物流倉庫では効率化が求められている一方で、ピッキングミスや誤出荷などの課題を抱えているケースは少なくありません。そのため、課題解決に取り組みたいという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ピッキング作業を支援するシステムのDPSについて詳しく解説します。DPSの仕組みや特徴に加えて、導入した場合のメリットデメリットも合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
DPS(Digital Picking System)とは?
DPS(Digital Picking System)とは、表示器を活用してピッキング作業を支援するシステムです。伝票やリストを見ながらピッキングするのではなく、デジタル表示器を利用して視覚的に作業できるので素早く正確なピッキングを行うことができます。
DPSの主な仕組みは、バーコード等で情報を読み取ることで商品が保管されている棚のデジタル表示器が点灯する仕組みです。これにより、スタッフは商品探しに手間取ることなくピッキング作業ができるというわけです。
DAS(Digital Assort System)との違い
デジタル表示器を活用したピッキングのDPSですが、似たようなシステムにDAS(Digital Assort System)というシステムがあります。類似したシステムではありますが、主にピッキング方法が異なります。
DPSについては、棚から商品を取り出す「摘み取り方式」による作業方法です。一方のDASは、デジタル表示器が点灯した場所に商品を投入する、いわゆる「種まき方式」で作業を行うシステムです。
要するにDPSとDASの違いというのは、作業方式が大きな違いになるということです。
物流倉庫にDPSを導入するメリット
物流倉庫にDPSを導入した場合、以下のようなメリットがあります。
①作業効率・生産性の向上
②標準化の実現
③コスト削減効果
④ヒューマンエラーの削減
⑤ペーパーレス化の実現
ここからは各メリットについて詳しく解説します。
①作業効率・生産性の向上
DPSを導入した場合、従来のピッキングよりも作業効率や生産性が向上します。従来のピッキングでは伝票やリストを持ちながら商品を探さなければならないため、商品探しにも手間がかかってしまいます。
一方で、DPSならピッキングする商品の位置でデジタル表示器が点灯し数量も表示されます。そのため、商品探しに手間取ることがなくなり、作業効率はもちろんのこと生産性が向上します。
②標準化の実現
DPSの導入効果として大きなポイントは、作業の標準化が実現できるという点です。一般的なピッキング作業の場合、作業するスタッフの能力値によって作業品質にバラツキが生じてしまう課題があります。
しかし、DPSを導入することで新人スタッフと経験値のあるスタッフで作業品質に違いが出にくくなります。要するに、DPSには作業品質の標準化を実現できるというメリットがあるということです。
③コスト削減
DPSでは省力化・省人化を実現できるため、人件費などを削減することができます。前項でも解説したとおり、DPSを導入することで作業の標準化や作業効率を改善できる効果があります。
従来よりもピッキング要員を削減できるため、人件費を削減できるメリットがあります。また、採用したスタッフの教育コストを抑えられるため、ピッキングにかかる物流コストを圧縮できる効果があります。
④ヒューマンエラーの削減
物流倉庫ではピッキングの工程で人為的ミスが発生しやすく、誤出荷につながってしまうケースも少なくありません。たとえば、伝票に記載されている数量を読み間違えてしまうケースや、そもそもピッキング対象の商品を間違えてしまうなど、人為的ミスの内容は多肢に渡ります。
しかし、DPSを導入することで取り出す商品の場所が視認できるほか、数量もその場で表示されるのでヒューマンエラーを削減できます。そのため、誤出荷なども防止して業務品質も向上するでしょう。
⑤ペーパーレス化の実現
通常のピッキング作業では、伝票やピッキングリストを持ちながら作業をしなければなりません。そのため、伝票の印刷など消耗品の各種コストが必要になるデメリットがあります。
一方で、DPSを導入すればデジタル表示器を視認しながらの作業になるので、伝票やリストによる確認が必要なくなります。そのため、ピッキング工程においてはペーパーレス化を実現させることができます。
物流倉庫にDPSを導入した場合のデメリット
物流倉庫にDPSを導入する場合、以下のようなデメリットがあります。
・導入コスト
・レイアウト変更が難しい
・システムトラブルの対処が必要
ここからは各デメリットについて詳しく解説します。
導入コスト
DPSを採用する場合、導入するためコストが発生します。たとえば、導入コストにはデジタル表示器を取り付けるための設置工事費用として、配線工事やシステムの構築費用などが必要になるでしょう。
また、これらの費用はDPSを導入する環境によって大きく変動するため、導入前後の費用対効果は確認しておく必要があります。そのため、導入コストがどの程度になるのかは事前にチェックしておきましょう。
レイアウト変更が難しい
DPSを導入した場合、設置後のレイアウト変更が難しくなる点に注意しましょう。というのも、DPSでは商品の保管場所(ロケーション)をシステムで制御するため、棚に設置されたデジタル表示器の位置を簡単に変更できません。
仮にレイアウト変更を行う場合、配線工事のやり直しなども発生するため、労力やコストが発生します。以上の点からも、DPSを導入した場合のデメリットとして、簡単にレイアウト変更が行えないと理解しておきましょう。
システムトラブルの対処が必要
システムで制御することで効率的な作業を実現させるDPSですが、システム運用がデメリットになるケースがあります。たとえば、予期せぬトラブルが発生した場合、システムがダウンする可能性もあります。
アナログでない分、システムにトラブルが起きると作業がストップしてしまいます。そのため、DPSで運用する際には早期復旧を目的にマニュアルなどの整備も必要になります。
メリットの多いDPSにも、このようなシステム上のトラブルが発生するリスクがある点を理解しておきましょう。
まとめ
物流倉庫でDPSを採用した場合、ピッキング工程の作業効率や生産性が向上します。また、能力値に依存しない作業の標準化を実現できるほか、省人化・省力化によって人件費も削減することができます。
その他にも、ピッキングにありがちな数量間違いなどのヒューマンエラーも削減できるので、業務の品質も大幅に向上します。一方で、導入コストやレイアウト変更が難しいなど、DPS導入のデメリットもあるため、費用対効果は見極めてから導入を検討しましょう。
APTでは、お客様の倉庫状況やご要望に合わせ、最適な倉庫設備をご提案いたします。
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