今さら聞けない立体自動倉庫と自動倉庫

医薬品の製造工場や物流倉庫など、非常に多くの業種で採用されている立体自動倉庫は、空間を有効活用して作業の省力化を実現できるメリットがあります。そんな立体自動倉庫以外にも「自動倉庫」といった仕組みもあるため、混同してしまっている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、立体自動倉庫の基礎知識を解説するとともに、立体自動倉庫の特徴や運転操作に必要な資格、耐用年数などを解説します。また、立体自動倉庫を製造しているメーカーも併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

立体自動倉庫とは

立体自動倉庫と自動倉庫は似ているものの、明確に違いが存在します。とはいえ、具体的にどのようなポイントが違うのか分からない方も多いのではないでしょうか。

そこでここからは、立体自動倉庫と自動倉庫の違いについて詳しく解説します。

立体保管する自動倉庫システム

立体自動倉庫システムは、一般社団法人「日本規格協会」と一般社団法人「日本産業機械工業会」にて用語が定義されており「Automated storage and retrieval system (AS/RS)」と表記されているケースもあります。

スタッカークレーンを活用した入出庫ステーションや、専用のラックで構成されている立体保管が可能な自動倉庫システムになります。

立体自動倉庫と自動倉庫との違い

自動倉庫とは、立体自動倉庫システムやピッキングシステム、自動搬送ロボットに倉庫管理システム(WMS)など、倉庫内作業を自動化していくための施策全般を指しているケースが多い傾向にあります。

そのため、用語が定義されている立体自動倉庫システムとは違って、自動倉庫は範囲の広い意味合いで使われているのが一般的です。

立体自動倉庫の特徴

ひとくちに立体自動倉庫システムといっても、さまざまな種類が発売されており、用途や目的に合わせて導入する形態が変わってきます。そのため、導入を検討している場合は、立体自動倉庫の特徴を把握しておくことが重要です。

そこでここからは、立体自動倉庫システムの特徴について解説します。

搬送装置

立体自動倉庫システムでは、保管棚から物品を搬送するために「搬送装置」が設置されています。一般的には水平走行と上下搬送が可能な「スタッカークレーン」と呼ばれる搬送装置が設置されています。

また、近年では垂直搬送はリフターが行い、水平搬送は電動式のシャトル台車で行う「シャトル台車式」も多く導入されています。

パレット式とケース式

立体自動倉庫システムには「パレット式」と「ケース式」で分かれており、格納する物品によって採用する仕組みが変わります。パレット式では、パレットに物品を積み込む形式となるため、原料や製品はもちろんのこと、ロール状の物品やコイル材なども格納できるタイプとなります。

一方のケース式については、コンテナやダンボール箱、トレイに対応する格納タイプになるため、少量多品種を取り扱う業種で多く採用されている傾向にあります。

ラックの種類

立体自動倉庫システムで物品を格納するためのラックには、ユニット式と建屋一体型の2種類があります。ユニット式では導入形式が自由に設計できるため、物流倉庫や製造工場など、さまざまな場所で採用されています。

一方、建屋一体型は、ラックに外壁や屋根が設置されているタイプとなるため、大型の倉庫や危険物などを取り扱う業種で採用されているのが一般的です。なお、建屋一体型については建造物となるため、建築基準法が適用されます。

立体自動倉庫に必要な運転資格


立体自動倉庫システムで物品を搬送するスタッカークレーンを操作する場合、労働安全衛生法に基づいた「クレーン等安全規則」が適用されます。そのため、運転操作は「クレーン運転特別教育」の受講者でなければなりません。

なお、クレーン運転に関する特別教育は、日本クレーン協会や立体自動倉庫システムメーカーでも受講することができます。

立体自動倉庫の耐用年数

立体自動倉庫システムの耐用年数は、減価償却資産の耐用年数表における「機械及び装置」に該当し、8年から12年程度とされています。ただし、これはあくまで減価償却資産としての耐用年数になるため、実際に寿命を迎えてしまい使えなくなる訳ではありません。

そのため、各種メーカーによる保守メンテナンスを実施していくことで、実年数では20年以上は持つとされています。

立体自動倉庫の代表的なメーカー

立体自動倉庫システムを導入する場合、各メーカーの特徴を比較しなければなりません。ただし、立体自動倉庫システムメーカーも多いため、どこのメーカーにすればいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか・

そこでここからは、立体自動倉庫システムを製造する代表的なメーカーを3つピックアップして紹介します。

ダイフク

株式会社ダイフクは、国内初の立体自動倉庫システムを開発したマテハン機器を製造するメーカーです。マテハン機器の売上高が8年連続で世界一位を獲得しており、グローバルで活躍している企業といえます。

なお、パレット式の立体倉庫システム「コンパクトシステム」や、ケース式の立体自動倉庫システム「ファインストッカー」など、目的に合わせた立体自動倉庫システムがラインナップされています。

その他にも、食品や飲料など大ロットにも対応できる超高密度パレット自動倉庫「シャトルラックD³」も発売されています。

IHI物流産業システム

株式会社IHI物流産業システムは、IHIのグループ企業で立体自動倉庫システムを開発・製造しているメーカーです。製品ラインナップが非常に豊富で、パレット式やケース式はもちろんのこと、建屋一体型のビル式自動倉庫の構築も行っています。

パレット式自動倉庫では、IHI独自の「トラペゾイド・アクセラレーションシステム」が搭載されており、短時間での入出庫が可能なほか、振動や揺れを最小限に抑える設計が取り入れられています。

なお、建屋一体型立体自動倉庫システムとしては、トップクラスの導入実績があり、設計から施工まで一貫して依頼することが可能です。

村田機械

村田機械株式会社は、ダイフクに続く世界的なマテハン機器メーカーのひとつです。パレットにコンテナにケースなど、さまざまな荷姿に対応した自動倉庫システムを構築することができます。

また、冷凍・冷蔵環境や危険物を保管する用途・目的でも構築できる立体自動倉庫システムも用意されているため、多彩なシーンで活用できます。その他にも、順列出庫や中間保管、G2Pピッキングなど、豊富なアプリケーションが用意されているため、用途や環境に合わせて設計できるメーカーです。

まとめ

立体自動倉庫システムは、保管する物品に合わせて「パレット式」や「ケース式」などの種類を選び構築できます。また、ラックシステムは通常のユニット式に加えて、建屋一体型の自動倉庫システムも構築できるため、格納規模に応じた設計も可能です。

以上のことからも、立体自動倉庫システムは非常に幅広い業種や環境で採用されており、作業の省力化を実現できます。なお、導入をする際には、各メーカーの特徴や導入事例などを参考にしつつ、比較検討しましょう。

この記事の筆者

株式会社APT

株式会社APT

世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。

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