倉庫内業務の生産性を上げる自動倉庫は、物流システムにおいて非常に大きな役割を持っています。そんな自動倉庫にも、さまざまな種類があるため、自社の課題やニーズに合った最適なシステムを導入しなければなりません。
しかし、事前に自動倉庫の知識を入れておかなければ、複数のシステムの中から最適な物をピックアップするのは難しいでしょう。
そこで本記事では、大型マテハン機器の「バケット型自動倉庫システム」に焦点を当てて解説をしていきます。導入するうえで知っておかなければならないメリット・デメリットに加えて、実際に活用されている事例なども合わせて紹介していきます。
これから自動倉庫の導入を検討している企業担当者の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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バケット型自動倉庫とは?
バケット型自動倉庫とは、小物類をバケット単位で効率よく格納できる自動倉庫システムです。高層化や立体保管もできるシステムになるため、天井などの空いた空間も効率よく使用できます。
また、比較的簡単なシステム構造となっているため、特別な操作を必要としていません。誰でも簡単に入出庫の操作ができるため、教育コストも抑えることができます。なお、保管している商品情報はシステムによって管理できます。
スタッカークレーンやワークステーションを設置すれば、非常に高速な入出庫が実現できるため、保管業務の効率化および生産性の向上が期待できます。また、バケットで格納・保管をおこなうため、多品種の管理も問題なく実現できるでしょう。
バケット型自動倉庫のメリット
生産性や品質を安定化させるために有効な自動倉庫。なかでも、バケット型自動倉庫システムを導入する際には、どのようなメリットがあるのかを事前に知っておかなければなりません。
そこでここからは、バケット型自動倉庫システムを導入した場合「どのようなメリットがあるのか」について、より具体的に解説をしていきます。
バケット単位の収納
バケット型自動倉庫の大きなメリットのひとつが、バケット単位の格納ができるということ。定型サイズのバケット(コンテナ)で収納するため、軽量な小物類の保管業務には最適なシステムといえるでしょう。
また、バケットに収納できるものであれば、品種にこだわる必要がないため、雑貨品などはもちろんのこと、精密部品や医薬品など、さまざまな小物類の製品を効率よく保管できます。
スムーズな入出庫作業
バケット型自動倉庫システムでは、スタッカークレーンを設置することによって高速な入出庫を実現できます。走行や昇降などもすべてコンピュータシステムで制御されているため、安全かつ簡単に操作できます。
また、人が作業をする場合、パフォーマンスによって作業効率が左右してしまうことも多いですが、自動倉庫システムの場合は一定の作業品質を確保できるため、人材確保が難しい企業にとっても有効な手段になるといえます。
スペースの有効活用
バケット型自動倉庫の場合はラック構造を活用して収納するため、天井などのデットスペースを有効活用して保管できます。保管エリアを高層化させて立体保管ができるようになるため、従来は使っていなかった空間を、より有効活用できる点は大きなメリットといえるでしょう。
また、最近では、構造体となるラックも強度はそのままでスリム化している製品も多くなってきているため、従来よりもさらに設置スペースを有効活用できるようになってきています。
バケット型自動倉庫のデメリット
作業の効率化を図れる自動倉庫システムは、非常に多くの恩恵を受けることができます。一方で、デメリットと呼べる内容も少なからず発生してしまいます。
そこでここからは、バケット型自動倉庫を導入した場合、どのようなデメリットが発生してしまうのか解説します。導入をする前にきちんと把握しておきましょう。
設置スペースの確保
バケット型自動倉庫を構築する際には、ラックシステムやレールの取付はもちろんのこと、スタッカークレーンやワークステーションの取り付けなどもおこなわなければなりません。そのため、広い設置スペースを事前に確保する必要があります。
また、格納する量に合わせてラックスペースも大きくなってきてしまうため、取り扱う製品の内容や物量も考えたうえで設置スペースを確保しなければなりません。
初期費用
バケット型自動倉庫だけに限った話ではありませんが、導入するにあたって初期費用は当然かかってきてしまいます。また、設置するスペースや量が多くなるにつれて、システムの構築費用も上がってきてしまうため、設備投資にかかる費用は高額になってしまいがちです。
そのため、導入する際には、自社の取り扱っている製品と在庫量などをトータルで比較し検討しなければなりません。費用対効果がもっとも良い分量で構築するようにしましょう。
メンテナンス費用
通常の人的コストを大幅に削減できるバケット型自動倉庫システムも、定期的なメンテナンス費用は別途必要になってきます。いわゆる保守点検費用をランニングコストのなかに計上しなければならないため、ある意味デメリットととらえることもできるでしょう。
ただし、メンテナンス費用を差し引いたとしても、その他の部分で大幅にコストを削減できるようになるため、大きなデメリットになるわけではありません。
バケット型自動倉庫の事例
上手に活用・導入することで、倉庫の持つ課題を大幅に改善できるバケット型自動倉庫システム。実際に導入した企業では、どのような事例があるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、バケット型自動倉庫システムを導入した具体的な事例をもとに紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
冷凍倉庫の自動化で人手不足を解消
継続する人手不足を解消するために、大型の冷蔵倉庫にバケット型自動倉庫システムを導入した事例。導入したことで、以下の3点が大幅に改善しました。
取り扱っている商品の出荷頻度によって分けて保管し、多品種の商品に対応。また、24時間365日稼働させることで、人手不足の解消と生産性の向上を実現しています。
限られた設備で効率よく生産
化粧品の販売実績の増加にともなって新工場を設立した事例。限られた施設や設備を利用し、効率よく生産していくことで、以下の点が改善しています。
フレキシブルな商品を取り扱う化粧品メーカーにとって、もっとも重要な商品対応ができるようになりました。多品種で少量の商品にも対応できたほか、販売実績や生産ラインに合わせて保管量を拡張し、バケット単位で正確に管理することに成功しています。
まとめ
バケット型自動倉庫は、バケット単位で保管ができるシステムになるため、軽量で小物類をフレキシブルに収納できます。また、入出庫を自動化させることができるため、人件費なども大幅にコスト削減できるでしょう。
なお、初期コストも多くかかってくるため、導入する際には費用対効果などもきちんとシミュレーションしつつ、比較検討するようにしましょう。
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