
物流倉庫や製造現場、小売店舗などにおいて、棚卸は在庫数を正確に把握するために欠かせない業務です。しかし、従来の棚卸は人の手で商品を数え、紙や表計算ソフトに記録する作業が中心だったため、多くの時間と人員が必要になりやすいという課題がありました。
そこでこの記事では、棚卸を自動化するメリットや、実現に欠かせない自動化システムについて詳しく解説します。棚卸作業に時間がかかっている企業や、在庫差異に悩んでいる現場担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
棚卸を自動化するメリット
棚卸は一時的な確認作業と思われがちですが、実際には入荷、保管、出荷、返品、移動など、日々の在庫管理と密接に関係しています。そのため、棚卸の方法を見直すことは、倉庫業務全体の改善にもつながる重要な取り組みといえます。
そこでここからは、棚卸を自動化するメリットについて詳しく解説していきます。
棚卸作業の時間を短縮できる
棚卸を自動化する大きなメリットは、作業時間を短縮できることです。従来の棚卸では、担当者が棚や保管場所を回りながら商品を一つずつ確認し、数量を紙や表計算ソフトに記録する必要がありました。商品点数が多い現場では、数日かけて棚卸を行うこともあり、通常業務と並行して進める場合には大きな負担になります。
一方、システム上で在庫データを管理していれば、棚卸結果の集計や差異確認もスムーズになります。手作業で集計する必要がなくなるため、棚卸後の確認作業にかかる時間も短縮できます。
在庫数の精度を高められる
棚卸を自動化することで、在庫数の精度を高めやすくなります。在庫数が正確でない場合、実際には在庫がない商品を販売してしまったり、在庫があるにもかかわらず追加発注してしまったりする可能性があります。その結果、欠品や過剰在庫、販売機会の損失、保管スペースの圧迫などにつながります。
在庫管理システムや倉庫管理システムを導入すると、入荷、出荷、移動、返品などの情報をデータとして管理できます。日々の在庫変動が正しく反映されるため、帳簿上の在庫数と実在庫の差異を抑えやすくなります。
人的ミスを減らせる
手作業による棚卸では、数え間違い、記入漏れ、転記ミス、入力ミスなどが発生しやすくなります。似た商品が多い現場や、品番が細かく分かれている商品を扱う現場では、担当者の確認負担が大きくなり、ミスが起こりやすくなります。また、棚卸作業は単調な確認作業が続くため、長時間になるほど集中力が低下しやすい点にも注意が必要です。
一方で、バーコード管理システムやRFIDを活用すれば、商品情報を自動で読み取れるため、手入力によるミスを減らせます。商品コードや数量がシステムに直接反映される仕組みを作ることで、紙への記入や表計算ソフトへの転記作業を減らせます。
リアルタイムの在庫管理が可能
棚卸を自動化することで、リアルタイムに近い在庫管理がしやすくなります。従来の棚卸では、一定期間ごとに在庫数を確認するため、棚卸を行うタイミングまでは実際の在庫数とデータ上の在庫数に差が出ていても気づきにくい場合がありました。そのため、欠品や過剰在庫が発生してから問題に気づくケースもあります。
在庫管理システムや倉庫管理システムを活用し、入出庫情報をリアルタイムで反映できる仕組みを作れば、現場の在庫状況をすばやく把握できます。商品の入荷、出荷、移動、返品などが発生した際にデータが更新されるため、常に最新に近い在庫情報を確認しやすくなります。
棚卸の自動化に欠かせないシステム

棚卸の自動化といっても、在庫情報を管理するシステム、商品を読み取る機器、数量を把握するセンサー、画像から在庫を確認する技術など、さまざまな方法があります。棚卸を自動化するためには、自社の業務内容や在庫管理の課題に合ったシステムを選ぶことが大切です。
そこでここからは、棚卸の自動化に欠かせないシステムについて詳しく解説します。
在庫管理システム
