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3PL向けのWMSに求められる機能・選び方をご紹介

3PL向けのWMSに求められる機能・選び方をご紹介

3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業では、荷主ごとに異なる商品やルールを扱うため、在庫管理や出荷指示などのオペレーションが複雑になりやすいという課題があります。こうした中で注目されているのが、WMS(倉庫管理システム)の導入です。

そこでこの記事では、3PL向けのWMSに求められる主な機能と、導入時に押さえておくべき選び方のポイントをわかりやすく解説します。3PLの現場で管理を一元化したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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3PL向けにWMSを導入すべき理由

3PL事業は、荷主ごとに異なる在庫・運用ルール・請求形態を同時に管理する必要があるため、業務の煩雑化が避けられません。こうした多様な要求に対して柔軟に対応し、効率的な運用を実現するためには、WMS(倉庫管理システム)の導入が必要不可欠です。

そこでここからは、3PLがWMSを導入すべき具体的な理由を詳しく見ていきましょう。

業務の標準化・属人化の解消

3PLでは荷主ごとに業務ルールや出荷条件が異なるため、作業が属人化しやすく、担当者の異動や欠員によって現場が混乱することがあります。しかし、WMSを導入すれば入出庫・検品・ピッキングなどの手順をシステム上で標準化できるため、誰が作業しても同じ品質で業務を進められます。

これにより、教育時間の短縮や作業のムラを予防できるため、現場全体の安定稼働につながります。また、荷主ごとに異なる運用ルールも管理できるので、担当者に依存しない運用体制を構築できます。

ミス削減と顧客満足度の向上

3PL業務では、出荷ミスや在庫誤差が荷主企業の信頼を大きく左右します。WMSを活用することで、バーコードスキャンやハンディターミナルによるリアルタイムなデータ更新が可能となり、人為的な入力ミスを大幅に削減できます。

また、入出庫履歴や作業ログを自動で記録できるため、トレーサビリティの確保にもつながります。これにより、万が一トラブルが発生しても迅速に原因を特定し、再発防止策を講じることが可能になります。

レポート分析による経営改善

WMSは単なる倉庫の作業管理ツールではなく、経営判断を支えるデータ分析基盤としても大きな役割を果たします。作業実績や出荷量、在庫回転率、作業時間などの情報を自動的に収集・可視化することで、ボトルネックの特定や人員配置の最適化が可能です。

荷主別の作業量やコストを数値化することで、契約単価の見直しや収益性の改善にもつながります。これらのデータを活用することで、3PL企業は現場単位の効率化にとどまらず、経営全体をデータドリブンで最適化できます。

3PL向けのWMSに求められる機能

3PL向けのWMSに求められる機能

3PLにおける倉庫管理は、一般的な自社倉庫とは異なり複数の荷主・多品目・多拠点を同時に扱う複雑な仕組みを必要とします。そのため、3PL向けのWMSには、高度な在庫管理だけでなく、荷主ごとのルール設定やデータ連携など、柔軟で拡張性のある機能が必要になります。

そこでここからは、3PLの現場で特に重要となる要素について、具体的に解説していきます。

① スケーラビリティ・拡張性

3PLでは、荷主の増加や新たな業務受託、倉庫拠点の拡張など、事業環境が常に変化します。そのため、導入するWMSには高いスケーラビリティ(拡張性)が必要です。荷主や倉庫を追加する際に大規模なシステム改修が不要で、柔軟に機能やユーザー数を拡張できることが重要です。

また、季節波動に合わせて処理能力を柔軟に調整できる点も必要と言えるでしょう。長期的な成長を見据える3PLにとって、スケーラブルなWMSは持続的な競争力を支える基盤となります。

② 多様なカスタマイズ性

3PL事業では、荷主ごとに在庫管理ルールや出荷指示の方法が異なるため、WMSには柔軟なカスタマイズ性が欠かせません。標準機能だけでは対応しきれない運用も多く、検品順序、ラベル形式、ピッキング単位などを荷主単位で設定できるWMSが理想です。

こうした柔軟な設定機能を持つWMSなら、荷主の追加や運用変更にもスムーズに対応でき、現場の生産性を維持しながら業務を拡大できます。結果として、顧客満足度と業務効率の両立が可能になります。

③ 在庫精度の可視化とリアルタイム更新

3PLの信頼性を支えるのは、正確な在庫管理です。WMSでは、入庫・出庫・棚卸など、すべての在庫変動をリアルタイムで反映できるため、常に最新の在庫状況を把握することができます。

バーコードスキャンやRFIDによる自動認識を活用すれば、入力ミスや数量誤差を大幅に削減でき、在庫精度が飛躍的に向上します。また、在庫データの可視化により、滞留在庫や欠品リスクを早期に発見できる点も大きなメリットです。

④システムの連携性とデータ分析

3PL業務では、荷主の販売管理システムや輸配送管理システム(TMS)など、他システムとのデータ連携が欠かせません。WMSがAPIやEDIなどのインターフェースを備えていれば、受注情報や出荷データを自動で連携でき、入力作業を削減しながら業務スピードを高められます。

また、WMSに蓄積されたデータを分析し、作業効率や誤出荷率、人件費などを可視化することで経営改善に活用できます。連携性と分析機能を備えたWMSは、3PLのデジタル経営を支える中核システムといえるでしょう。

4PLとは?3PLとの違い・メリット・導入方法をわかりやすく解説(公開後のリンクを設定)

3PL向けのWMSの選び方

WMSを選定する際は、単に機能の多さで比較するのではなく、自社の運用体制や将来の拡張性に合った仕組みであるかを見極めることが大切です。特に3PLでは、荷主の追加が頻繁に発生するため、柔軟な対応力とサポート体制が導入後の安定稼働を左右します。

そこでここでは、オンプレミス型とクラウド型の違いや導入後のサポート体制など、失敗しないWMSの選び方を解説していきます。

オンプレミス型とクラウド型

WMSには「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があり、それぞれ特徴と適性が異なります。オンプレミス型は自社サーバーに構築するため、セキュリティ性とカスタマイズ性に優れており、大手3PL企業など高度な運用要件を持つ現場に適しています。一方で、初期費用や保守コストが高く、システム更新にも時間がかかる点が課題です。

これに対し、クラウド型は導入が容易で拠点追加にも柔軟に対応でき、コストを抑えて短期間で稼働可能です。近年では、セキュリティ技術の向上により中小規模3PLでも導入が進んでいます。

導入後のサポート体制

WMS導入の成否を左右するのは、システムの性能だけでなく導入後のサポート体制です。3PLでは荷主追加や運用ルール変更が頻繁に発生するため、導入後も柔軟に設定変更や機能拡張を支援してくれるベンダーを選ぶことが重要です。トラブル対応のスピードやサポート対応の営業時間もチェックすべきポイントです。

また、現場スタッフ向けの教育支援や、操作マニュアル・研修会などが用意されているかも確認しておくと安心です。定期的なバージョンアップや改善提案を行うベンダーであれば、WMSを長期的に安心して運用できます。

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まとめ

3PL向けのWMSは、複数荷主への対応や在庫のリアルタイム管理、請求処理の自動化など、業務全体の効率化と精度向上を実現する重要なツールです。導入により、属人化の解消や出荷ミスの防止、経営データの活用が進み、倉庫運営の品質と信頼性が向上します。

選定時には将来的な拡張性やカスタマイズ性、他システムとの連携性、そして導入後のサポート体制を総合的に比較することが大切です。自社の規模や荷主構成に合ったWMSを選ぶことで、業務の効率化を実現させましょう。

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この記事の筆者

株式会社APT

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世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。

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