの時間指定をやめる、時間の幅を広げる、といった方法も考えられます。

定期報告での扱い

特定荷主(取扱貨物の重量が年9万トン以上で、国の指定を受けた荷主)は、定期報告で、到着の日時の調整の取組をどの程度実施しているかを報告します。国の手引書は、到着時刻表示装置の項目は自社が管理する施設が対象で、寄託先(荷物を預けている倉庫)が管理する施設は除くとしています。寄託先については、入庫や出庫の発注を早めに行い、受け渡しの時間を分散させることが求められています。

導入の状況と効果

国の調査では、回答した荷主の25%が導入

国土交通省の説明会資料(2026年9月)は、荷主などへの調査(2025年12月〜2026年1月、追加の調査は3月まで)で、「バース予約システムの導入」を実施している割合を、荷主(第一種・第二種、回答2,090件)で25%としています。一部の施設や発注だけで実施している回答も含んだ割合です。倉庫業者は17%で、資料は物流事業者について、バース予約システムの導入などの設備投資を伴う取組の実施率が低い水準にとどまっているとしています。

公的な資料に載っている事例

  • 入荷の待ち時間の発生率を下げた例:経済産業省のCLO取組事例集(2026年2月時点の情報)によると、日本アクセスは予約・受付のシステムを2025年10月時点で141拠点に導入し、可視化したデータをもとに発注ロットの見直しなども進めた結果、「1時間以上の入荷待機」の発生率が、2023年12月の4.4%から2025年9月には1.4%に下がっています
  • 効率化のイメージ:国土交通省の資料(2017年4月)は、受付順の処理で受付開始と同時にトラックが集中していた拠点が予約制にした場合のイメージとして、1台あたりの平均待機時間が83分から24分(約70%削減)になる例を示しています

国は、物流革新に向けた政策パッケージ(2023年6月)でも、即効性のある設備投資として、バース予約システムの導入を進めるとしています。

導入しても荷待ちが減らない3つの理由

国や公的な資料は、システムを入れるだけでは荷待ちが減らない場合があることを指摘しています。

  1. 予約が使われない:近畿運輸局の実証の資料では、予約システムの使用率がパレット降ろしで15%、バラ降ろしで4%(2021年1月時点)にとどまりました。元請からの指示が遅く前日に予約できない、発荷主での積み込みの終了時刻が読めない、予約しなくても待たない時間帯がある、予約しても早朝などは車両が集中してバースに着けない、などが理由として挙げられています
  2. 予約の枠と作業時間がずれる:判断基準の解説書は、予約した時間と実際の作業時間がずれると、後のトラックが待たされるとして、荷役にかかる時間を想定した予約枠を設けることが重要だとしています
  3. 受付前の待ち時間がつかめない:CLO取組事例集は、ある企業の事例で、入荷管理のシステムで測れるのは受付後の待機時間で、予約時間の前に敷地の外で待っている「見えない待機時間」は把握が難しいとしています。どの時点から記録するかを確認しておく必要があります

近畿運輸局の資料は、単に予約システムを導入するだけでは改善は難しく、予約したトラックは必ず予約時間にバースに着けられる運用にすることが必要だとしています。

バース予約の進め方

国の資料をもとに、APTが整理した進め方の例です。法令で決められた手順ではありません。

  1. 今の待ちを測る:時間帯・曜日・取引先ごとに、到着の時刻、受付の時刻、積み降ろしの開始・終了の時刻を記録し、どこで待ちが起きているかを確かめます(荷待ち時間の計測方法)
  2. 入れるかどうかを決める:輸送の回数が少ない拠点では、時間指定の見直しなど、システム以外の方法も比べます
  3. 予約の枠を設計する:バースの数、受け入れる荷物の量、1台あたりの荷役の時間をもとに枠を決めます。解説書は、取引先に正確な数量を申告してもらうことや、パレットを使ってもらうことも、荷役の時間を読みやすくする方法として挙げています
  4. 運用のルールを決める:予約したトラックは予約時間に必ず積み降ろしを始められるようにすること、早く着いた場合・遅れた場合の扱い、予約の変更の方法を決めます
  5. 取引先・運送事業者に説明する:予約の方法とルールを説明し、使ってもらいます。発荷主の拠点で積み込みが遅れると予約時間に着けないため、発荷主との調整も必要です
  6. 使われ方を見て直す:予約の使用率や、予約どおりに始められた割合、待ち時間の変化を見て、枠や運用を見直します

解説書は、到着の時刻までに入出荷の準備を終えておくことも徹底するよう求めています。予約どおりに来ても、荷物の準備ができていなければトラックは待つことになります。

予約の記録を定期報告の計測に使うときの注意

国の手引書は、荷待ち時間の計測の方法として、トラック予約受付システムなどで到着・出発の時刻を自動的に記録する方法を挙げています。ただし、到着から出発までの時間をそのまま荷待ち時間にはできません。指示した時刻、荷役等の時間、業務から完全に離れた休憩時間を、制度の定義に合わせて整理します。判断基準の解説書は、休憩時間を正確に除くには、トラック事業者のデジタルタコグラフの情報が有効だとしています。

