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物流KPIとは?荷主向けの指標一覧・計算式と決め方、定期報告・中長期計画とのつなげ方

執筆:株式会社APT公開日:

経営層向けの要点

  • 物流KPIとは、物流の業務の状態を数字で見て、改善につなげるための指標です。荷主は、荷待ち・荷役の時間、積載の状況、リードタイム、物流費など、互いに影響し合う指標を少数選び、担当と確認の頻度、悪くなったときの確認事項まで決めておくと使いやすくなります。
  • 特定荷主の定期報告では、対象の施設について、1回の受け渡しあたりの平均の荷待ち時間・荷役等時間を報告します(切り分けられない場合は合計。サンプリングや報告の省略の条件あり)。取組の状況は項目ごとに定められた選択肢で答え、中長期計画では可能な範囲で数字の目標を示すことが望ましいとされています。
  • 国土交通省の「物流事業者におけるKPI導入の手引き」(2015年)は、積載率・実車率・誤出荷率・納品先での待機時間などの指標と計算式を示しています。経済産業省のCLO取組事例集は、積載効率だけで評価せず、荷役時間や拘束時間なども含めた多角的なKPIを設定することが重要だとしています。

物流KPIとは、物流の業務の状態を数字で見て、改善につなげるための指標です。KPIは「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略です。

2026年4月の物流効率化法の全面施行で、特定荷主には定期報告や中長期計画で数字を扱う場面が増えました。ただし、法律で報告する数字だけでは、どこを直せばよいかまでは分かりません。この記事では、荷主向けのKPIの一覧と計算式、指標の選び方と管理表の例を示したうえで、物流効率化法や国の目標との関係を整理します。

荷主向けのKPIの一覧と計算式

国の資料をもとに、APTが整理した一覧です。「区分」の【法定】は法律で報告するもの、【国】は国の目標に対応するもの、【社内】は社内の管理に使うもの(APTの提案)です。

KPI 計算式・単位 区分
平均の荷待ち時間・荷役等時間 施設ごと・月ごとに、荷待ち時間(荷役等時間)の合計÷受け渡しの回数(分) 【法定】
荷待ち時間と荷役等時間の合計の平均 (荷待ち時間+荷役等時間)の合計÷受け渡しの回数(分) 【国】(1回の受け渡し原則1時間以内の目標)
荷待ち1時間以上の発生率 荷待ちが1時間以上だった回数÷受け渡しの回数×100(%) 【社内】(国の目標は荷待ちと荷役等の合計なので区別する)
積載効率 輸送トンキロ÷能力トンキロ×100(%) 【国】(全国の目標は44%)
積載率・実車率 積載重量(容積)÷最大積載重量(容積)×100、実車キロ÷走行キロ×100(%) 【社内】(積載効率の改善の要因を見る)
平均リードタイム 発注から納品までの日数の平均(日) 【社内】
出荷ロット・配送頻度 1回あたりの出荷数量、配送回数÷営業日数 【社内】
パレットで運んでいる割合 パレットで運んだ数量÷全体の数量×100(%) 【社内】
物流データを連携している取引先の割合 データを連携している取引先の数÷取引先の数×100(%) 【社内】(国の指標とは分母が違う)
数量あたりの物流コスト 物流コスト÷出荷数量(円) 【社内】
附帯作業の実施率 ドライバーが附帯作業をした回数÷納品の回数×100(%) 【社内】
誤出荷率 誤出荷の件数÷出荷の指示の件数×100(%) 【社内】

荷待ち時間の数え方は、荷待ち時間・荷役等時間の計測方法で、積載効率の計算は積載効率とはで解説しています。

KPIの決め方と管理表の例

国の資料と事例集をもとに、APTが整理した手順の例です。

  1. 法律で必要な数字から決める:特定荷主は、定期報告の荷待ち時間・荷役等時間を、施設ごと・月ごとに測れる仕組みを最初に整えます
  2. 定義をそろえる:何から何までを荷待ち時間とするか、積載率を重量と容積のどちらで見るかなど、拠点や取引先をまたいで同じ定義にします
  3. 指標は少なく、組み合わせて見る:荷待ち、荷役、積載、リードタイム、物流費など、互いに影響し合う指標を少数選び、並べて見ます。1つの指標だけで良し悪しを決めないことが大切です
  4. 目標を現状の値から決める:今の値を測ってから、国の目標を参考に、実現できる目標を決めます
  5. 担当と見直す場を決める:数字を入力する人、集計する人、見直しを決める人を決め、CLOを中心に関係部門で月1回など、決まった間隔で数字を見ます

