物流を自動化するメリットと課題について解説

近年の物流業界はさまざまな課題を抱えており、業務フローの自動化が注目されています。ただし、物流の自動化には多くのメリットがある一方で、注意しなければならない点もあります。

そこで本記事では、物流の抱える課題や自動化によるメリットを解説します。物流業務の自動化を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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物流における問題点とは?

社会情勢や環境の変化とともに課題も変化している物流業界。なかでも、大きな課題として認識されているものが「小口配送の需要拡大」と「慢性的な人手不足」です。

ここからは、これら物流業界が抱える大きな課題・問題点について詳しく解説します。

小口配送の需要拡大

2021年7月30日に経済産業省が発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2013年に11兆1160億円だったBtoC-ECの市場規模が、2020年には19兆2770円まで拡大しています。

これにより物流業界では、個人宅に向けての小口配送の需要が拡大している傾向にあるため、業務の効率化が大きな課題のひとつとなっています。

慢性的な人手不足

総務省の統計データによると、2008年ごろピークにして、日本の総人口は減少に転じており、2050年には国内の総人口が1億人を割るとされています。また、人口構成も大きく変化し、15~64歳までの生産人口は、2040年ごろに総人口の53.9%に減少するとされています。

社会情勢や環境の変化によって人口減少が起きていることから、物流業界でも慢性的な人手不足に陥っている現状があります。また、従業員の高齢化も大きな問題点として挙げられており、生産能力が低下してしまう課題もあると言えるでしょう。

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物流自動化の種類

近年の物流業界では、さまざまな自動化施策が誕生しており、自社の抱えている課題に合わせてシステムを選ぶことが可能です。

そこでここからは、具体的にどのような自動化システムが存在するのか?を解説します。

自動搬送システム

物流倉庫の搬送業務を自動化できる仕組みが、以下のような自動搬送システムです。

  • コンベア
  • 自動搬送ロボット
  • 昇降機

コンベアは断続的に物を搬送できる自動搬送システムになるため、多くの製造工場や物流倉庫で採用されています。また、AGVやAMRなどの自動搬送ロボットは、コンベアに変わる自動搬送システムとして近年注目されています。

その他にも、垂直搬送が可能な昇降装置なども、自動搬送システムのひとつと言えるでしょう。

自動倉庫システム

倉庫内の保管・搬送・仕分け作業を自動化できる仕組みが、自動倉庫システムです。

  • パレット型
  • バケット型
  • フリーサイズ型
  • 移動棚型
  • 縦型回転式自動棚
  • 冷凍対応型自動倉庫
  • 傾斜式流動棚型

など、自動倉庫システムにも多くの種類が存在するため、取り扱う製品や作業環境に応じて最適なシステムを選ぶ必要があります。

倉庫管理・配送管理システム

搬送作業や仕分け作業の自動化も重要な要素ですが、情報管理や事務作業を自動化することも非常に重要です。

  • 倉庫管理システム(WMS)
  • 配送管理システム(TMS)

これらのシステムを導入することによって、従来アナログで管理していた業務を自動化できます。

例えば、倉庫管理システムの場合、倉庫内における商品の在庫状況や入出庫を一元管理できます。また、配送管理システムでは、配送計画や運賃計算、進捗管理など複雑な管理業務もシステム側でまとめることが可能です。

物流自動化のメリット

物流自動化のメリットは、人手不足の解消と人件費の削減、さらには業務品質の向上などが挙げられます。

ここからは、物流業務の自動化を導入した場合に得られるメリットについて詳しく解説します。

人手不足の解消

物流業界は、閑散期や繁忙期など時期によって取扱量が大きく異なってくるため、必要になる人員リソースも変動します。しかし、深刻な人手不足の背景からも、人員リソースのバランスを取るのが難しい問題点があります。

しかし、自動化施策を導入することで人手不足の問題も解消するため、シーズンを通して安定した運営を実現できるでしょう。

人件費の削減

物流業界では人手不足の問題があるため、リソース不足に陥らないように余分に人員を確保するケースもあります。その他にも、余計なコストが発生している可能性があるため、業務コストの最適化を図る必要があります。

このような課題についても、物流自動化を実現させることで必要以上の人件費を掛ける必要性がなくなるため、人件費などのコスト削減にも寄与するでしょう。

業務品質の向上

人が作業をする場合、知識や経験不足、不注意や連絡不足など、さまざまな要因でヒューマンエラーが発生します。意図せず大きな問題になるケースもあるため、業務品質を安定させるための教育も必要になるでしょう。

しかし、物流業務の自動化を実現させた場合、ヒューマンエラーが解消して業務品質が向上します。また、業務の属人化も防ぐことができるメリットもあります。

物流自動化の課題

非常にメリットの多い物流自動化にも課題がいくつか存在するため、導入前に理解をしておかなければなりません。

そこでここからは、物流自動化の課題について解説します。

導入コストがかかる

物流業務の自動化を実現させる場合、導入コストが必要になります。導入する設備によっては多額のコストが必要になるため、導入前と導入後でどの程度コストダウンを図れるのか?また、業務品質はどれくらい向上するのかを比較しなければなりません。

導入目的や使用環境は企業によって異なるため、他社のモデルケースだけを参考にするのではなく、自社のケースで試算することが重要です。

業務フローの見直し

自動化施策の多くは既存の業務フローとは大きく異なってくるため、これまでの作業内容を大きく変える必要があります。人員の配置はもちろんのこと、業務内容自体が大きく変わることもあります。

また、既存の運用体制から新体制に移行する際には、従業員の協力や理解が欠かせません。スタッフの業務内容が変更される可能性もあるため、反発が出ないように徹底した説明を行いましょう。

マニュアル構築の必要性

自動化施策を導入する場合、これまでの業務フローが大きく変更されるため、新しい業務フローを周知させなければなりません。そのため、新規でマニュアルを構築する必要があるほか、説明会や研修の実施も必要になるでしょう。

運用マニュアルを構築して周知徹底させることは、既存業務と平行して行う必要があるため、移行期は特に負担が増えることが予想できます。

システム障害のリスク

物流自動化の施策によって、ヒューマンエラーは大きく削減できます。しかし、その一方でシステム障害や設備トラブルのリスクが出てしまうことは大きな課題のひとつと言えるでしょう。

そのため、緊急時のバックアップ体制の構築や連絡網の周知、保守点検の徹底など、業務に限りなく支障が出ないような工夫が必要です。

まとめ

eコマースの需要拡大とともに、個人宅への小口配送が増加しているため、従来よりも効率の良い配送体制を構築しなければなりません。また、慢性的な人材不足を解消するためには、業務フローの見直しは必要と言えます。

物流業務に関する自動化は、これら多くの問題点を解決できる施策となるため、自社の状況を分析して導入を検討してみるのも良いでしょう。ただし、自動化にも課題は存在するため、導入前後の費用対効果を比較検討した後、実行に移しましょう。

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この記事の筆者

株式会社APT

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