共同配送(共同輸配送)とは?メリット・デメリット、進め方と独占禁止法の注意点【荷主向け】
経営層向けの要点
- 共同配送(共同輸配送)とは、複数の企業の荷物を、同じトラックや物流施設を使ってまとめて運ぶ取組です。法令で定められた言葉ではなく、国の資料では「配送の共同化」「輸配送の共同化」などとも書かれます。トラックの積載効率を上げる手段として、国が推進しています。
- 物流効率化法の荷主の判断基準は、荷主に共同配送そのものを義務づけてはいません。求めているのは、運送事業者が他の荷物との積み合わせや配送の共同化をできるよう、必要な時間(リードタイム)を確保することです。
- 競合他社と組む場合も、公正取引委員会は、共同物流は生産や販売の共同化に比べて独占禁止法上問題となる可能性が低いとしています。ただし、参加する企業の市場シェア、販売価格や数量などの情報を交換・共有しないこと、参加が自由であることなどが考慮され、競争が実質的に制限される場合は問題となります。
共同配送とは、複数の企業の荷物を、同じトラックや物流施設を使ってまとめて運ぶ取組です。1社だけでは荷台が埋まらない輸送でも、ほかの企業の荷物と合わせることで、トラックの台数を減らし、荷台を有効に使えます。
「共同配送」は法令で定められた言葉ではありません。国の資料でも「配送の共同化」「輸配送の共同化」「共同輸配送」などの表記が混在しています。公正取引委員会は、特定の地域向けの配送の共通化や、特定の地域での物流施設の共同利用を「共同物流」と呼んでいます。この記事では、複数の企業の荷物の配送を共同で行うことを「共同配送」、拠点の間の輸送も含めて共同で行うことを「共同輸配送」として説明します。
この記事では、荷主が共同配送を検討するときに知っておきたい、物流効率化法での位置づけ、進め方、独占禁止法の注意点、国の支援を整理します。
なぜ今、共同配送が求められているのか
トラックが運べる能力に対して実際にどれだけ運べているかを示す積載効率(積載率×実車率。空で走る区間も含めて計算します)は、国の総合物流施策大綱(2026年3月)によると、2019年度の37.7%から2024年度は41.3%に上がりましたが、前の大綱の目標の50%には届いていません。新しい大綱は、2030年度に44%にする指標を掲げています。大綱は、ほかの事業者と連携した共同輸配送や、帰り荷の確保を進める必要があるとしています。
物流効率化法の基本方針も、2028年度(令和10年度)までに、5割の車両で積載効率50%、全体の車両で44%を目指すとしています。トラックドライバーが足りなくなる中で、1台のトラックで運ぶ荷物を増やすことが求められています。背景は物流の2030年問題とはで解説しています。
共同配送のメリットとデメリット
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | トラックの台数を減らせる。荷物が少ない地域や時期でも運送を確保しやすくなる。CO2を減らせる。運送事業者の負担が減り、取引を続けてもらいやすくなる |
| デメリット | 納品の時間や回数を、ほかの参加企業と合わせる必要がある。荷姿や伝票、データの形式をそろえる手間がかかる。費用の分け方や、情報の扱いを取り決める必要がある |
効果は、集配の経路や荷物の量、増える作業によって変わります。遠回りや積み替えで、かえって費用や時間が増えることもあるため、始める前と後の総費用と輸送の条件を比べて判断します。
物流効率化法で荷主に求められること
判断基準は、共同化に必要なリードタイムの確保を求めている
2025年4月から、すべての荷主に、積載効率の向上などに努める義務(努力義務)がかかっています。主に発荷主に当たる第一種荷主の判断基準は、次のように定めています。
- 運送事業者が、他の荷物との積み合わせ、配送の共同化、帰りのトラックへの荷物の積み込みなどをするのに必要な時間を把握する
- その時間を確保できるよう、荷物を受け渡す日時を決める
判断基準の解説書は、積載効率を上げるにはトラック事業者が積み合わせや共同配送、帰り荷の確保に取り組むことが必要で、そのためには荷主の協力が必要だと説明しています。つまり荷主に求められているのは、共同配送そのものより、運送事業者が荷物をまとめられるだけのリードタイムを確保することです。
主に着荷主に当たる第二種荷主には、第一種荷主から受け渡しの日時について相談があったときに、必要な協力をすることが求められています。
中長期計画・定期報告での扱い
