お役立ち情報
ホワイト物流とは?求められる背景・メリットや注意点を徹底解説
国民の暮らしや企業活動を支える上で重要な役割を持つ物流は、少子高齢化社会に伴う人手不足に直面しています。このような社会的かつ構造的な問題を背景に、ホワイト物流と呼ばれる運動が注目されています。
そこで今回の記事では、このホワイト物流に注目しつつ、どのような取り組みなのかを徹底解説します。ホワイト物流が求められている背景や取り組んだ場合のメリット、注意点なども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ホワイト物流とは?
ホワイト物流とは、人手不足を解消するために生産性を向上させたり、物流業務の最適化を実現させるための取り組みのことを指します。正しくは「ホワイト物流」推進運動と呼ばれており、この活動は国土交通省が主体的に行っている活動になります。
例えば、トラックドライバーは若い男性が多いですが、女性や60代以上の方でも働きやすい労働環境を整備するといった活動もホワイト物流に含まれています。このようにホワイト物流というのは、安定的な物流を確保するために必要な取り組みといえるでしょう。
ホワイト物流が求められる背景
ホワイト物流が求められる背景は以下のとおりです。
- 労働人口の減少
- 重労働と低賃金問題
- 働き方改革関連法
日本の経済成長に欠かすことのできない物流ですが、昨今はさまざまな課題に直面しています。課題を解決するためにホワイト物流が求められているため、ここからはどのような背景でホワイト物流が求められているのか?具体的な物流業界の抱える課題について解説します。
労働人口の減少
総務省が公表したデータによると、日本国内における総人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少傾向に転じており、2050年頃にはおよそ1億人まで減少する見通しとなっています。
また、2015年から2050年までに生産年齢人口は2,628万人減少する見通しとなっており、物流業界でも深刻な労働力不足が問題視されているというわけです。このような社会的な問題によってドライバーの高齢化も進んでいるため、ホワイト物流の活動によって物流の効率化と労働環境の整備によって改善していく必要があります。
重労働と低賃金問題
労働人口の減少など、社会的な問題に起因する人手不足以外にも、物流業界では重労働と低賃金問題によって人手不足が加速しているといえます。
例えば、厚生労働省のデータによるとドライバーの年間労働時間は全産業の平均と比較して372時間から432時間も長いとされています。また、トラック運転者の年間収入額は全産業と比較して26万円から58万円も低いとされています。
このように物流業界というのは、全産業の平均と比較して労働環境が悪く所得額も低いため、これらの課題を解決させるためにもホワイト物流の活動が必要というわけです。
働き方改革関連法
ホワイト物流の活動が必要になった要因として、働き方改革関連法案の施行も挙げられます。本法案は労働人口の減少や長時間労働の慢性化、雇用体系による賃金格差などを是正する目的で改正されました。
この法令改正によって物流業界でも、以下のような点で影響を受けています。
- ドライバーなどの時間外労働の規制
- 時間外労働における割増賃金の引き上げ
- 勤務間インターバル制度の導入
- 同一労働・同一収入の適用
働き方改革関連法案によって物流業界も影響を受けており、企業の売上減少やドライバーの確保などといった課題に直面しているということです。このような背景からも、ホワイト物流の活動が注目されているともいえるでしょう。
ホワイト物流のメリット
ホワイト物流のメリットは以下のとおりです。
- 生産性が向上する
- 環境問題への対策になる
- 労働環境が改善する
ここからは、ホワイト物流に取り組むことで得られるメリットについて詳しく解説します。
生産性が向上する
ホワイト物流に取り組むことで業務効率が向上するため、生産性も向上するメリットがあります。例えば、ホワイト物流では以下のような取り組みで業務効率を改善します。
- 運行計画の見直し
- ストックポイント活用による拘束時間の削減
- パレット輸送で荷役作業時間を削減
- 在庫や出荷情報の見える化で業務効率を改善
- GPS運行管理システムを活用して効率化
- 物流システムの活用で荷待ち時間の削減
このようにホワイト物流ではさまざまな取り組みを通して業務効率を改善し、生産性を向上させるメリットがあります。
環境問題への対策になる
ホワイト物流の活動に取り組むことで輸配送効率が向上するため、二酸化炭素の排出量も削減でき、総じて環境問題への対策にもなるメリットがあります。物流業界は環境問題にも直面しており、部門別におけるCO2排出量は日本国内において運輸部門が全体の18.6%を占めているといわれています。
一方で、ホワイト物流の活動では環境負荷の小さい鉄道や船舶を利用した輸送(いわゆるモーダルシフト)の活用も注目されています。また、ペーパーレス化によって業務効率を改善することによる環境負荷の軽減など、環境問題における対策ができるメリットもあります。
労働環境が改善する
ホワイト物流の活動を通して物流業界でも問題視されている長時間労働などを削減できるので、労働環境を改善できるメリットがあります。より効率的な運用形態にすることで、一人あたりの生産性を向上させ、適切な労働時間にすることができます。
また、ドライバーの負担を軽減させることで労働環境が改善されるので、離職率なども低下する一面があります。これにより企業のイメージも向上するメリットがあるほか、SDGsにも貢献できる側面があります。
