倉庫管理のコスト削減を実現するために見直すべきポイント8選

物流の効率化は、運送業界を始めとする物流に関わる多くの企業にとって大きな課題のひとつです。そのなかでも、より大きなパフォーマンスを出せる重要な施策が「倉庫管理の改善」といえるでしょう。

倉庫を運用して管理するためには、人件費や保管費など非常に多くの物流コストがかかってきます。そのため「どうにか倉庫管理にかかるコストを削減して改善したい」と悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、倉庫管理のコストを削減する重要性を解説するとともに、見直しておきたい8つのポイントを個別具体的に紹介します。コストマネジメントは企業が成長するために重要なポイントになりますので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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物流コストの内訳

物流コストの内訳を把握することは、物流プロセス全体の効率化、コストの削減を実現するために非常に重要です。物流コストを機能別に分類すると、運送費、保管費、荷役費、管理費、人件費5つになります。

運送費

運送費はモノを運ぶときにかかる物流コストです。
運送費は、荷物の「サイズ/重さ」、「輸送距離」、「輸送時間」の3つの要素で決定されます。

保管費

保管費とは、商品を倉庫等で保管する際に発生する物流コストのことです。これには、営業倉庫のリース料、レンタル倉庫のレンタル料、そして保管中の商品の管理コストなどが含まれます。

荷役費

荷役費は物流作業にかかるコストを指します。具体的には、商品を倉庫に収納する際の費用、倉庫から商品を引き出す際の費用、商品の梱包に伴う費用、シール貼りやタグ付けに関連する費用などが含まれます。荷役費は作業量と密接に関係しており、作業の効率化によって費用を削減できる可能性があります。

管理費

管理費は、物流の運営や調整に関連するコストを指します。これには、物流や注文管理システムの設置や維持に関する費用が含まれます。システム設置には一定の大きな投資が必要であり、一度導入されると、そのシステムを容易に変更することは難しいです。

人件費

人件費は物流業務に従事するスタッフの給料や給与などを指します。なかなか削減できない物流コストですが、作業での人的ミスがよく発生する際に、物流システムを導入し、人件費の削減も期待できます。

物流コストが膨張する主な要因

ここでは、物流のコストが膨らむ要因について説明します。要因を把握して物流プロセスをより効率化していきましょう。

人為的なミスが多い

ピッキングミスや配送先の誤りなどの誤出荷が頻繁に発生すると、クレームが発生し、その後の処理には余分な手間と時間がかかります。こうした状況では、ヒューマンエラーを削減するために、物流システムの導入などの対策が必要です。

工程管理ができていない

入荷から出荷までのプロセスで、誰がどこでいつどのような作業を行ったかを追跡できないのは問題です。この状況では、現状の分析ができず、現場での課題解決に向けたフィードバックが難しいです。全プロセスを把握できる情報システムを導入するのが必要です。

「ムリ」「ムダ」「ムラ」が多い

「ムリ」とは作業量がキャパシティを超えている状態を指し、「ムダ」とは作業量がキャパシティに満たない状態を意味します。「ムラ」は、ムリとムダが交互に発生する不安定な状態です。
作業量とキャパシティがバランス良く整う環境を作るためには、作業の簡素化が効果的です。簡素化により作業速度が向上し、ミスが減少し、さらに必要な人員を最小限に抑えることができます。

これらの要因を防ぐには倉庫管理のコストを見直す必要があります。

倉庫管理のコストを削減する重要性

業績を上げていくためには、適切なコストマネジメントを実施して、効率的な業務を継続的にしていかなければなりません。そのなかでも、倉庫管理のコストを適切に見直すことで、単純なコスト削減だけではなく、生産性の向上にもつながるでしょう。

なお、倉庫管理を徹底するとは、ひとことで言ってしまえば「すべての倉庫内業務を見える化する」ということ。そうすることで、適切な管理がおこなえる以外にも、コストの肥大化を防ぐこともできます。

適切なコスト削減の施策を打つことで、日々のランニングコストも抑えることができますので、運転資金に余裕ができたり、別事業への投資など、浮いた費用も効果的に使うことができるようになります。

倉庫管理のコスト削減をするために見直すポイント8選

倉庫管理のコスト削減をするために見直すポイント8選

倉庫管理にかかるコストには、人件費や保管費はもちろんのこと。さまざまな部分でコストがかかってきます。そのため、効率化を図るとともに適切な施策をしなければなりません。

そこでここからは、コスト削減をするうえで効果的な8つのポイントを紹介します。自社に導入しやすい施策から見直していきつつ、コスト削減をしていきましょう。

1.整理整頓

倉庫管理のなかでも、手軽で効果的なコスト削減の方法は、倉庫内の整理整頓です。この施策を本格的に実施することで、以下のようなメリットがあります。

・倉庫内のスペースを有効活用できる
・入庫や出庫作業がしやすくなる
・作業効率が上がり人件費のコストダウンが図れる

このように、倉庫内をきちんと整理整頓するだけでもコストダウンができるうえに、作業の効率化も図ることができます。また、作業環境が改善し生産性が上がることで、従業員のモチベーションアップにもつながります。