国の「中長期計画作成に当たってのポイント」(2026年10月)は、積載効率の点検項目として、実際に運ぶ運送事業者が貨物の積み合わせや共同配送、帰り荷の確保に取り組めるよう留意しているかを挙げています。国の手引書には、中長期計画の記載例として「○○社と共同配送を開始しトラック台数削減」なども載っています。
定期報告で荷待ち時間を測るときの扱いは次のとおりです。
- 複数の荷主が共同で利用する施設(共同配送センターや倉庫の区画の賃借など)は、責任の切り分けが難しいため、計測の対象から除くことができる。ただし、できる範囲で施設全体の状況を関係する事業者と共有し、短縮に努めることが望ましい(国の手引書)
- 共同輸配送の施設での荷待ち時間・荷役等時間は、全体を関係する事業者が把握して短縮に努めることが望ましいが、自社の分を切り分けて短縮に努めることもできる(国のQ&A)
これらは定期報告での荷待ち時間の計測の扱いで、特定荷主に当たるかを判断する取扱貨物の重量の数え方とは別です。計測の範囲の決め方は荷待ち時間・荷役等時間の計測方法で、計画と報告の書き方は中長期計画書の書き方と定期報告書の書き方で整理しています。
共同配送の主な形
| 形 | 内容の例 |
|---|---|
| 同じ業種での共同配送 | 同業の企業が、同じ届け先(小売店など)への配送をまとめる |
| 異なる業種での共同配送 | 荷物の重さや大きさが違う企業どうしで、荷台を上手に埋める |
| 拠点間の共同輸送 | 長距離の幹線輸送を、複数の企業でまとめる。鉄道や船と組み合わせることもある(モーダルシフトとは) |
| 物流施設の共同利用 | 共同配送センターや倉庫を、複数の企業で使う |
| 帰り荷の確保 | 届けた後の帰りのトラックに、別の企業の荷物を積む |
国は将来に向けて、規格をそろえた荷物を、多くの企業が倉庫やトラックを共有して運ぶ「フィジカルインターネット」も目指しています(フィジカルインターネットとは)。
荷主が共同配送を進める手順
国の資料をもとに、APTが整理した進め方の例です。法令で決められた手順ではありません。
- 自社の輸送を把握する:届け先・地域ごとに、量、回数、荷姿、トラックの積載の状況を一覧にします
- 組む相手を探す:同じ地域・同じ届け先に運んでいる企業を、運送事業者や業界団体、取引先と相談して探します。運送事業者がすでに行っている共同配送のサービスを使う方法もあり、この場合は相手探しや運行の仕組みづくりを運送事業者に任せられます
- 条件をそろえる:納品の日時や回数、荷姿(パレットの規格など)、伝票やデータの形式を合わせます。実際には、各社でパレットの大きさや伝票の形式が違うことが、共同化の大きな障壁になりやすいところです。国の認定申請の手引きの事例でも、納品伝票や出荷指示のデータを統一することで、納品先の荷受けの作業が軽くなったとされています
- 費用の分け方と情報の扱いを決める:運賃の分け方、事故や遅れのときの対応、ほかの参加企業の情報をどう扱うかを、書面で取り決めます
- 試して、測る:一部の地域や荷物で試し、トラックの台数、積載効率、荷待ちの時間、費用の変化を確かめます
- 本格的に始め、見直す:特定荷主は中長期計画に書き、毎年の定期報告で結果を確かめます
データの形式は、国の「物流情報標準ガイドライン」に合わせておくと、相手が変わっても連携しやすくなります(物流DXとは)。
競合他社と組むときの独占禁止法の注意点
共同物流は「問題となる可能性が低い」
公正取引委員会の「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(2026年1月改定)は、共同物流について次のように説明しています。
- 共同物流は、物流業務を調達する事業者の主たる事業に付随するもので、価格などの重要な競争手段に影響を与えることが少ないため、生産や販売の共同化に比べて独占禁止法上問題となる可能性が低い
- ただし、物流サービスの調達や、共同物流の対象の商品の販売で、競争が実質的に制限される場合は問題となる
公正取引委員会が考慮する主な点
| 考慮する点 | 内容 |
|---|---|
| 1. 物流の調達でのシェア | 共同物流に参加する企業の、物流業務の調達での市場シェアや、ほかの競争者の存在 |
| 2. 物流費の割合 | 商品の販売でのシェアが高い場合に、商品の供給にかかる費用のうち共同物流の費用が占める割合 |
| 3. 販売での独立した活動 | 商品の販売価格や数量などの情報を、参加企業の間で交換・共有しないこと |
| 4. 参加が自由であること | 共同物流への参加が自由で、制限されていないこと |
