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WMSと他システムを連携するメリット・デメリットを徹底解説!

WMSと他システムを連携するメリット・デメリットを徹底解説!

近年ではEC需要の増加や多頻度出荷の増加により、システム間連携の重要性がさらに高まっています。一方で、連携にはコストや運用負荷、障害リスクなどのデメリットも存在するため、メリットとリスクを正しく理解したうえで判断することが大切です。

そこで本記事では、WMSと連携すべき主なシステムの特徴、他システムと連携するメリット、そして押さえておくべきデメリットについて詳しく解説します。物流改革を進めたい企業や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

APTの物流システム開発ソリューション「WMS・WCS・WES」

WMS(倉庫管理システム)と連携すべき主なシステムとは?

WMSは倉庫内の作業を管理するシステムですが、他システムと連携することで、データが自動で流れ、ミスの削減や作業スピード向上につながります。

そこでここでは、WMSと特に相性がよく、連携することで効率化が可能な3つのシステムについて解説します。

基幹システム(ERP)

ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業活動に関わる会計、人事、販売、購買、生産などの幅広い情報を一元管理する基幹システムです。WMSとERPを連携することで、入出庫データや在庫変動情報が自動で共有され、受発注や会計処理などの業務がスムーズに進むようになります。

在庫情報がリアルタイムで同期されることで、販売管理や生産計画の精度が向上する点が大きなメリットです。ERPを中心に全社のデータを集約している企業にとって、WMSとの連携は業務全体の最適化を実現する重要な要素となります。

関連:WMSとは ?基幹システムとの違いやメリットを紹介

統合物流管理システム(LMS)

LMS(Logistics Management System)は、調達・在庫・輸配送・倉庫といった物流全体のプロセスを一元的に管理するシステムです。WMSは倉庫内に特化した管理が中心であるのに対し、LMSはより広い範囲で物流戦略の最適化を支援する点に特徴があります。

WMSとLMSを連携することで、倉庫現場の実績データが即座に反映され、在庫最適化や輸配送との連動がスムーズになるため、物流の全体効率が大きく改善されます。

関連:LMSとWMSの違いとは?それぞれの特徴や導入目的・メリットを解説

倉庫運用管理システム(WES)

WES(Warehouse Execution System)は、倉庫内の人・マテハン設備・作業工程をリアルタイムに制御するためのシステムです。WMSが「何を・いつ・どこから出荷するか」といった在庫・指示管理を担うのに対し、WESは「どの作業者が・どの設備を使い・どの順番で作業を進めるか」を細かく最適化する役割を持ちます。

WMSとWESを連携すると、作業指示の受け渡しが自動化され、現場オペレーションのムダが大幅に削減されます。処理能力の向上や繁忙期のボトルネック解消を目指す企業にとって、WESの導入とWMSとの連携は非常に有効な手段です。

WMSを他システムと連携するメリット

WMSを他システムと連携するメリット

WMSを他システムと連携することで、倉庫業務だけでなく企業全体の物流プロセスが大幅に最適化されます。受注から出荷、在庫管理、配送計画に至るまでの情報が自動的に連動し、手作業の削減や在庫精度の向上、リードタイム短縮といった大きな効果が期待できます。

そこでここからは、WMS連携によって得られる主なメリットをわかりやすく解説していきます。

業務効率化と人的ミスの削減

システム間を手作業でつなぐ場合、伝票の転記やデータ入力などの作業が膨大になり、人的ミスを引き起こすリスクが増加します。WMSと他システムを連携すると、これらの作業が自動化されるため、人的ミスの発生率が大幅に低減します。

また、情報がリアルタイムに同期されることで、二重入力が発生しにくくなり、現場作業の負担も減ります。人手不足が深刻化する物流業界において、業務効率化とミス削減は非常に大きなメリットです。

在庫情報のリアルタイム化と適正化

WMSと他のシステムを連携すると、在庫情報がリアルタイムで同期されるため、在庫精度が大幅に向上します。これは欠品や過剰在庫を防ぎ、売上機会の損失を減らすうえで非常に重要です。

