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AMRとは?AGV・GTPとの違いについて解説

AMRとは?AGV・GTPとの違いについて解説

近年の物流倉庫では、省人化によるコスト削減や生産性の向上が大きな課題です。このような背景からも、倉庫内の搬送業務を自動化させる流れが進んでおり、そこで注目されているのが「AMR(自律走行搬送ロボット)」です。

なお、多くの倉庫で導入されている搬送ロボットには、AMR以外にも、「AGV(無人搬送車)」や「GTP(棚搬送型ロボット)」などが存在し、導入を検討するにあたり、それぞれの違いがわからず困っている人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、AMRがどのようなロボットなのかを紹介するとともに、AGVやGTPなど類似のものとの違いについても解説します。また、これらの搬送ロボットを導入することによって、具体的にどのようなメリットがあるのかも紹介しますので、導入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
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AMR・AGV・GTPとは?

倉庫内業務を自動化させるロボットには、さまざまな名称が付いています。特にAMR・AGV・GTPの3種類については、表記だけでなく意味合いも似ているため、混同してしまっている人が多いのが実情です。
まずは、AMR・AGV・GTPそれぞれのロボットの特徴について確認していきましょう。

AMR

AMRとは「Autonomous Mobile Robot」の頭文字をとった略称で、日本語表記にすると「自律走行搬送ロボット」とも呼ばれています。

この後で紹介するAGVが誘導体を必要とするのと異なり、AMRは誘導体無しで、AIやセンサーによる自立走行が可能な搬送用ロボットです。そのため、床面に誘導体を設置する必要がなく、より自由度の高い搬送が可能となります。このことから、AMRはAGVとの差別化のため、「非ガイド走行方式AGV」と呼称される場合もあります。

AGV

AGVとは「Automatic Guides Vehicle」の頭文字をとった略称で、「無人搬送車」や「自動搬送ロボット」などとも呼ばれています。前述のAMRが誘導体無しでの自律走行が可能なのに対し、AGVは走行するために、搬送経路上に誘導体を設置する必要があります。

なお、走行経路に設置する誘導体には「電磁誘導式」「光学誘導式」「画像誘導式」など、さまざまな種類があります。いずれの場合においても、AGVは誘導体が設置された経路上を走行する無人搬送ロボットなので、導入する際には搬送経路などのレイアウト設計が重要になります。

GTP

GTPとは「Goods To Person」の頭文字をとった略称で、「棚搬送型ロボット」や「棚流動型ロボット」などとも呼ばれています。GTPは、ピッキングを担当する作業者のいる場所や、棚入れをする場所まで直接荷物を運んできてくれるロボットです。

従来の人によるピッキング作業の場合、移動が多い点が作業効率を低下させる原因でした。しかし、GTPを導入すれば、作業者が個々の棚にピッキングに向かう必要が無くなるため、移動の必要が省け、作業効率を大きく向上させることが可能となります。

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AMR・AGV・GTPの違い

AMR・AGV・GTPなどの搬送ロボットを導入する場合、それぞれの違いを理解しておく必要があります。

そこで、ここからはAMR・AGV・GTPの走行方式や導入設置コストにおける違いについて確認していきましょう。

走行方式

多くのAMRでは、走行方式にSLAMと呼ばれるレーザー方式が採用されています。SLAMとは「Simultaneous Localization and Mapping」の略称で、レーザーによる自己位置推定と環境地図作成をすることによって、障害物を回避しながらの自律走行を実現させることができます。

一方、AGVの場合は、誘導体をガイドとした走行方式となります。そのため、導入の際には誘導体を床面に設置することが前提となります。誘導体には、磁気テープや二次元コードなどを活用することが多いです。

GTPの場合は、自律移動式に分類されるため、走行方式自体はAMRと同様です。ただし、GTPロボットの動くことが可能な範囲は、あらかじめ設定されたロボット専用エリアに限られます。