2の割合が低い場合は、共同物流が商品の価格や数量に影響を与えるものではなく、独占禁止法上問題となる可能性は低いとされています。これらは満たせば必ず問題がないというチェックリストではなく、取組の目的や内容、市場への影響を総合的に見て判断されます。
実務で気をつけること
公正取引委員会の相談事例では、問題とならないとされた取組で、次のような工夫がとられています。
- 運送事業者が荷物の量で按分した運賃を計算し、参加する各社に個別に請求する
- 運送事業者が参加する各社と、知り得た情報を社外と共有・交換しない旨の条項を含む秘密保持の契約を結ぶ
- 取組への参加を自由にする
配送に必要な出荷の量などの情報も、誰が、何のために、どこまで使うかを決め、ほかの参加企業や自社の営業部門に流れないようにしておくことが大切です。判断に迷う場合は、公正取引委員会の事前相談の制度を使えます。原則として、申出書を受け取ってから30日以内(追加の資料を求められた場合は、すべての資料を受け取ってから30日以内)に書面で回答するとされています。申し出た事業者の名前と、相談・回答の内容は原則として公表されます。
なお、物流効率化法の総合効率化計画の認定を受けても、独占禁止法の適用が除外されるわけではありません。
使える国の制度
総合効率化計画の認定
物流効率化法には、2者以上が連携して輸送の合理化などを行う「総合効率化計画」を国が認定する仕組みがあり、輸配送の共同化は対象の1つです。国の認定申請の手引きでは、基本的には法人格が異なる者どうしの連携であることが求められています。
自社の配送だけをしていた企業が、ほかの企業の荷物を請け負って一緒に運ぶ場合は、貨物自動車運送事業の許可が必要です。認定の申請と一緒に許可の審査に必要な書類を出すと、認定と同時に許可を受けられる特例があります。このほか、認定を受けた計画にもとづく倉庫などへの税制の特例や、融資などの支援があります。税制の特例の内容と期限は税制の改正で変わるため、申請の前に国土交通省のページで確認してください。なお、特定荷主が国に出す「中長期計画」とは別の制度です。
補助事業は年度ごとに変わる
共同配送を対象に含む国の補助事業は、年度ごとに公募されています。名前、金額、公募の時期は年度によって変わるため、国土交通省の物流効率化推進事業のページなどで最新の情報を確認してください。
拠点の側で準備できること
共同配送では、ほかの企業と荷姿や納品の時間を合わせます。拠点でパレットの規格をそろえる、出荷の準備を決まった時間に終えられるようにする、出荷のデータを標準の形式で出せるようにする、といった準備が前提になります。拠点の中の作業の見直しは物流改善の進め方で整理しています。
倉庫内の設備・システムの見直しをAPTに相談する
共同配送を始めると、ほかの企業に合わせて出荷の時刻や荷姿、出荷のデータの形式を変える必要が出てきます。拠点の作業や設備が、その変化に追いつけるかを確かめておくことが大切です。
APTは、メーカーを問わない物流エンジニアリング会社として、倉庫の課題の整理から、既設の自動倉庫やコンベアのリニューアル、倉庫管理システム(WMS)・設備の制御システム(WCS)の更新まで支援しています。共同配送の相手探しや運送の手配は行っていませんが、出荷の時刻・荷姿・出荷データをそろえるための、拠点の中の作業と設備・システムの見直しからご相談いただけます。進め方の実例は導入事例をご覧ください。
よくある質問
- 共同配送と共同輸配送は、何が違うのですか。
- どちらも法令で定義された言葉ではなく、国の資料でも「配送の共同化」「輸配送の共同化」「共同輸配送」などの表記が混在しています。届け先への配送だけでなく、拠点の間の輸送や物流施設の利用をまとめる取組も含めて、複数の企業で物流を共同で行うことを指して使われています。
- 物流効率化法で、荷主は共同配送をしなければなりませんか。
- いいえ、義務ではありません。荷主の判断基準は、運送事業者が他の荷物との積み合わせや配送の共同化、帰り荷の確保などをするのに必要な時間を把握し、その時間を確保して受け渡しの日時を決めることを求めています。判断基準に書かれた取組によらなくても、別の方法が有効であれば構いません。
- 競合他社と共同配送をすると、独占禁止法違反になりますか。
- 公正取引委員会は、共同物流は物流業務を調達する事業者の主たる事業に付随するもので、価格などの重要な競争手段に影響を与えることが少ないため、生産や販売の共同化に比べて独占禁止法上問題となる可能性が低いとしています。ただし、参加者の市場シェアが高い場合や、価格・数量の情報を交換・共有する場合、参加を制限する場合などは、問題となることがあります。
- 独占禁止法上問題がないか、事前に確認する方法はありますか。
