省人化によるコスト削減や、稼働効率を上げることによって生産性も大幅に向上する自動倉庫システムでは、商品や製品の格納および取り出しをするために専用のスタッカークレーンを利用します。
このスタッカークレーンは、自動倉庫システムを稼働する上で非常に重要なパーツとなるため、構造や種類はもちろんのこと、クレーン操作に必要な資格なども把握しなければなりません。
そこで本記事では、自動倉庫システムに欠かせないスタッカークレーンに焦点を当てて解説します。基本的な特徴や種類の他、メーカー別にスタッカークレーンが採用されている商品事例についても紹介します。
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目次
自動倉庫のスタッカークレーンとは?
自動倉庫システムのなかでも、立体型自動倉庫システムで多く採用されているのがスタッカークレーンです。主に、保管用ラックに収納された商品や製品を取り出したり、格納することを目的にしたクレーンです。
なお、スタッカークレーンには、上下に移動する昇降機能のほか、ラック間を移動するための水平移動ができます。また、スタッカークレーンにも種類があり、手動操作できるタイプやシステムによる全自動タイプなどが存在します。
自動倉庫にあるクレーンの種類
立体型自動倉庫システムなどで多く採用されているスタッカークレーンには、いくつかの種類が存在します。
そこでここからは、スタッカークレーンの種類とそれぞれの分類について解説します。
人荷昇降式と荷昇降式
スタッカークレーンは大きく分けて、以下の2種類が存在します。
・人荷昇降式スタッカークレーン
・荷昇降式スタッカークレーン
人荷昇降式のスタッカークレーンは、ワイヤーロープに吊るされた運転台が荷と一緒に昇降するタイプのクレーンです。一方で、荷昇降式スタッカークレーンについては、運転台が取り付けられていないタイプのクレーンとなります。
クレーンの分類
人荷昇降式と荷昇降式の2種類に分けられるスタッカークレーンは、さらに以下の分類で分けることができます。
・床上型
・懸垂型
・天井クレーン型
床上型に分類されるクレーンは、床上に設置されたレールを走行するタイプです。次に懸垂型ですが、こちらは保管ラックの上部に備えられたレールに懸垂され、走行するタイプのクレーンです。
最後に天井クレーン型になりますが、ランウェイガータにトロリが設けられており、荷台が昇降するガイドフレームが備えられているタイプになります。
自動倉庫のクレーン操作に必要な資格
自動倉庫に導入されているスタッカークレーンは、「クレーン等安全規則」に該当します。
・吊り上げ荷重5トン未満は「特別教育」
・吊り上げ荷重5トン以上は「運転免許」
吊り上げ荷重5トン未満のクレーンを操作をする場合は「クレーン等安全規則第21条」に基づいて特別教育を受けなければなりません。
なお、つり上げ荷重が5トン以上のクレーンについては、「労働安全衛生規則」に基づいてクレーン・デリック運転士免許など、適用範囲に応じた運転免許を取得する必要があります。
自動倉庫で使用されているクレーンの法定点検
一般的な自動倉庫に導入されているスタッカークレーンは、労働安全衛生法の「クレーン等安全規則」に従って定期的な点検をしなければなりません。この点検を怠り、事故が発生してしまった場合、事業者側の責任を追及されることになるため、保守点検は必ず実施しましょう。
なお、吊り上げ荷重が3トン以上になる場合は、所轄の労働基準監督署に設置届を提出した後、検査証の交付を受ける必要があります。この検査証には有効期限があるため、期間内に性能検査を更新しなければなりません。
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自動倉庫でクレーンが採用されているシステムを紹介
自動倉庫には、スタッカークレーンを利用したシステムが数多く販売されています。各メーカーでさまざまなシステムがラインナップされているため、導入前にどのような製品がランナップされているか確認しましょう。
そこでここからは、各メーカー別にクレーンが採用されている自動倉庫システムを紹介します。
オカムラ
インテリアやオフィス家具など総合力のあるオカムラでは、物流システム機器の製造販売もおこなっており、さまざまな自動化機械がラインナップされています。自動倉庫システムでは、ピッキングシステムやロータリーラックなどが発売されており、倉庫内作業の自動化をすることができます。
なお、スタッカークレーンを利用した自動倉庫システムでは、定型バケット用の立体自動倉庫システム「バケットスタッカー」と、さまざまなサイズの製品に対応できるカートンケース型の立体自動倉庫システム「カートンスタッカー」などもラインナップされています。
また、パレット単位で格納できる立体自動倉庫システムの「パレットスタッカー」は、1,000kgまでの重量物にも対応する強化構造となっており、荷姿や作業方法に沿った構築をすることができます。
ダイフク
マテハン機器メーカーのなかで最大手となるダイフクでは、スタッカークレーンを利用した自動倉庫システムを数多く発売しています。
パレット単位で保管および自動搬送できるユニット式立体自動倉庫システムの「コンパクトシステム」では、格納する製品の種類や形状、ロットなどに合わせて構築することができます。
また、少量多品種で不定形な製品を取り扱いたい場合、さまざまな単位で保管することができるケース立体自動倉庫「ファインストッカー」なども発売されています。この立体自動倉庫では、従来品よりも大幅にスタッカークレーンの軽量化を実現しているため、稼働時における消費電力も削減されています。
SANSHIN
スチールラックを主力にした物流システムを手掛ける三進金属工業では、独自のトップブランド「HARDY RACK」を展開しています。
なかでも、ユニット式立体自動倉庫はラックとクレーンを一体化させているため、天井などのデッドスペースも有効活用することができます。また、バケット保管用立体自動倉庫では、クレーン走行時の制振制御がされているため、クレーンの加減速も滑らかに稼働し静かな走行を実現しています。
まとめ
自動倉庫システムでも多く採用されているクレーンは、製品の格納や取り出しをするためにもっとも重要なパーツです。
なお、クレーンには人荷昇降式と荷昇降式の2種類があり、それぞれ「床上型」「懸垂型」「天井クレーン型」に分類することができます。また、クレーンを操作する場合、吊り上げ荷重に応じて特別講習や免許を取得する必要があります。
加えて、自動倉庫システムに導入されているクレーンは、労働安全衛生法の「クレーン等安全規則」に従い定期的な点検をする必要があるため、事業主は保守点検を実施するようにしましょう。