運営:株式会社APT(メーカーを問わない物流エンジニアリング会社)資料ダウンロード

着荷主とは?発荷主・第二種荷主との違いと、物流効率化法の義務・着荷主ができる対策

執筆:株式会社APT公開日:

経営層向けの要点

  • 着荷主とは、荷物を受け取る側の荷主です。物流効率化法は、荷物を受け取る側か出す側かではなく、運送事業者と運送の契約を結ぶかどうかで荷主を分けます。運送の契約を結ばずにドライバーから荷物を受け取る(または引き渡す)荷主を「第二種荷主」と呼び、主に着荷主がこれに当たりますが、着荷主が自ら運送を頼む引取物流では、着荷主が第一種荷主になります。
  • 2025年4月から、規模にかかわらずすべての第二種荷主に、到着が集中しないようにすること、発荷主からの協議に協力すること、検品などの荷役を省力化することなどの努力義務がかかっています。受け渡しの日時を発荷主が決めていても、発荷主を通じて調整するよう努める必要があります。
  • 第二種荷主として前年度に受け取った・引き渡した貨物の重量(所定の貨物を除いて算定)が9万トン以上の荷主は、届出をして特定第二種荷主に指定され、中長期計画・定期報告・物流統括管理者(CLO)の選任が義務になります。2026年8月27日時点で1,446社が指定されています。

着荷主とは、荷物を受け取る側の荷主のことです。荷物を出す側の「発荷主」と対になる言葉です。物流効率化法では、荷主を運送の契約を結ぶかどうかで分け、運送事業者と運送の契約を結ばずにドライバーから荷物を受け取る荷主を第二種荷主と呼びます。主に着荷主がこれに当たりますが、同じ意味ではありません。

運送の契約を結んでいない着荷主にとって、物流の問題は発荷主と運送事業者の話だと思われがちです。しかし、納品の時刻や場所、検品の方法を決めているのは、多くの場合、着荷主です。この記事では、着荷主と第二種荷主の関係、着荷主にかかる義務、着荷主ができる対策を整理します。

着荷主と第二種荷主の違い

物流効率化法は、荷主を次の2つに分けています。

区分 定義(要約) 主に当たる荷主
第一種荷主 運送事業者と、継続して貨物の運送を頼む契約を結ぶ荷主 発荷主
第二種荷主 運送の契約は結ばず、継続してドライバーから貨物を受け取る、またはドライバーに引き渡す荷主(他の者に受け取らせる・引き渡させる場合を含む) 着荷主

出典:物流効率化法 第30条第8号・第9号、判断基準の解説書(2026年10月27日確認)

分かれ目は、運送の契約を結ぶかどうかです。たとえば、売り手(発荷主)がトラックを手配して納品する取引では、受け取る買い手(着荷主)は第二種荷主です。一方、次のような場合は「着荷主=第二種荷主」になりません。

  • 引取物流:着荷主が自らトラック事業者に運送を頼んで荷物を取りに行く場合は、着荷主が第一種荷主になり、発荷主が第二種荷主になります
  • 引き渡す側:運送の契約を結ばずに、ドライバーに荷物を引き渡す荷主も、第二種荷主に当たります

同じ会社でも、自社が運送を頼む取引と、他社が手配したトラックで荷物を受け渡す取引があるため、判断基準の解説書は、第一種荷主と第二種荷主の両方に当たる場合が多いとしています。判断は、拠点ではなく取引(物の流れ)ごとに行います。国のポータルサイトも、運送の手配を行わず、貨物を受け取るだけの事業者は第二種荷主に当たるとしています。

自社がどちらに当たるか、重量をどう数えるかは、特定荷主とは?判定方法・9万トンの計算方法で詳しく整理しています。

着荷主が注目される理由

国の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の最終取りまとめ(2023年8月)は、商取引と物流の取引の流れが一致していないことから、運送契約の当事者でない事業者も含めて社会全体で解決する必要がある課題だとし、取り組むべき課題の見出しに「着荷主の協力」を掲げています。2023年6月の国のガイドラインも、多くの場合、着荷主が納品の場所や時刻などの輸送条件を指定しているとしています。