- 公正取引委員会には事前相談の制度があり、原則として、事前相談の申出書を受け取ってから30日以内に書面で回答するとされています。追加の資料を求められた場合は、すべての資料を受け取ってから30日以内です。申し出た事業者の名前と、相談・回答の内容は原則として公表されます。
- 共同配送の費用は、どう分ければよいですか。
- 国が一般的なルールとして示した分け方はありません。公正取引委員会の相談事例には、運送事業者が荷物の量で按分した運賃を計算し、参加する各社に個別に請求する方法が載っています。どの方法にするかは、参加する企業と運送事業者で取り決めます。
- 共同配送センターでの荷待ち時間は、定期報告でどう扱いますか。
- 国の手引書は、複数の荷主が共同で利用する施設(共同配送センターや倉庫の区画の賃借など)は、責任の切り分けが難しいため、計測の対象から除くことができるとしています。ただし、できる範囲で施設全体の荷待ちの状況を関係する事業者と共有し、短縮に努めることが望ましいとされています。これは定期報告での荷待ち時間の計測の扱いで、特定荷主に当たるかを判断する取扱貨物の重量の数え方とは別の話です。
- 自社のトラックで、ほかの会社の荷物を運んでもよいですか。
- ほかの会社の荷物を、対価を受け取って運ぶ事業を行う場合は、貨物自動車運送事業の許可などが必要です。自社のトラックで共同配送を始める前に、契約や対価、運び方を整理して、地方運輸局などに確認してください。物流効率化法の総合効率化計画の認定の申請と一緒に許可の審査に必要な書類を出すと、認定と同時に許可を受けられる特例もあります。
出典
- 国土交通省・経済産業省・農林水産省「荷主の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化に関する判断の基準の解説書」第1.4版(2026年3月30日)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 「貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化の推進に関する基本的な方針」(令和7年農林水産省・経済産業省・国土交通省告示第1号)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 公正取引委員会「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(令和5年3月31日策定、令和8年1月1日改定)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 公正取引委員会「独占禁止法に関する相談事例集(令和6年度)事例2 医療用医薬品卸売事業者による中山間地域等向け配送の共同化」(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 公正取引委員会「相談事例集 共同配送関連相談」(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 国土交通省「『総合効率化計画』認定申請の手引き」(令和7年4月改訂版)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 経済産業省「『物流効率化法』対応の手引書 —中長期計画・定期報告等の記載ガイドほか— 特定荷主編」第1.1版(2026年4月)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」Q&A(令和8年3月)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 「総合物流施策大綱(2026年度〜2030年度)」(2026年3月31日 閣議決定)本文(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 国土交通省・経済産業省・農林水産省「中長期計画作成に当たってのポイント」(2026年10月5日)(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 公正取引委員会「事業者等の活動に係る事前相談制度」(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
- 国土交通省「物流効率化推進事業(モーダルシフト等)」(新しいタブで開きます)(2026年10月27日閲覧)
制度の内容の最終確認日:
制度の内容は変わることがあります。最新の情報は出典のページでご確認ください。