国の手引きのもとになった資料も、企業が使うべきKPIの体系は、企業の置かれている状況や課題、戦略に応じて異なるとしています。

管理表の例

APTが作った説明のための例です(数字は架空です)。

目的 指標 現状 目標 担当 確認の頻度 悪くなったときに確かめること
荷待ちを減らす 荷待ちと荷役等時間の合計の平均(A拠点・入荷) 75分 60分以内 拠点の責任者 月1回 到着の集中する時間帯、予約の使われ方、検品の時間
トラックの台数を減らす 積載率(容積、主要3方面) 60% 70% 物流部 月1回 発注のロット、急ぎの発注の件数、出荷の締め時刻
取引条件を見直す 平均リードタイム(主要取引先) 1日 2日 営業部・物流部 四半期ごと 翌日納品の依頼の件数、取引先との協議の状況

数字は、受付の記録や予約受付システム、倉庫管理システム(WMS)などから出せると、続けて集めやすくなります。最初から仕組みを入れる必要はなく、事例集にも、Excelなど自社でできる手段から始めた例が載っています。データの集め方は物流DXとはで解説しています。

物流効率化法で荷主が扱う数字

定期報告

特定荷主(取扱貨物の重量が年9万トン以上で、国の指定を受けた荷主)は、定期報告で次の内容を報告します。

項目 報告のしかた
荷待ち時間・荷役等時間 対象の施設について、施設ごと・月ごとに、1回の受け渡しあたりの平均を分単位で報告する。切り分けられない場合は合計で報告できる。サンプリングでの計測も可。拠点ごとに荷待ち時間と荷役等時間の合計の平均が1時間未満の場合などは、報告を省略できる
判断基準の取組の状況 数値ではなく、項目ごとに定められた選択肢で答える。発注に関する取組は、ほぼ全ての発注で実施(90%以上)〜実施していない、の4段階など。発注や協議など、答える対象は項目ごとに確認する
効果の把握 トラックドライバーの平均の荷待ち時間を計測・モニタリングしているか(第二種荷主は受け入れるトラックの平均の待機時間の把握)などを答える

出典:国の手引書(特定荷主編)(2026年10月27日確認)

報告の書き方は定期報告書の書き方で整理しています。

中長期計画

国の手引書は、中長期計画を作るために把握しておくデータの例として、平均リードタイムの日数、トラックの輸送量や輸送回数、可能であれば平均積載率や実車率、荷待ち時間(平均・頻度・発生場所)、荷役等時間(1回あたりの平均)を挙げています。積載率を重量と容積のどちらで把握するかなどは、事業者ごとに決めてよいとされています。

数値目標については、可能な範囲で数字で目標を示すことが望ましいとし、「荷待ち時間を平均○分以内に短縮」などの例を示しています。提出前のチェックとして、数値目標が現状の値に照らして妥当かを確かめるよう求めています。中長期計画には今後の取組と目標を書き、取組の実施状況は定期報告で報告します。過去の実績の説明だけで、今後の計画の記載に代えないようにします。書き方は中長期計画書の書き方で整理しています。

すべての荷主に「状況の把握」の努力義務

特定荷主でなくても、判断基準は、荷待ち時間などや貨物の重量の状況と、取組とその効果を適切に把握するよう求めています。解説書は、荷主自身が時間を把握し、どの程度改善が必要かを認識することが重要だとし、デジタル技術などで正確かつ少ない負担で把握することを勧めています。

国の目標(総合物流施策大綱)との対応

2026年3月の総合物流施策大綱は、代表的な指標(KPI)を設定し、その達成状況はCLOなど物流に携わる経営幹部の投資判断の材料として重要だとしています。荷主に関係する主な指標は次のとおりです。

国の指標 現状 2030年度
トラックの積載効率(全国) 41.3%(2024年度) 44%
ドライバー1人あたりの荷待ち・荷役等時間(全国) 年間約750時間(2024年度) 年間625時間
物流データの標準化などで、複数の事業者と連携している荷主の割合(全国) 26%(2025年度) 50%以上

物流効率化法の基本方針は、2028年度(令和10年度)までに、荷主などは1回の受け渡しごとの荷待ち時間と荷役等時間の合計を原則1時間以内とし、業界の特性などのやむを得ない場合を除いて2時間を超えないよう短縮すること、積載効率を全体の車両で44%に増やすことを目標にしています。いずれも全国の目標で、自社の指標と比べるときは、計算の対象や分母がそろっているかを確かめます。

国の「KPI導入の手引き」の指標

国土交通省は2015年7月に「物流事業者におけるKPI導入の手引き」をまとめました。対象は物流事業者ですが、KPIを使うことで、荷主とパートナーとして連携していく素地を形成できるとしています。手引きのもとになった国の調査資料は、指標を「コスト・生産性」「品質」「物流条件・配送条件」などに分け、積載率、実車率、人時生産性(処理ケース数÷投入人時)、誤出荷率、出荷ロット、配送頻度、納品先待機時間などの計算式を示しています。

