倉庫内業務においてピッキング作業というのは、効率化が求められている業務工程の一つです。なかでも、マルチピッキングは生産性が向上する方法として多く採用されているため、その特徴について知りたいという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、マルチピッキングとはどのようなピッキング手法になるのか徹底解説します。採用した場合のメリットや、さらに効率化を実現させるために重要な自動化システムについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
マルチピッキングとは?
マルチピッキングとは、複数オーダーをまとめてピッキングしつつ、仕分けも行っていくピッキング手法になります。マルチピッキングでは、ピッキング作業者がオリコンを持ち歩き商品をピッキングします。
複数オーダーのカゴを持ち歩いて同時にピッキングを行えるので、ピッキングと仕分けを同時にできるというわけです。一方で、入れ間違いなどのポカミスが生じやすい一面もあるので注意が必要です。
マルチピッキング以外の方法
ピッキング手法には、マルチピッキング以外にも「トータルピッキング」と「シングルピッキング」という方法があります。それぞれ特徴やメリットデメリットが異なるので、手法を選択する際には概要をきちんと理解しておきましょう。
そこでここからは、トータルピッキングとシングルピッキングそれぞれの特徴について解説します。
トータルピッキング
トータルピッキングとは、「種まき方式」または「総量ピッキング」とも呼ばれるピッキング手法のひとつです。複数の出荷オーダーに応じて商品をまとめてピッキングした後、仕分け作業を行っていきます。
マルチピッキングとは違って商品の仕分けを同時に行う事はないので、誤投入などのポカミスが低減できるメリットがあります。一方で、ピッキング工程の後に仕分け工程があるので、仕分けエリアの確保や工程が増えることによる手間の増加がデメリットといえます。
シングルピッキング
シングルピッキングとは、「摘み取り方式」または「オーダーピッキング」とも呼ばれるピッキング手法の一つです。複数の注文ごとに商品をまとめてピッキングするトータルピッキングに対して、シングルピッキングは注文ごとに商品をピッキングする方法になります。
商品毎にピッキングから梱包まで行うので、仕分け作業が発生しないメリットがあります。そのため、工程が非常にシンプルでポカミスが生じにくい一面もあります。一方で、注文数が多いと往復作業も増えてしまうのがデメリットといえます。
マルチピッキングのメリット
さまざまなピッキング手法があるなかで、マルチピッキングを採用した場合のメリットは以下のとおりです。
- 作業効率が上がる
- 人件費などをコストカットできる
ここからは、マルチピッキングの導入メリットについて詳しく解説します。
作業効率が上がる
マルチピッキングの場合、複数のオーダーをいっぺんにピッキングすることができるほか、仕分け作業も同時に行えるため、他のピッキング手法と比較して作業効率が大幅に向上するメリットがあります。
また、他のピッキング手法では商品をピックアップするために移動のロスが多くなってしまう傾向にあります。一方で、マルチピッキングなら複数オーダーをまとめてピックアップおよび仕分けができるので、移動ロスも低下して作業効率が向上します。
人件費などをコストカットできる
マルチピッキングを採用した場合、業務効率が向上して人件費などをコストカットできるメリットがあります。ピッキング作業では多くの人員を要するのが通常ですが、マルチピッキングなら必要になる人員を削減することができます。
また、同時に仕分け作業も行えるため、仕分け工程に必要な人員も削減することが可能です。なお、人件費を削減することができれば、採用費や教育費用などの関連コストも削減できるメリットがあります。
マルチピッキングを効率化させる自動化システム
マルチピッキングを効率化させる自動化システムは以下のとおりです。
- ボイスピッキングシステム
- AMR
- WMS
ここからは、マルチピッキングの効率化に欠かすことができない自動化システムの紹介をします。
ボイスピッキングシステム
ボイスピッキングシステムとは、ハンズフリーでピッキング作業が行える自動化システムになります。従来のピッキング作業では、紙や人の目視によって作業を行っていましたが、作業者の能力値や集中力が低下するとヒューマンエラーなどが発生する問題がありました。
しかし、ボイスピッキングシステムではペーパーレスかつハンズフリーでピッキングを行うことができます。バーコードスキャナーで読み取った情報を、作業者は専用のヘッドセットを装着することで音声で指示を受けることができます。
作業者の能力値に依存することなくピッキング作業を自動化できるため、作業精度の向上と効率化を実現できるでしょう。
AMR
AMR(Autonomous Mobile Robot)とは、自律走行搬送ロボットと呼ばれている搬送ロボットの一種です。協働型搬送ロボットとも呼ばれており、その名の通り人と協働して荷物の搬送を行うことができます。
AMRは自動マッピング機能と高性能なセンサーによって障害物も自動的に回避することができるので、倉庫内を自律走行して作業者をサポートします。例えば、ピッキング作業を行う際に、商品を取り出して搬送をAMRに任せるということもできます。
倉庫内における移動ロスを大幅に低減できるので、作業者の負担は大幅に軽減できるメリットがあります。自律走行によって省力化が実現できるので、作業者の負担を減らしつつ、業務量を大幅に向上させることが可能です。
なお、AMRによって省力化を実現させることで、投下する人員も削減できます。これにより、人件費なども削減できるメリットがあります。
以下の記事では、AMR(自律走行搬送ロボット)について詳しく説明しております。
WMS
WMS(Warehouse Management System)とは、倉庫管理システムと呼ばれる倉庫内におけるさまざまな業務を効率的に管理する自動化システムになります。倉庫内業務における入出荷、保管、棚卸などをデータ上でリアルタイム管理することができます。
これにより業務を可視化することができるので、作業の正確性が大幅に向上するほか、業務効率を上げることができます。また、システム上で商品管理が行えるので、商品を保管しているロケーションもすぐに確認し、歩行によるロスも低減できるメリットがあります。
WMSで商品を管理することで、ピッキング作業によるポカミスを低減し業務品質も向上させることが可能です。WMSの運用形態なら業務も標準化できるので、属人化を防げるメリットもあります。
倉庫管理業務を効率化して負担を軽減できるシステムなので、業務の自動化には欠かすことのできないシステムといえるでしょう。
以下の記事では、WMS(倉庫管理システム)について詳しく説明しております。
まとめ
複数のオーダーをまとめてピッキングし、仕分けも同時に実施できるマルチピッキングは、作業効率が上がり人件費などもコストカットできるメリットがあります。なお、さらにピッキング業務を効率化させる場合、ボイスピッキングシステムやAMR、WMSといった自動化システムも積極的に活用することが重要です。
倉庫内の業務のなかでもピッキングは効率化が求められる工程のため、最適なピッキング手法を選択して業務効率を向上させましょう。
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