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SaaS型WMSとは?クラウド型・ASP型の違いやメリット・デメリットを解説

SaaS型WMSとは?クラウド型・ASP型の違いやメリット・デメリットを解説

物流現場のデジタル化が進む中、在庫管理や入出庫作業の効率化を図る手段として注目されているのがWMS(倉庫管理システム)です。なかでも、クラウド環境を活用したSaaS型WMSの導入が拡大しており、従来のオンプレミス型と比較して初期費用の低さや導入スピードの速さが評価されています。

そこで本記事では、SaaS型WMSの基本的な特徴からクラウド型やASP型との違い、導入におけるメリット・デメリットまでをわかりやすく解説します。自社に最適なWMSを選定するための参考として、ぜひご活用ください。

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SaaS型WMSとは?

SaaS型(Software as a Service)WMSとは、インターネット経由で提供されている倉庫管理システムのため、ユーザーはサーバやソフトを自社で保有・管理する必要がなく、すぐに利用することができます。

入出庫管理・在庫管理・ロケーション管理など、WMSに必要な基本機能をクラウド環境でスムーズに運用できる点が特徴です。従来のオンプレミス型と比較して、初期費用を抑えられ、システムの導入期間も短縮可能なため、スピードや柔軟性を重視する物流現場で多く採用されています。

複数拠点での一元管理や、スモールスタートに対応しやすい点もSaaS型WMSの大きな魅力といえるでしょう。

SaaS型WMSとクラウド型・ASP型の違い

WMSにはSaaS型以外にも「クラウド型」「ASP型」が存在しますが、それぞれに仕組みや違いがあります。混同されがちなこれらの形態について、それぞれの特徴や違いを理解しておくことが重要です。

そこでここからは、SaaS型WMSとクラウド型・ASP型の違いをわかりやすく解説します。

クラウド型とは?

クラウド型とは、インターネットを通じて利用するサービス形態で、物理的な設備を自社で持たずにITリソースを活用できるのが特徴です。WMSにおけるクラウド型では、データや機能がクラウド上にあり、Webブラウザを使ってアクセスします。

導入や運用の手間を大幅に削減でき、拠点の追加やユーザー数の増加にも柔軟に対応可能です。

ASP型とは?

ASP型とは、「Application Service Provider」の略で、ベンダーが保有・管理するアプリケーションを、ユーザーがインターネット経由で利用するサービス形態です。利用者ごとに専用の環境が用意される「シングルテナント型」が主流で、比較的自由度の高いカスタマイズが可能という特長があります。

一方で、バージョン管理やアップデートの頻度はベンダーの判断に左右されることが多く、SaaS型に比べてメンテナンスコストがかかる場合もあります。共通基盤を利用するSaaS型とは異なり、導入・運用の柔軟性は高いものの、その分費用や管理負担が増す点には注意が必要です。

SaaS型WMSのメリット

SaaS型WMSのメリット

SaaS型WMSは、オンプレミス型や従来のASP型と比べて、コスト面・導入スピード・運用のしやすさなど多くの利点を持つサービス形態です。

そこでここでは、企業がSaaS型を選ぶ理由としてよく挙げられる代表的なメリットについて、具体的に紹介していきます。

初期費用が安く導入しやすい

SaaS型WMSの大きな特長のひとつが、初期費用を大幅に抑えられる点です。オンプレミス型のように、サーバ機器やネットワーク環境の構築、ソフトウェアの購入・インストールなどが不要なため、導入時にかかる初期投資を最小限にできます。

また、料金体系も月額課金制が一般的なため、コスト管理がしやすいのも利点です。中小企業やスタートアップ、倉庫業務を立ち上げたばかりの事業者でも無理なく導入できるため、スモールスタートにも適しています。

短期間で運用開始できる

SaaS型WMSは、すでに構築されたシステムをクラウド経由で提供する形式のため、システム構築や環境整備にかかる期間を大幅に短縮できます。従来のオンプレミス型では、サーバの設置や個別開発に数ヶ月を要することもありましたが、SaaS型であれば最短で数日〜数週間での稼働が可能です。

これにより、新規拠点の立ち上げや繁忙期前の体制強化など、時間的制約のある場面でも柔軟に対応できます。また、導入後すぐに基本的な機能が利用可能なため、教育や定着にも時間がかかりにくく、現場の業務改善をスムーズに進められる点も大きなメリットです。

常に最新バージョンが利用できる

SaaS型WMSでは、システムの保守・管理はすべてベンダー側が行うため、ユーザーは常に最新バージョンのソフトウェアを利用できます。新機能の追加やUI改善、セキュリティパッチの適用なども自動的に行われるため、ユーザー自身がアップデート作業を行う必要はありません。

また、システムのダウンタイムも最小限に抑えられるため、日々の業務に支障をきたすことなく安定運用が実現します。継続的な改善と安心の運用体制を求める企業にとって、非常に有益な仕組みといえるでしょう。

SaaS型WMSのデメリット

SaaS型WMSにはメリットがある一方で、注意しておくべきデメリットも存在します。すべての企業にとって万能というわけではなく、カスタマイズやセキュリティ面における課題が挙げられます。

そこでここからは、導入前に押さえておきたいSaaS型の課題を整理して解説します。

カスタマイズ性は低い

SaaS型WMSは、複数のユーザー企業が同じシステム基盤を共有するため、個別のカスタマイズには限界があります。例えば、自社独自の処理フローや項目追加、複雑な連携要件などに柔軟に対応するのが難しい場合があります。

業務標準化が進んでいる企業にとっては問題になりにくいものの、特殊な物流オペレーションや他システムとの細かな連携が必要な現場では、SaaS型では対応しきれない可能性があります。

セキュリティ面に懸念が生じる

SaaS型WMSはインターネットを介してシステムにアクセスするため、セキュリティ対策の重要性が高まります。多くのサービスでは通信の暗号化やアクセス制御、ファイアウォール、IPアドレス制限などが実装されていますが、それでも自社データを外部環境に預けることに不安を感じる企業も少なくありません。

また、万が一のサイバー攻撃や障害時の復旧体制、データのバックアップ方針などについても、ベンダーとの間で事前に明確にしておくことが大切です。

処理性能に制約が生じる

SaaS型WMSは共用インフラ上で複数企業が同時に利用する構造のため、アクセスが集中する時間帯や処理が重なるタイミングでは、応答速度が遅くなる可能性があります。例えば、大量の入出庫処理や在庫一括更新など、瞬時のレスポンスが求められる業務では処理遅延が生じるリスクも否定できません。

また、リアルタイム連携が必要な現場では、処理スピードや通信安定性が業務品質に直結するため注意が必要です。

まとめ

SaaS型WMSは、初期費用を抑えながら短期間で導入でき、常に最新の状態で利用できる点が大きな魅力です。中小規模の倉庫や多拠点展開を行う企業にとっては、業務効率の向上やコスト削減を実現しやすいシステム形態といえるでしょう。

一方で、カスタマイズの制限やセキュリティ、処理性能などの懸念点もあるため、導入前には自社の業務要件とサービス仕様の適合性を慎重に見極めることが重要です。

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株式会社APT

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世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。