数え始めの時刻は、次のように決まっています(判断基準の解説書、国のQ&A)。

場合 数え始め
到着の時刻を指示していない 到着した時刻(着いてすぐ受付するなら受付の時刻)
指示(合意)した時刻より早く着いた 原則として指示した時刻。ただし、毎回2時間以上の待機が改善されない場合などは到着した時刻から数える可能性がある
指示した時刻どおりか、遅れて着いた 到着した時刻

トラック事業者側の事情で遅れて着き、順番を後に回したことで増えた待ち時間は、荷待ち時間に含まれません。ただし国のQ&Aは、遅れたトラックの待ち時間を過度に長引かせる運用は避けてほしいとし、意図的に過度な長時間の荷待ちをさせた場合は荷待ち時間に含まれる可能性があるとしています。また、到着の時刻の指示は、トラック予約システムによるものに限られません。

詳しい数え方は荷待ち時間・荷役等時間の計測方法で、報告の書き方は定期報告書の書き方で整理しています。

「多画面問題」にも配慮する

2026年3月の総合物流施策大綱は、トラック予約受付システムなどが、荷主や倉庫事業者ごとに別々の会社のシステムになっていて、トラック事業者の負担になっている「多画面問題」を挙げ、物流データの標準化を通じたシステム間の連携を促すとしています。システムを選ぶときは、ドライバーや運送事業者が使いやすいか、ほかのシステムとつなげられるかも確かめておくとよいでしょう(物流DXとは)。

倉庫内の設備・システムの見直しをAPTに相談する

予約制がうまく回るかどうかは、予約した時刻にバースが空いていて、荷物の準備ができているかにかかっています。荷役や検品に時間がかかってバースが空かない、出荷の荷物の準備が間に合わない、といった拠点では、予約の枠を増やしても待ちは減りません。荷役や検品の時間を減らす方法は物流改善の進め方で、効果を確かめる指標は物流KPIとはで整理しています。

APTは、メーカーを問わない物流エンジニアリング会社として、倉庫の課題の整理から、既設の自動倉庫やコンベアのリニューアル、倉庫管理システム(WMS)・設備の制御システム(WCS)の更新まで支援しています。予約受付システムそのものの販売は行っていませんが、予約した時刻までに出荷の荷物をそろえ、積み降ろしを始められるかといった、拠点の中の作業と設備・システムの見直しからご相談いただけます。進め方の実例は導入事例をご覧ください。

よくある質問

バース予約システムの導入は、物流効率化法で義務ですか。
いいえ、義務ではありません。荷主の判断基準は、到着時刻表示装置(トラック予約受付システム)を導入して適切に活用することを、到着の日時を調整する取組の例として挙げていますが、ほかの方法が有効であれば、その方法でも構わないとされています。国の解説書も、輸送の回数が少ない拠点では費用対効果が低い場合があるとしています。
「到着時刻表示装置」とは何ですか。
物流効率化法の荷主の判断基準で使われている言葉で、国の手引書は、いわゆるトラック予約受付システムのことだと説明しています。施設の搬入・搬出の状況と、トラック事業者から提供された到着予定時刻の情報を管理し、表示する装置と定義されています。
荷物を預けている倉庫(寄託先)にも、システムを入れる必要がありますか。
一律の導入義務はありません。特定荷主の定期報告の「到着時刻表示装置」の項目は、自社が管理する施設が対象で、寄託先が管理する施設は除かれます。寄託先については、入庫や出庫の発注を早めに行い、受け渡しの時間を分散させることが求められています。
予約した時刻より早く着いたトラックの荷待ち時間は、いつから数えますか。
荷主などが到着の時刻を指示し、トラック事業者と合意している場合、早く着いたトラックは、原則として指示した時刻から数えます。ただし国のQ&Aは、指示した時刻より前に毎回2時間以上の待機が生じていて、トラック事業者が交渉しても改善されない場合などは、到着した時刻から数える可能性があるとしています。時刻どおりか遅れて着いた場合は、到着した時刻から数えます。到着の時刻の指示は、トラック予約システムによるものに限られません。
予約システムの記録を、定期報告の計測に使えますか。
はい、使えます。国の手引書は、計測の方法として、トラック予約受付システムなどで到着・出発の時刻を自動的に記録する方法を挙げています。ただし、到着から出発までの時間をそのまま荷待ち時間にはできません。指示した時刻、荷役等の時間、業務から完全に離れた休憩時間を、制度の定義に合わせて整理します。判断基準の解説書は、休憩時間を正確に除くには、トラック事業者のデジタルタコグラフの情報が有効だとしています。
システムを入れたのに荷待ちが減らないのは、なぜですか。
国や事例集の資料では、予約の使用率が低いこと、予約の枠と実際の作業時間がずれて後のトラックが待たされること、受付後の記録だけでは受付前に敷地の外で待っている時間がつかめないこと、などが指摘されています。運用のルールと枠の設計を、あわせて見直す必要があります。
着荷主も、バース予約を導入する必要がありますか。
一律の導入義務はありません。ただし、主に着荷主に当たる第二種荷主にも、到着時刻表示装置の導入と活用を例として、到着が集中しないようにする努力義務があります。着荷主の拠点で荷待ちが起きている場合は、発荷主や運送事業者と連携して進めることが必要です。

出典

制度の内容の最終確認日:

制度の内容は変わることがあります。最新の情報は出典のページでご確認ください。

自社の拠点に当てはめて考えたいときは

現状を伺い、優先して確認すべき拠点・データ・改善テーマを整理します。資料の準備は不要です。