
自動倉庫・マテハン設備の据付工事は、メーカー以外へ依頼できる場合があります。ただし、試運転・連動調整のスコープは案件ごとに異なり、上位会社や別の専門会社が担当するケースも少なくありません。依頼前に「どこまでが施工会社の担当範囲か」を明確にすることが重要です。
本記事では、依頼先の3タイプ比較・断られやすい理由・見積に必要な資料・建設業許可の確認ポイントを実務担当者向けに整理します。
目次
据付工事とは何か?一般の建設工事との違い
「据付工事」とは、製造された機械・設備を現地に搬入し、所定の位置に設置・固定・配線し、正常に稼働する状態まで仕上げる一連の作業を指します。自動倉庫・マテハン設備における据付工事には、以下の工程が含まれます。
- アンカー工事・基礎固定:レール・ラック・架台などを仕様に基づいて据え付け、アンカー固定・レベル調整を行う
- 機械の組立・架設:ラック・クレーン・コンベアを搬入し、仕様通りに組み立てる
- 制御配線・センサー配線:制御盤・センサー類の配線接続
- 試運転・調整:スコープに含まれる場合、単体試運転 → I/O確認 → 連動試運転 → 安全回路確認 → 性能確認の順で実施。案件によっては上位会社や別の専門会社が担当することもある
- 引き渡し:設備動作確認後の正式引き渡し
一般の建築工事(躯体・仕上げ・電気・管)と異なり、マテハン設備の据付工事は設備の機械的仕様に精通した技術者が必要で、単純な設置作業ではありません。制御PLCのパラメータ調整・センサー感度設定・搬送速度の最適化など、設備固有のノウハウが求められます。
実務では「据付工事」「設置工事」が近い意味で使われることがありますが、「施工」はより広く、搬入・据付・配線・調整・試運転などを含む総称として使われることがあります。建設業法上はこれらを「機械器具設置工事」として区分しています。
なぜ自動倉庫の据付工事は依頼先が見つかりにくいのか
担当者が据付工事の業者を探す際、以下の3つの壁に直面することがよくあります。
① メーカー系施工部門は自社製品案件を中心に対応する傾向がある
大手マテハンメーカー(ダイフク・村田機械・IHIなど)の施工部門は、自社製品の据付を中心に対応しています。他社製品・中古設備・海外メーカー製設備については対応範囲外となるケースが多く、メーカーを選定した後で施工業者が見つからないという事態が発生することがあります。
② 一般の建設・設備工事会社では、マテハン特有の制御配線・センサー調整に対応できない場合がある
建設・電気・管工事の専門会社は、土木・躯体・電気系統の施工は得意ですが、マテハン設備固有の制御配線・センサー調整に対応できる技術者を抱えていないケースが多い状況です。試運転は別会社が担当するとしても、据付工事の段階で制御配線・センサー取り付けが正確に完了していなければ、後工程に支障が出ることがあります。
③ 海外製マテハン設備を導入する場合、施工会社を別途探す必要がある
国内メーカーの設備であれば、そのままメーカーの施工部隊が据付工事まで担当するケースが多くあります。一方、海外製のマテハン設備を導入した場合、メーカー側は設備の納品のみで施工には対応しないことが多く、別途、据付・試運転まで対応できる施工会社を自分で探す必要が生じます。また、SIerやゼネコンが元請けとなる案件で施工のみを切り出す「分離発注」形式においても、守秘義務対応やエンドユーザーへの不関与といった条件を満たせる施工パートナーは限られています。
据付工事を依頼できる業者の種類(3タイプ)
自動倉庫・マテハン設備の据付工事を引き受けられる業者は、大きく3タイプに分類できます。
設備・制御・ソフトウェアを組み合わせてシステム全体を設計・構築する会社のこと。マテハン分野のSIerはWCS/WMS開発や設備選定を中心に担い、据付工事は専門の施工会社に分離発注するケースもあります。据付・試運転まで自社で対応できるSIerは限られています。
【用語】分離発注とは
設備調達・据付工事・制御調整・保守を、それぞれ別の会社へ個別に発注する方式。元請けSIerやゼネコンが工程ごとに専門会社を使う場合に用いられます。
| タイプ | 他社製設備対応 | 工事のみ発注 | 試運転・調整 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 設備メーカーの施工部門 | 原則非対応 | △(条件による) | ◎(自社製品のみ) | 導入メーカーの新設設備の据付 | 他社製品・海外製品は対応範囲外になることが多い |