荷主と運送事業者の認識の違いも指摘されています。国土交通省の実態調査(2022年1〜2月)では、荷待ち時間が発生していると答えた割合は、実際に運ぶ運送事業者で約69%だったのに対し、荷主は入荷(受け取り)で約19%にとどまりました。荷主の数字には、時間までは把握していないという回答も含まれています。

国土交通省のトラック・物流Gメンは、2025年10月・11月の集中監視月間に、過去に要請を受けたにもかかわらず違反原因行為を続けている疑いのある荷主などに対して、勧告を1件(着荷主)行ったと発表しています。

すべての第二種荷主(主に着荷主)にかかる努力義務

2025年4月から、規模にかかわらずすべての第二種荷主に、次の努力義務がかかっています(物流効率化法 第42条第4項)。

  1. ドライバーに受け渡しの日時を指示するときは、荷役ができる台数を上回る多くのトラックが一度に着かないようにする
  2. 第一種荷主から、受け渡しの日時について協議したいと申し出があったときは、これに応じて必要な協力をする
  3. ドライバーに荷役などをさせる場合は、検品を効率的に行うなど、ドライバーの荷役などを省力化する

対象は、第二種荷主が管理する施設と、荷物を預けている倉庫(寄託先)の施設です。

取引の力関係で日時を調整しにくい場合も、調整が必要

法律は、受け渡しの日時をドライバーに指示できない場合は、3の荷役の省力化だけを求めています。ここでいう「指示できない場合」は、フランチャイズの加盟店のように、法令や契約の仕組みで恒常的に指示できない場合などを指します。国のQ&Aは、第二種荷主は直接指示できない場合が多いとしつつ、必要に応じて第一種荷主を通じるなどして受け渡しの日時を調整するよう努める必要があるとしています。取引の力関係で調整が難しい場合も、努力義務にもとづいて調整を申し出ることが望まれており、日時を指示できないとは解されないとしています。

判断基準に沿った着荷主の取組

荷主の判断基準とその解説書は、第二種荷主の取組として、次を挙げています。

分野 判断基準の取組 解説書・国の資料の具体例
積載効率への協力 第一種荷主から相談があれば協力する。開発・生産・販売・調達・在庫管理などの部門の連携 翌日配送の依頼や発注の締め時間の延長の依頼を控える。引き取りの前倒し、納入の日時・回数の指定をゆるめる・分散する(午後納品など)
荷待ち時間の短縮 受け渡しの日時を分散させる。到着時刻表示装置(トラック予約受付システム)の導入と活用。寄託先への発注を早める 「朝一」「午前必着」などの慣習の時間指定をやめる、時間の幅を広げる(午後なら何時でもよい、など)
荷役時間の短縮 検品を効率的に行う機械の導入など。フォークリフトと作業員の適切な配置。荷さばき場(バース)の確保 事前出荷情報(ASN)を使った伝票レス化・検品レス化。外装の軽い汚れや傷を理由にした受け取り拒否をやめる
実効性の確保 責任者の選任、状況の把握、物流データの標準化、関係者との連携など(第一種荷主と共通) 受け入れるトラックの平均の待ち時間を把握する

出典:判断基準の解説書 第二条〜第五条、国の手引書(特定荷主編)(2026年10月27日確認)

判断基準に書かれた取組によらない方が有効な場合は、その方法でも構わないとされています。国の「中長期計画作成に当たってのポイント」も、荷待ちの項目では、受け渡し日時の分散、予約受付、時間指定の見直し、寄託先との連携、実際に運ぶ運送事業者との対話などを、第二種荷主の重要な取組として示しています。