導入設置コスト

AMRを導入する場合、ロボット側で周辺環境の認識が行えるため、誘導体の設置も必要なく、レイアウト認識も短い時間で完了できます。そのため、導入にあたって必要な作業は少なく、その点でのコストはあまり多くかからない傾向にあります。

その一方、AGVを導入する場合には、誘導体を床面や天井などの走行を予定する経路上に設置しなければなりません。そのため、どのような走行経路を形作るかという、レイアウト設計が非常に重要なものとなり、設計や設置にかかるコストは上がってしまいがちです。

なお、GTPについては、走行方式等はAMRと同じで自立移動式のため、レイアウト設計等は必要なく、その点でのコストはAMR同様あまりかかりません。しかし、GTP導入の際にはロボットだけでなく、専用の棚を設置する必要があります。そのため、全体で見ると設置コストはAMRよりも多くかかってしまう傾向にあります。

AMR・AGV・GTPを導入するメリット

AMR・AGV・GTPを導入するメリット

取り扱う商品や荷物の多様化が進んでいる現在、倉庫内業務を自動化させるロボットを導入することには、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。

ここからは、AMR・AGV・GTPのそれぞれについて、導入することによって得られるメリットを確認していきましょう。

業務効率のアップ

AMR・AGV・GTPなどのロボットを導入することによって、倉庫内で人が荷物を運搬する必要性がなくなるため、作業員の負担が軽減できる上に、業務効率を向上させることができます。

たとえば、GTPは棚ごと商品を持ってきてくれるため、従来のピッキング作業で必要だった該当商品を探すための移動が省略でき、より効率的にピッキング作業をこなすことができるようになります。

また、ロボットの場合は、人間と違って作業効率がモチベーションに左右されることもありません。そのため、安定した業務品質を維持することができ、結果的に業務効率の向上が見込めます。

省人化で人手不足も解消

現在の日本社会では、少子化による労働力不足が問題となっています。その影響は物流業界も例外ではなく、今後作業のための人員確保がより重大な課題となってくるのは明らかでしょう。こういった背景からも、人に依存する必要のない環境を構築するため、AMR・AGV・GTPなどの導入が進んでいます。

特にAMRのような協働ロボットなどは、経路を問わずに倉庫内を移動し、人と協力する形で搬送作業を行うことが可能です。そのため、倉庫内を省人化し、より少ない人員での業務維持を実現させることができます。また、ロボットによる運搬はコンピュータシステムで稼働することから、ミスが生じにくいです。そのため、ヒューマンエラーが大幅に削減でき、作業効率の向上が見込めます。

スペースの有効活用

これまで、倉庫の自動化施策と言えば、コンベヤーなどの荷物運搬設備を導入することが主流でした。しかし、このような設備は大幅なスペースを確保しなければならず、隙間などの空いた箇所がデッドスペースになってしまうなどのデメリットも多く見られます。

一方で、自動搬送ロボットの場合は、導入するにあたって台座などの設備を置く必要がなく、スペースをより広く使うことができます。また、設備を設置するコストを省くこともできるため、コンベヤーなどに比べて導入コストを抑えることができる点も大きなメリットとして挙げられます。

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まとめ

少子化による人手不足の問題は、人材確保を難航させる大きな要因です。今後その影響は日に日に大きくなっていくでしょう。そのため近年では、今後拡大する人手不足を解消するため、AMRやAGV、GTPなどの自動搬送ロボットの導入が注目されています。

また新型コロナウイルスによる感染予防対策の観点からも、ロボットの活用は重要な施策の一つと言えるでしょう。ただし、AMR・AGV・GTPはそれぞれに特徴が異なっているため、導入の際は目的に合ったものを選ぶ必要があります。

今回紹介した内容を参考に、導入コストや導入後の運用なども鑑み、適切な自動搬送ロボットを選びましょう。

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この記事の筆者

株式会社APT

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世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。