| ② SIer(据付対応型) | 会社による(メーカー不問で対応する会社もある) | 会社による(施工専任で受ける会社もある) | 会社による(連動調整まで対応する会社もある) | 他社製品・海外製・中古設備の据付/分離発注/工事のみの依頼 | システム開発専門で施工は対応しないSIerも多い。据付・試運転まで対応できるか事前確認が必須 |
| ③ 一般の建設・電気工事会社 | △(設備種別による) | ◎ | △〜×(対応できないケースが多い) | 基礎工事・アンカー工事のみを切り出す場合 | マテハン固有の制御調整・試運転に対応できないケースが多い |
「メーカーを問わず、据付から試運転まで一括して依頼したい」場合は、据付・試運転まで自社対応できるSIerへの依頼が適しています。
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業者選定の5つのチェックポイント
依頼先を選ぶ際、以下の5点を確認することで失敗リスクを大きく減らせます。
- メーカー不問で対応できるか:国内外・他社製品の据付実績があるか確認する
- 試運転のスコープを事前に確認する:試運転は施工会社・上位SIer・別の専門会社など、案件ごとに担当が異なる。「据付のみ」「据付+単体試運転まで」「連動試運転・性能確認まで」のどこまでを依頼するか、契約前に明確にしておく
- 機械器具設置工事業の建設業許可を持つか:500万円以上の工事では必須(詳しくは次章)
- 守秘義務・NDA対応が可能か:SIer・ゼネコン案件では必須要件になることが多い
- アフターサポート体制があるか:据付後の保守・オンコール対応まで依頼できるか
加えて、仕様書・マニュアルの読み込みから見積もりまでに要する時間も確認しておくとよいでしょう。据付・試運転まで自社対応できる会社であれば、仕様書を提供した後、比較的短期間で対応可否と概算を提示できます。
国内外メーカー製設備について、図面・仕様・制御情報を確認のうえ対応可否を判断しています。
設備の種類とスケジュール感をお聞かせいただければ、対応可否と概算を無料でお伝えします。
建設業法上の注意点:機械器具設置工事業とは
自動倉庫の据付工事は、建設業法上の「機械器具設置工事」に分類される場合があります。1件の工事の請負金額が500万円以上の場合、工事を請け負う会社は国土交通大臣または都道府県知事が発行する「機械器具設置工事業」の建設業許可が必要です。
「機械器具の組み立て等により工作物を建設し、または工作物に機械器具を取り付ける工事」。自動倉庫のスタッカークレーン・ラック・コンベアシステムなどは、一般的にこの区分に該当する場合が多いとされています。
許可確認時のポイント
- 発注先の建設業許可証(機械器具設置工事業)のコピーを取得する
- 許可の有効期限(5年ごとに更新)を確認する
- 一般建設業か特定建設業かも確認する:発注者から直接受注し、下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる案件では「特定建設業許可」が必要(2025年2月改正後の基準)。一般建設業許可のみの場合はその規模の元請案件を受けられない
- 複数の工事が絡む場合(電気工事・管工事等)は、各工事業の許可を保有しているかも確認する
APTは機械器具設置工事業の特定建設業許可を保有しています。大規模案件・元請案件・分離発注形式いずれにも対応可能です。詳細は会社概要ページをご確認ください。
なお、元請け・下請けの関係がある場合、下請け業者にも適切な許可が必要な場合があります。特に分離発注で施工パートナーに依頼する場合は、必ず許可証の確認を徹底してください。
据付工事の一般的な流れ
APTが実際に対応している据付工事の標準的な進め方を紹介します。
ヒアリング・情報整理(無料相談)
設備の種類・メーカー・仕様書の有無・現地環境・スケジュール感などをお聞きします。資料が揃っていない段階でも問題ありません。
現地調査・施工計画の立案
現地調査を経て、設備の稼働スケジュール・停止可能時間に合わせた施工計画を立案します。既存ラインへの影響を最小限に抑える工程設計を行います。
据付・配線・調整(試運転スコープは案件ごとに設定)
設備搬入・据付・アンカー固定・制御配線・センサー取り付けを実施します。試運転については、「単体試運転まで」「連動試運転・性能確認まで」など、案件ごとに担当範囲を契約で定めて対応します。上位SIerや別会社が試運転を担当する場合も、据付側との引き継ぎが円滑に行えるよう調整します。
引き渡し・アフターサポート
動作確認後に正式引き渡し。据付後の保守・オンコール対応もご相談いただけます。据付を担当したAPTが設備構成を把握しているため、不具合時の対応がスムーズです。
よくある質問(FAQ)
自動倉庫の据付工事はメーカー以外に依頼できますか?