この資料は、出荷ロットや配送頻度、納品先での待機時間などの「物流条件・配送条件」の指標について、荷主が物流事業者と連携してKPIの管理に取り組む意義があるとしています。これらは荷主の発注や納品の条件で決まる数字だからです。なお、手引きは2015年の物流事業者向けの資料で、物流効率化法の報告の項目とは別のものです。

企業のKPIの例(CLO取組事例集)

経済産業省の「CLO取組事例集 物流改革の実践と成果」(2026年2月時点の情報)には、荷主が設定しているKPIの例が載っています。

  • 日本アクセス(食品卸売):「1時間以上の入荷待機」の発生率を管理し(2時間以上も管理)、2023年12月の4.4%から2025年9月には1.4%に下げています。2027年3月に0.5%以下、2029年3月にゼロを目標にしています
  • ダイキン工業(製造業):積載効率だけで評価せず、車両の積載効率、ドライバーの荷役時間や拘束時間、ユニットロード比率など、多角的なKPIを設定することが重要だとしています。パレットでの輸送で、荷役時間を2時間から20〜40分に短縮した例が紹介されています
  • 梅の花グループ(外食):「まずは可視化から」を合言葉に、Excelなど自社でできる手段で、データを集めることから始めています

事例集は、新任のCLOが最初に見る数字の例として、全社の物流費(月次)、1時間以上の荷待ちの発生率や荷待ち時間の長い拠点、トラックの稼働台数と積載率(容積・重量どちらかでも可)、ユニットロード比率、安全の指標などを挙げています。

社内の体制と見直しの進め方は物流改善の進め方で解説しています。

倉庫内の設備・システムの見直しをAPTに相談する

荷待ち・荷役の時間や出荷の生産性といったKPIは、拠点の中の作業や設備の状態に大きく左右されます。KPIで課題の拠点が分かっても、原因が作業の流れにあるのか、設備やシステムの能力にあるのかは、現場を見ないと分からないことがあります。

APTは、メーカーを問わない物流エンジニアリング会社として、倉庫の課題の整理から、既設の自動倉庫やコンベアのリニューアル、倉庫管理システム(WMS)・設備の制御システム(WCS)の更新まで支援しています。課題が出ている拠点と工程、今つかんでいる数字をもとに、作業と設備・システムのどこに原因があるかの整理からご相談いただけます。進め方の実例は導入事例をご覧ください。

よくある質問

物流KPIとは何ですか。
物流の業務の状態を数字で見て、改善につなげるための指標です。国土交通省の「物流事業者におけるKPI導入の手引き」(2015年)のもとになった資料は、積載率、実車率、誤出荷率、納品先での待機時間などの指標と計算式を例として挙げています。
特定荷主は、定期報告でどんな数字を報告しますか。
対象の施設について、施設ごと・月ごとの、1回の受け渡しあたりの平均の荷待ち時間と荷役等時間(分)を報告します。荷待ち時間と荷役等時間を切り分けられない場合は、合計で報告できます。サンプリングでの計測や、条件を満たす拠点の報告の省略も定められています。
定期報告の荷待ち時間は、どんな場合に省略できますか。
国の手引書では、拠点ごとに1か月間(またはサンプリング期間)を通じた、1回の受け渡しあたりの荷待ち時間と荷役等時間の合計の平均が1時間未満の場合などに、報告を省略できるとされています。荷待ち時間だけが1時間未満でも、合計が1時間を超えれば報告が必要です。
積載率や積載効率は、定期報告で報告する必要がありますか。
数値を報告する欄はありません。定期報告では、積載効率の向上の取組をどの程度実施しているかを報告します。中長期計画の準備では、可能であれば平均積載率や実車率を把握することが例として挙げられており、重量と容積のどちらで把握するかは事業者が決められます。
中長期計画に数値目標は必要ですか。
必須ではありませんが、国の手引書は、可能な範囲で数字で目標を示すことが望ましいとしています。提出前のチェックとして、数値目標が現状の値に照らして妥当かを確かめるよう求めています。
荷待ち時間の目標は、何時間にすればよいですか。
国の基本方針は、荷主などは1回の受け渡しごとの荷待ち時間と荷役等時間の合計を原則1時間以内とし、業界の特性などのやむを得ない場合を除いて2時間を超えないよう短縮するものとしています。荷待ち時間だけでなく、荷役等時間との合計で見る点に注意してください。
国のKPI導入の手引きは、荷主も使えますか。
参考になります。ただし2015年の物流事業者向けの資料で、物流効率化法の報告の項目とは別のものです。手引きのもとになった国の調査資料は、出荷ロット、配送頻度、納品先での待機時間などの指標について、荷主が物流事業者と連携してKPIの管理に取り組む意義があるとしています。

出典

制度の内容の最終確認日:

制度の内容は変わることがあります。最新の情報は出典のページでご確認ください。

自社の拠点に当てはめて考えたいときは

現状を伺い、優先して確認すべき拠点・データ・改善テーマを整理します。資料の準備は不要です。