2.適正在庫

適切な倉庫管理をするためには、適正在庫を維持しなければなりません。例えば、在庫量が過剰な状態では保管スペースも必要になってくるうえに、倉庫内での仕分け作業なども増えてしまうため、コスト増につながるでしょう。

反対に、適切な在庫量が確保できていない場合、需要の増加などに対応できなくなってしまうため、販売などの機会損失にもなってしまいます。加えて、欠品を補うための追加業務も必要になるため、人的コストも発生していきます。

このように、適正在庫で管理できていない場合はコスト増につながるケースが多いため、需要と供給のバランスを見定めつつ、在庫管理をすることが重要です。

3.ロケーションの最適化

倉庫内の保管スペースを有効活用するためには、ロケーション管理が非常に重要です。商品の大きさや種類などに応じて仕分けることで、無駄なく保管することができるため、比例するように作業効率も上がります。

また、ロケーションには、商品と保管場所が固定されている「固定ロケーション」と、空いているスペースに商品を保管する「フリーロケーション」があります。また、近年では固定ロケーションとフリーロケーションのふたつを取り入れた「ダブルトランザクション」などのロケーション管理方法もあります。

大切なことは、取り扱いをしている商品に対して、どのようなロケーション管理方法が適切かを判断して取り入れていくということです。

4.作業ルールの徹底

より効果的なコスト削減をしていくのであれば、倉庫内作業のルールを徹底しましょう。一見すると見落としがちな倉庫内作業のルールですが、適切なルールで管理しなければ商品が乱雑に扱われてしまったり、保管場所もバラバラになってしまうなど、効率化とは程遠い状態になってしまいます。

このようなことを避けるためにも、作業マニュアルの見直しや禁止・注意事項の制定など、作業をするうえできちんと意思統一ができるように、従業員にはルールを周知させなければなりません。

倉庫内担当者の裁量にすべてを一任するのではなく、ルール・仕組みとして徹底させていきましょう。そうすることで、作業効率が上がることはもちろんのこと、作業員に対する教育コストも抑えることができます。

5.自動化機器の導入

自動化機器などのシステムを導入すれば、人的コストを削減できます。例えば、ソーターやピッキングシステムなどのマテハン機器は、うまく活用・導入すれば大幅な人的コスト削減が期待できます。

しかし、注意しなければならないのは、導入後の試算をきちんとシミュレーションするということ。自動化機器の導入後は、人件費などのコストは抑えられるものの、保守・維持コストが別途必要になるうえに、設置スペースも確保しなければなりません。

そのため、導入後にどの程度コスト削減ができて、どれくらいの費用対効果があるかは見定めましょう。

ピッキングシステムの種類と選び方についてはこちら

6.倉庫レイアウトの見直し

さまざまなコストを下げると同時に、生産性を上げていくことも重要です。そこでポイントとなるのが、ピッキング効率の高い倉庫レイアウトにするということ。どこに何の商品が保管されているのかを、簡単に把握できるようなレイアウトにすれば作業効率は格段に上がります。

例えば、出荷頻度の高い商品とそうでない商品を分けて保管するなど、商品ごとの分類も重要です。作業員の動線を考慮したレイアウトに改善すれば、倉庫内作業員の生産性も上がります。

7.倉庫管理システム(WMS)の導入

倉庫管理システム(WMS)を導入すれば、効率よく物流コストを削減できます。WMSでは、ラベル管理などでシステム化するため、人為的に起きてしまうミスを減らすこともできます。

また、入荷や出荷業務などの煩雑になりがちな業務もシステムによって管理できるため、従業員の教育コスト削減にもつながります。加えて、倉庫内の状況を可視化すれば、誤発注などの人的ミスも早期に是正できるため、さまざまな物流コスト削減につながるでしょう。

WMS(倉庫管理システム)についての詳細はこちら

8.アウトソーシングの活用

適切な倉庫管理を構築するためには、さまざまな設備投資や人的コストをかけていかなければなりません。そのため、自社倉庫を保有していない企業や、現状で人材不足の場合、倉庫管理をアウトソーシングするのもひとつの方法です。

倉庫管理をアウトソーシングすれば、限られた人的資源を倉庫内作業に割く必要がなくなるため、他の物流業務に集中ができます。また、新たに設備投資などもする必要がなくなるため、設備投資コストを抑えることができます。

まとめ

倉庫管理を適切に見直すことで、作業の効率化や生産性の向上に加えて、物流コスト削減にも寄与します。整理整頓やルールの周知はもちろんのこと、自動化機器や倉庫管理システムを導入すれば、長期的にコストを抑えられます。

なお、倉庫管理に自社のリソースをあまり割くことができないような場合、アウトソーシングなどをうまく活用すれば、コスト削減を図れるためおすすめです。

物流エンジニアリング会社としてメーカーにとらわれない様々なご提案を得意としており、メーカー独自の仕組みにも対応が可能です。長年培った弊社の技術力でお客様の自動倉庫に関するあらゆるお悩みをサポートいたします。

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この記事の筆者

株式会社APT

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世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。

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