はい、依頼できます。自動倉庫の据付工事は必ずしも導入メーカーに依頼する必要はありません。据付・試運転まで対応できるSIerや施工専門会社であれば、他社製・海外製設備でも対応できるケースがあります。設備の仕様書・マニュアルをご提供いただければ、対応可否を確認できます。
据付工事だけを切り出して発注することはできますか?
はい、可能です。設備調達・システム開発・保守と切り分けて、据付工事のみを発注する「分離発注」形式に対応している会社があります。APTでは据付工事のみのご依頼を承っています。元請けSIer・ゼネコンからの施工専任のご依頼にも対応しています。
見積もりに必要な資料は何ですか?
正式見積には、機械図面・電気図面・I/O表・安全回路図・制御盤情報(PLC/インバータ/タッチパネル機種)・停止可能時間・検収条件が揃っていると正確な見積が可能です。資料が揃っていない段階でも、現地調査を経て概算をお伝えすることができます。まずは設備の種類と大まかなスケジュールをお聞かせください。
試運転はどこまで含まれますか?
試運転のスコープは案件によって異なります。施工会社が据付から連動試運転・性能確認まで一貫して担当するケースもあれば、据付完了後に上位SIerや別の専門会社が試運転を担当するケース、据付のみで完結するケースもあります。一般的に試運転は「単体試運転」「I/O確認」「連動試運転」「安全回路確認」「性能確認」の順で進みますが、どの工程をどの会社が担当するかは、契約前に明確にしておくことが重要です。
海外メーカー製・中国製の自動倉庫でも据付工事を依頼できますか?
海外メーカー製設備でも、仕様書・図面・制御情報・安全要件を確認したうえで対応できる案件があります。設備ごとに対応可否が異なるため、まずは設備の種類とお手元の資料内容をお知らせください。
コンベアやラックだけの据付工事にも対応していますか?
はい、対応しています。スタッカークレーン式自動倉庫だけでなく、ローラーコンベア・ベルトコンベア・ソーター・保管ラックなど、マテハン設備の据付工事に幅広く対応しています。また、既存設備の撤去・移設・入れ替え工事も承っています。
自動倉庫の据付工事に建設業許可は必要ですか?
1件の工事の請負金額が500万円以上の場合、「機械器具設置工事業」の建設業許可が必要です。さらに、発注者から直接受注し下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合は「特定建設業許可」が必要です(2025年2月改正後の基準)。依頼先を選ぶ際は、一般・特定どちらの許可を保有しているかまで確認しておくと確実です。APTは機械器具設置工事業の特定建設業許可を保有しています。
SIerやゼネコンとして施工パートナーを探しています。秘密保持には対応できますか?
はい、NDA締結の上でのパートナー業務に対応しています。エンドユーザーをご紹介いただくことなく業務を遂行することも可能です。守秘義務対応・分離発注形式での施工専任依頼はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
図面なし・仕様書なし・設備未決定の段階でも構いません。
設備の種類とおおよそのスケジュールをお聞かせいただければ、
対応可否・必要資料・進め方の目安を無料でお伝えします。
まとめ
自動倉庫・マテハン設備の据付工事は、メーカー系施工部門や一般工事会社では対応が難しいケースが多く、依頼先探しに苦労する担当者が少なくありません。
選定のポイントをまとめると、以下の通りです。
- 据付工事はメーカー系以外のSIerや施工専門会社に依頼できる
- 「据付のみ」の分離発注形式にも対応できる会社が存在する
- 試運転は施工会社・上位SIer・別会社が担当するなど案件によって異なるため、スコープを契約前に明確にする
- 業者選定では「担当範囲の確認」「機械器具設置工事業の許可を持つか」を確認する
- 海外製・他社製設備でも、仕様書・制御情報の提供で対応できるケースがある
- SIer・ゼネコンからの施工専任依頼にも、NDA対応で受ける会社がある
依頼先を選ぶ際の最終確認として、「建設業許可(機械器具設置工事業)の保有」「試運転のスコープと担当分けの明確化」「他社製・海外製設備の対応実績があるか」の3点を押さえておくと、発注後のトラブルを大きく減らせます。
APTは、国内外のマテハン設備を問わず据付工事・施工のみの依頼に対応するSIerです。「相談できるかどうかわからない」という段階から受け付けています。
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図面なし・仕様書なし・設備未決定でも構いません
まず現状をお聞かせください。
対応可否と方向性をお伝えします。
APTへのご相談は無料です。据付工事のみ・メーカー不問・分離発注形式、
いずれの状況でもお気軽にどうぞ。