2023年6月の国のガイドラインは、着荷主の取組として、発注から納品までのリードタイムを十分に確保すること、発注量の平準化や発注の大ロット化、混雑する時間を避けた納品、着荷主がトラックを手配して取引先を回って集荷するミルクラン方式なども挙げています。

予約受付の進め方はバース予約(トラック予約受付システム)とはで、ほかの改善策は物流改善の進め方で解説しています。

待機料・附帯作業と契約の整理

運送の契約を結んでいない着荷主の場合、自社の拠点で起きた荷待ちや、ドライバーに頼んだ作業の費用が見えにくくなります。判断基準の解説書は、運送事業者と契約関係にない着荷主の責任による荷待ち時間や、契約にない附帯作業の対価・作業の範囲について、運送契約や、発荷主と着荷主の間の契約で適切に整理することなどが必要だとしています。

国の「中長期計画作成に当たってのポイント」も、荷待ち時間が発生する場合は待機料として適正な対価を支払う必要があること、ドライバーに荷役や検品などを頼む場合は契約で明確にしたうえで適切な対価を支払う必要があることを注記しています。国の手引書は、特定第二種荷主の定期報告の記載例として、ドライバーが行う荷役・附帯作業の範囲と料金を明確にし、第一種荷主が結ぶ運送契約に反映できるようにすることを挙げています。

待機料などの料金の考え方は、物流改善の進め方で、国の標準的な運賃の見直しとあわせて紹介しています。

特定第二種荷主の義務

第二種荷主として前年度に受け取った(または引き渡した)貨物の重量が9万トン以上の荷主は、届出をして特定第二種荷主に指定されます。重量を数えるときは、自ら運送を頼む貨物(第一種荷主の立場の分)や、受け渡しの日時をドライバーに指示できない貨物などを除きます。

義務 内容
指定の届出 基準以上になった年度の翌年度の5月末まで
中長期計画 指定を受けた年度の7月末まで(2026年度のみ10月末まで)
定期報告 指定を受けた翌年度から、毎年度7月末まで
物流統括管理者(CLO) 指定のあとすみやかに選任し、届け出る

国の手引書は、特定第二種荷主の定期報告について、積載効率は主に取引先である第一種荷主の取組への協力が中心になり、荷待ち・荷役は、直接トラック事業者と契約しないものの、自社の施設や寄託先の施設の状況を把握し、必要に応じて第一種荷主と連携して取り組むものとしています。計測の対象は、製造業なら工場や倉庫での原材料の受け入れ、小売業なら店舗や物流拠点での受け入れなどです。

国土交通省の説明会資料(2026年9月)によると、2026年8月27日時点で、特定第二種荷主は1,446社、特定第一種荷主は1,792社、特定連鎖化事業者は19社が指定されており、重複を除いた事業者数は2,142社です。指定された事業者の一覧は国が公表しており、今後追加で指定された事業者も随時公表するとされています。

書類の書き方とCLOについては、中長期計画書の書き方、定期報告書の書き方、物流統括管理者(CLO)とはで解説しています。

着荷主が最初にやること

国の資料をもとに、APTが整理した例です。法令で決められた手順ではありません。

  1. 自社がどの取引で第二種荷主になるかを整理する:受け取る取引、引き渡す取引ごとに、誰が運送を頼んでいるかを確かめます
  2. 受け入れの拠点で荷待ちを測る:拠点ごと・時間帯ごと・取引先ごとに、トラックの到着、受付、荷降ろしの開始・終了の時刻を記録します(荷待ち時間の計測方法)
  3. 自社の受け入れの条件を点検する:時間指定、発注の締め時間、検品の水準、荷受けを拒否する基準が、荷待ちや荷役の原因になっていないかを確かめます
  4. 発荷主・運送事業者と話す:納品の日時の分散、予約受付、事前出荷情報の活用などを、取引先と相談します
  5. 費用の分担を契約で整理する:自社の拠点で起きる待機や作業の費用を、発荷主との契約でどう扱うかを決めます