ホワイト物流の注意点
ホワイト物流に取り組む際には、以下のような点に注意しなければなりません。
- 物流コスト/リードタイムの増加
- 取引価格の見直し
ホワイト物流は業務効率を改善するため、さまざまなメリットがあります。一方で、物流システムや各種設備の導入や輸送コストの増加など、改善施策に取り組むに当たりさまざまなコストが発生する点に注意しなければなりません。
また、配送手段を変更することでリードタイムが増加する可能性についても考慮しておく必要があります。
その他にも、配送料金の見直しを行う際には、取引先との交渉も発生するでしょう。場合によっては取引自体の見直しが検討されてしまう可能性もあるため、慎重に交渉を行っていく必要があります。
このように一見するとメリットばかり目に留まるホワイト物流の施策というのは、デメリットになる点も存在するわけです。そのため、メリットデメリット部分を明確に理解した上で、ホワイト物流の各施策に取り組んでいくことが大切ということです。
まとめ
ホワイト物流は深刻なドライバー不足や労働環境を改善するため、効果的な取り組みとして注目されています。業務効率を改善し生産性が向上するほか、労働環境を見直し企業体質を改善するメリットもあります。
一方で、物流コストやリードタイムの増加や取引価格の見直しなども必要になるケースもあるので、ホワイト物流のメリットデメリットはきちんと把握しておきましょう。
APTでは、最先端の物流自動化ソリューションを提供しております。物流倉庫内で行われる「保管・搬送・ピッキング」といった作業の自動化&省人化を目的としたマテハン機器などの提供が可能ですので、お気軽にご相談ください。
関連記事
物流の最適化とは?課題や最適化のポイントを解説
物流業界におけるRPA活用ポイントと導入メリットを紹介
タグ
物流ソリューションこの記事の筆者
株式会社APT
世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。
最近の投稿
アーカイブ
タグ
- 自動倉庫システム
- 選び方
- 種類
- コスト削減
- 倉庫管理
- 自動倉庫
- WMS
- 基幹システム
- バケット型自動倉庫
- 事例
- パレット型自動倉庫
- フリーサイズ型自動倉庫
- 移動棚型自動倉庫
- クラウド型
- オンプレミス型
- 適正在庫
- ピッキングシステム
- 自動搬送ロボット
- BCP
- DR
- 制震装置
- 耐用年数
- メンテナンス
- 倉庫管理システム
- 補助金
- 助成金
- フルフィルメント
- メーカー
- 物流倉庫
- システムデータ
- 非常用自家発電設備
- UPS
- クラウド型物流情報システム
- リニューアル
- 制御装置
- 倉庫自動化
- 自動化事例
- クレーン
- 自動倉庫メーカー
- システム更新
- 事例紹介
- 自動倉庫システム更新
- ポイント
- マテハン機器
- AGV
- eコマース
- AMR
- GTP
- 物流ロボット
- ソーターロボット
- ピッキングロボット
- 倉庫スペース
- 保管スペース
- 入出庫管理
- 在庫管理システム
- 物流コスト
- 物流管理システム
- 省人化
- 物流DX
- 物流業界
- 導入事例
- EC物流
- 効率化
- ピッキング
- 営業倉庫
- 自家用倉庫
- 登録手続き
- 施設設備基準
- 1類倉庫
- 倉庫業法
- 倉庫の種類
- 立体自動倉庫
- 物流センター
- 自動化
- メリット
- 課題
- 物流システム
- 導入
- フォークリフト
- コンベア
- パレタイザ
- 垂直搬送機
- 賃貸
- 寄託
- 契約
- 導入のメリット
- 仕分け
- メリット・デメリット
- 物流倉庫の無人化
- 無人化
- 設備
- 種類と役割
- 人手不足
- 人材
- 収納効率
- 自動ラック
- ケース自動倉庫
- 冷凍自動倉庫
- シャトル式自動倉庫
- 業務効率化
- 倉庫レイアウト
- 作業効率
- 誤出荷率
- DAS
- 無人フォークリフト
- 新設
- 倉庫業務
- BCP対策
- マルチシャトル
- 整理整頓
- 無人搬送車
- 自動搬送式納骨堂
- 納骨堂
- 仕分けミス
- ミス防止
- 地震対策
- 耐震ソリューション
- DPS
- WCS
- WES
- 在庫管理
- 自動化システム
- 搬送システム
- GAS
- SAS
- 誤出荷
- 対策ポイント
- 物流コンサルティング
- 依頼業者
- 事業再構築補助金
- パレタイズ
- ラック
- 無人搬送フォークリフト
- AGF
- 倉庫DX
- デジタル化
- 対策法
- パレット搬送
- 小型無人フォークリフト
- 自動搬送式
- ハンディ
- ハンディターミナル
- 物流ソリューション
- 自動出荷システム
- 業務の流れ
- 費用相場
- 物流
- ロジスティクス
- アソート
- 在庫型物流センター
- ディストリ ビューションセンター
- 輸配送管理システム
- TMS
- 荷役作業
- 自動仕分けシステム
- 自動搬送装置
- MES
- ソーター
- ERP
- RPA
- 導入メリット
- テレコ出荷
- TC
- トランスファーセンター
- 自動ピッキングロボット
- 配車システム
- デポ
- SCM
- 3PL物流
- 工場自動化
- 省力化機械
- フリーロケーション
- 棚卸効率化
- パレタイズロボット
- ダブルトランザクション
- 出荷作業
- トータルピッキング
- マルチピッキング
- 過剰在庫
- 検品作業
- 物流の最適化
- CLO