商品の保管効率を上げることが可能な立体自動倉庫のなかでも、パレット型自動倉庫は保管効率が高いシステムのひとつです。生産工場に物流倉庫など、さまざまな場所でも活用されているパレット型自動倉庫ですが、導入前する前にメリットやデメリットを把握することが重要です。
そのためこの記事では、パレット型の立体自動倉庫に関する基礎知識を紹介します。パレット型の種類やメリデメを分かりやすく解説しますので、導入前にきちんと確認してみましょう。
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目次
パレット型自動倉庫とは?
パレット型自動倉庫とは、パレット単位で保管することができる立体自動倉庫のことを指します。入出庫から保管までの工程をすべて自動化できるシステムなので、倉庫内の作業を省人化できます。
パレット質量に応じた重量物にも対応しているタイプが多いので、従来のようなフォークリフトでの入出庫作業を自動化できます。また、パレット型の立体自動倉庫は高層化もできるシステムなので、上部空間など空いたスペースも有効活用できます。
パレット型自動倉庫の種類
パレット型の立体自動倉庫は、商品を格納する量に応じていくつかの種類が存在します。
具体的には、スタッカークレーン1台を挟む形で棚が設置されている『シングルタイプ』と、スタッカークレーン2台で計4列の棚で商品を格納する『ダブルタイプ』などが該当します。
なお、これらの種類はメーカーによっても呼び名が変わっています。たとえばIHI物流産業システムのパレット型自動倉庫では『リングルリーチタイプ』『ダブルリーチタイプ』と呼ばれています。
また、マテハン機器大手のダイフクでは『シングルディープ』『ダブルディープ』という名称で構成の種類が分かれています。
パレット型自動倉庫のメリット
パレット型の立体自動倉庫を倉庫や工場に導入した場合、以下のようなメリットがあります。
・作業効率と生産性の向上
・作業ミスの削減
・スペースの有効活用
・人件費削減効果
導入を検討している際には、どのようなメリットがあるのかを事前に把握しておくことが重要なので、ここでは個別の中身について詳しく解説します。
作業の効率化と生産性の向上
導入後のメリットとして挙げられるのが『作業の効率化』と『生産性の向上』です。
従来のように人が作業する必要がなくなるので、労働条件や環境に左右されることがなくなります。たとえば、冷凍食品などを保管する施設では、人が常時作業するのが難しいケースも存在します。
一方で立体自動倉庫では耐寒仕様もあるので、環境に左右されずに一定の生産性を維持することも可能です。要するに属人化を解消できるので、作業効率や生産性が向上するというわけです。
作業ミスの削減
パレット型の立体自動倉庫では、作業品質を安定化できるので『作業ミス(ヒューマンエラー)』を減らすことが可能です。
人が入出庫業務をする場合、確認ミスや漏れが発生するケースもあります。また、仕事量が多い時期などは、このようなヒューマンエラーが多発することも多く、人材教育・育成にも力を入れなければなりません。
一方で、立体自動倉庫は作業をすべて自動化できるシステムなので、作業ミスが発生することはありません。加えて、一定の作業品質を確保できるメリットもあります。
スペースの有効活用
立体自動倉庫のなかでもパレット型については、高層ラックで商品を収納することができます。そのため、天井の空いたスペースなども保管場所にしてしまうなど、倉庫内のスペースを有効活用できるメリットがあります。
また、システムの導入方法によっては、吹き抜けなどのスペースを活用して垂直搬送機の代わりとして利用するケースもあります。空いたスペースを保管場所として使える点も、メリットのひとつと言えます。
人件費削減効果
導入後にメリットになる点は、省人化を実現できることによる『人件費削減効果』です。
立体自動倉庫は入出庫や保管といった作業を自動化できるので、これまで必要だった作業員を配置する必要がありません。そのため、従来よりも人件費を削減できる点がメリットと言えます。
また、これまで必要だった作業のプロセスがなくなるので、スタッフを教育するコストも必要なくなるメリットがあります。
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パレット型自動倉庫のデメリット
パレット型の立体自動倉庫を導入する際には、以下のデメリット部分についても把握しておきましょう。
・導入費用が高額
・メンテナンス体制が必要
・システム障害の対応
・保管方法が固定される
これらの点を考慮して比較検討すれば費用対効果を算出できるので、事前に必ずチェックしましょう。
導入費用が高額
作業効率や生産性向上に一役買うパレット型の立体自動倉庫は、導入費用が高額というデメリットがあります。保管用の設備やスタッカークレーンに制御装置など、設置するためにはさまざまな構成を必要としています。
また、設置環境によっては高層化するケースもあるので、簡単に導入できるようなコスト感覚ではありません。そのため、既存の経費や導入後のランニングコストなど、導入前後のコスト比較は重要になってくると言えます。
メンテナンス体制が必要
人の教育や育成などは必要なくなる一方で、機械による運用に切り替わるのでメンテナンス体制は構築しなければなりません。定期的なメンテナンスを怠ってしまうと、予期せぬ機械トラブルが発生する可能性もあるので注意が必要です。
導入後の使用年数が増えるにつれて、消耗部品の交換や制御システムの更新などが発生するので、きちんとメンテナンス体制を整えることが重要です。
システム障害の対応
メンテナンス体制と同様に、システム障害が発生した際のトラブル対応についても明確にしておかなければなりません。
自動化で生産効率が劇的に向上する立体自動倉庫も、システム障害が発生すれば業務停止する可能性があります。早期に解決できなければ、長期間業務が止まってしまうことも考えられます。
システム障害が発生しても早期に復旧できるように、トラブル発生時の対応をマニュアル化しておく必要があります。
保管方法が固定される
パレット型の立体自動倉庫は、通常の保管ラックと比べて柔軟性がなくなるデメリットがあります。
保管方法や荷主などがある程度固定化されてしまうので、現状の商品や取引先でも対応できるのか確認しなければなりません。
場合によって立体自動倉庫の導入が適していないケースもあるので、事前にチェックを行いましょう。
まとめ
パレット型の立体自動倉庫は、省人化によるコスト削減や自動化による生産性の向上など、非常にメリットの多い設備です。なお、商品の格納量に応じて、シングルタイプとダブルタイプに分かれているので、導入規模に応じてタイプを選択できます。
取扱メーカーもある程度限られてしまう部分がありますが、選定する際にはメンテナンス体制なども一緒にチェックしてみるのがおすすめです。
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