また、在庫変動がリアルタイムで可視化されることで、補充タイミングの最適化や保管スペースの効率利用にも役立ちます。在庫回転率の改善や、不要在庫の削減といった経営効果にもつながるため、データ連携は企業にとって大きなメリットとなります。

リードタイムの短縮とコスト削減効果

WMSと他システムを連携することで、受注から出荷までの一連の工程がシームレスにつながり、全体的なリードタイムが大きく短縮されます。例えば、OMS(Order Management System:受注管理システム)から受注データが即座にWMSへ連携されることで、倉庫側はすぐにピッキング作業へ移行でき、出荷処理のスピードが向上します。

また、手入力作業が減ることで作業工数が削減され、人件費や運用コストの抑制にもつながります。効率化とコスト削減の両方を実現し、物流全体のパフォーマンス向上に寄与します。

WMS連携におけるデメリット

多くのメリットがある一方で、WMSを他システムと連携するにはコストや運用負荷、データ整合性の確保といった課題も伴います。連携するシステムが増えるほど構造は複雑化し、導入時の開発工数や障害発生時の原因特定が難しくなる場合もあります。

そこでここからは、WMS連携に潜むリスクや注意すべきポイントについて、具体例を交えながら解説していきます。

導入・開発コストがかかる

WMSと他システムを連携する際には、初期導入費用や開発コストが必ず発生します。API連携やデータマッピングの構築、マスター整備、仕様確認など、多くの工程が必要となり、連携範囲が広いほど費用が増加します。

また、導入後も保守・運用コストが発生し、業務ルールの変更に伴う追加改修が必要になる場合もあります。これらの費用を十分に見込めていないと、運用開始後に予算超過を招く可能性があります。

システム間の仕様不一致によるトラブル

WMSと他システムを連携する場合、最もよく起きる課題が仕様不一致によるトラブルです。システムごとにデータ形式や管理ルールが異なるため、連携時にデータ不整合が発生することがあります。

また、時刻管理の方式が異なることで、在庫更新タイミングにズレが生じ、誤った在庫引き当てが行われることもあります。こうしたトラブルは運用開始後に発覚することもあり、現場に混乱を招く原因となります。

障害時の切り分けが困難

複数システムを連携している環境では、障害が発生した際にどのシステムが原因なのかを特定することが難しくなります。WMS、ERP、OMS、TMSなどが連動している場合、エラーの要因は通信不良、データ不整合、APIの応答遅延、ネットワーク障害など多岐にわたり、調査に時間を要するケースが多くあります。

また、複数ベンダーが関わる場合は責任範囲が曖昧になり、調整に時間がかかることも少なくありません。こうしたリスクを回避するには、障害発生時の連絡手順やログ確認方法、サポート体制を事前に整備し、迅速に原因特定できる仕組みを作っておくことが重要です。

まとめ

WMSと他システムを連携することは、倉庫単体の効率化にとどまらず、受注・在庫・配送までを含むサプライチェーン全体の最適化につながります。業務の自動化による作業効率の向上、リアルタイム在庫の実現、出荷スピード向上によるリードタイム短縮など、企業にとって大きなメリットをもたらします。

一方で、導入・開発コストの負担や、システム間の仕様不一致、障害発生時の切り分けの難しさといったデメリットも存在するため、慎重な検討が欠かせません。効率化を目指す企業は、連携可能なシステムや運用体制を比較し、自社に最適な仕組みを構築することが大切です。

APTは、WMS(倉庫管理システム)・WCS(倉庫制御システム)・WES(倉庫実行システム)を連携させ、倉庫内の業務・設備・作業指示を一元的に管理・制御する物流システム開発ソリューションを提供しています。異なるメーカーの機器やマテハン装置とも柔軟に接続することで、システムや設備が分断されることなく、現場の可視化・制御・業務効率化を同時に実現します。

APTの物流システム開発ソリューション「WMS・WCS・WES」

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この記事の筆者

株式会社APT

株式会社APT

世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。

本社住所 : 千葉県千葉市美浜区中瀬1-3 幕張テクノガーデンB棟 22F

設立 : 2009年8月(創業:1984年10月)

建設業許可 : 機械器具設置工事業