倉庫内の設備・システムの見直しをAPTに相談する

着荷主の拠点での荷待ちは、到着の集中だけでなく、荷降ろしのあとの検品や入庫が滞り、次のトラックを受け入れられないことでも起きます。バースや荷さばき場が足りない、検品に時間がかかる、といった課題は、受け入れの設備や仕組みの見直しが必要になることがあります。

APTは、メーカーを問わない物流エンジニアリング会社として、倉庫の課題の整理から、既設の自動倉庫やコンベアのリニューアル、倉庫管理システム(WMS)・設備の制御システム(WCS)の更新まで支援しています。運送の手配や取引条件の交渉は行っていませんが、受け入れの拠点の作業と設備・システムの見直しからご相談いただけます。進め方の実例は導入事例をご覧ください。

よくある質問

荷物を受け取るだけの会社も、物流効率化法の対象ですか。
はい、対象です。国のポータルサイトは、運送の手配を行わず、貨物を受け取るだけの事業者は第二種荷主に当たり、物流効率化法の対象になるとしています。従業員の規模にかかわらず、定義に当たれば努力義務がかかります。
着荷主と第二種荷主は、同じ意味ですか。
同じ意味ではありません。着荷主・発荷主は荷物を受け取る側・出す側の呼び方で、第一種荷主・第二種荷主は運送の契約を結ぶかどうかによる制度上の区分です。着荷主が自ら運送を頼む引取物流では着荷主が第一種荷主になり、発荷主が第二種荷主になります。また、運送の契約を結ばずにドライバーに荷物を引き渡す側も第二種荷主に当たります。
受け渡しの日時は発荷主が決めているので、着荷主は対象外ですか。
対象外ではありません。国のQ&Aは、第二種荷主は自ら運送の契約を結ばないため受け渡しの日時を直接指示できない場合が多いとしつつ、必要に応じて第一種荷主を通じるなどして調整するよう努める必要があるとしています。取引の力関係で調整が難しい場合も、日時を指示できないとは解されないとしています。
同じ会社が、第一種荷主と第二種荷主の両方になることはありますか。
はい、よくあります。同じ会社でも、自社が運送を頼む取引では第一種荷主、他社が手配したトラックで荷物を受け渡す取引では第二種荷主になります。判断基準の解説書も、多くの事業者は第一種荷主と第二種荷主の両方に当たる場合が多いとしています。特定荷主の判定では、2つの区分の重量を別々に数えます。
運送の契約がないのに、着荷主が待機料や附帯作業の費用を考える必要がありますか。
はい。判断基準の解説書は、運送事業者と契約関係にない着荷主の責任による荷待ち時間や、契約にない附帯作業の対価や作業の範囲について、運送契約や発荷主と着荷主の間の契約で適切に整理することなどが必要だとしています。
着荷主の拠点での荷待ちは、どこまで短くすればよいですか。
国の基本方針は、荷主などは1回の受け渡しごとの荷待ち時間と荷役等時間の合計を原則1時間以内とし、業界の特性などのやむを得ない場合を除いて2時間を超えないよう短縮するものとしています。着荷主も「荷主など」に含まれます。
発荷主が協力してくれない場合は、どうすればよいですか。
国のポータルサイトは、物流効率化法では発荷主・着荷主の双方に努力義務がかかっているため、これを協議や協力要請の手がかりにするよう勧めています。荷主の事業を所管する省庁の窓口に相談すれば、話し合いに省庁が立ち会うなどの支援も検討するとしています。

出典

制度の内容の最終確認日:

制度の内容は変わることがあります。最新の情報は出典のページでご確認ください。

自社の拠点に当てはめて考えたいときは

現状を伺い、優先して確認すべき拠点・データ・改善テーマを整理します。資料の準備は不要です。