在庫管理システムは、商品の在庫数や入出庫履歴、保管場所、発注状況などを管理するためのシステムです。紙や表計算ソフトで在庫を管理している場合、入力ミスや更新漏れが発生しやすく、複数人で同時に最新情報を共有することも難しくなります。
在庫管理システムを導入すれば、商品ごとの在庫数をデータで管理できるため、棚卸時の確認作業がしやすくなります。実在庫とシステム上の在庫を比較することで、差異の有無を確認しやすくなり、在庫差異が発生した場合にも原因を追いやすくなります。
倉庫管理システム
倉庫管理システムは、WMSとも呼ばれ、倉庫内の入荷、保管、ピッキング、検品、出荷、棚卸などを管理するシステムです。在庫管理システムが在庫数の管理を中心とするのに対し、倉庫管理システムは倉庫内の作業全体を管理できる点が特徴です。
また、倉庫管理システムはハンディターミナルやバーコード、RFID、自動倉庫、搬送設備などと連携できる場合があります。これにより、棚卸だけでなく、入出庫作業やピッキング作業、検品作業まで効率化できます。
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RFID
RFIDは、ICタグに記録された情報を電波で読み取る技術です。バーコードのように一つずつスキャンする必要がなく、複数の商品を一括で読み取れる点が大きな特徴です。棚卸作業においては、商品やケース、パレットなどにRFIDタグを取り付け、リーダーで読み取ることで在庫情報を取得できます。
RFIDを活用すると、商品を棚から取り出さなくても読み取れる場合があるため、棚卸作業の時間を短縮しやすくなります。アパレル、部品、医療材料、工具、資産管理など、商品点数が多く、個体管理が必要な現場と相性が良い方法です。
IoT重量計
IoT重量計は、重量センサーを活用して在庫量を把握する仕組みです。商品や部品を保管している棚や箱の重量を計測し、その重量から在庫数を推定できるため、同じ種類の商品をまとめて保管している現場で活用しやすい方法です。
従来は、小さな部品を一つずつ数える必要があり、棚卸に多くの時間がかかっていました。しかし、IoT重量計を活用すれば、重量の変化から在庫数を把握できるため、手作業で数える負担を減らせます。
画像認識システム
画像認識システムは、カメラで撮影した画像をもとに、商品や数量、保管状況を認識するシステムです。AI技術を活用することで、棚や保管場所にある商品を画像から判別し、在庫確認に役立てられます。人が目視で確認していた作業の一部をシステムに任せられるため、棚卸作業の効率化につながります。
ただし、画像認識システムは照明環境や商品の重なり、パッケージの類似性などによって認識精度が変わる場合があります。そのため、導入時には現場環境に合わせた調整が必要です。
バーコード管理システム
バーコード管理システムは、商品や棚、ロケーションに付けたバーコードを読み取り、在庫情報を管理する仕組みです。棚卸の自動化において、比較的導入しやすい方法の一つです。ハンディターミナルやスマートフォンを使ってバーコードを読み取ることで、商品情報や数量をシステムに登録できます。
バーコード管理を導入すると、手書きの記録や手入力によるミスを減らせます。商品コードを正確に読み取れるため、品番間違いや記録漏れを防ぎやすくなります。
まとめ
棚卸を自動化することで、作業時間の短縮、在庫数の精度向上、人的ミスの削減、人手不足への対応、リアルタイムに近い在庫管理など、さまざまなメリットを得られます。特に、取り扱い商品が多い現場や、在庫差異が頻繁に発生している現場では、自動化による効果を実感しやすいでしょう。
ただし、棚卸の自動化を成功させるためには、現場の課題を明確にしたうえで、無理なく運用できる仕組みを構築する必要があります。そのため、自社に合った自動化システムの導入を検討することが大切です。
APTでは、WMSをはじめとした物流システムの導入・開発を通じて、棚卸業務の効率化や在庫管理の最適化を支援しています。棚卸の自動化をご検討中の方は、ぜひご相談ください。


