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AGV(無人搬送車)の種類や選び方について徹底解説
効率化が求められている倉庫内搬送の業務において、昨今は自動化の流れが加速しています。なかでも、AGV(無人搬送車)を用いた搬送フローの構築は、物流業界や製造業界を中心に多く普及しているといえるでしょう。
そこで本記事では、AGV(無人搬送車)の種類やそれぞれの特徴について詳しく解説します。また、AGVを導入する際の選び方についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
AGV(無人搬送車)とは
AGV(無人搬送車)とは、荷物を自動で運ぶことができる搬送ロボットです。コンベアやフォークリフトに代わる搬送手段として注目を浴びている搬送設備で、物流倉庫や製造工場に多く導入されています。
AGVは誘導体に沿って移動する仕組みで、コンベアのように設備が固定されてしまうことがなく、倉庫や工場内のレイアウトを自由に決定できるメリットがあります。なお、AGVの誘導方式には、床面に設置した磁気テープをガイドラインにして走行する磁気誘導方式や、2次元バーコードを読み取って走行するランドマーク方式などがあります。
関連記事:AGV(無人搬送車)とは?その仕組みと導入するメリットも解説
AGV(無人搬送車)の種類
AGV(無人搬送車)というのは、大きく6つの搬送方法によって種類が分類されています。AGVの種類によってそれぞれ特徴が異なるため、自社にとって適切な種類を選ぶことが非常に重要です。
そこでここからは、AGV(無人搬送車)の代表的な種類とその特徴について詳しく解説します。
積載型
積載型に分類されるAGV(無人搬送車)は、搬送物を台車に乗せて移動するタイプになります。一般的な倉庫などでも使われている手押し台車のような形状をしているAGVが多く、主に段ボールやコンテナボックスなどを運ぶのに最適です。
荷物を積み込む方法には、人の手を介して積み込む手動積載方式と、コンベアなどの搬送機械と連携して積み込む自動積載方式などがあります。工場内における部品の搬送など、これまで人が運んでいた作業を代替できる手段として活用できます。
低床型
低床型に分類されるAGV(無人搬送車)は、パレットや商品などを積んでいる棚の下に潜り込んで搬送するタイプになります。棚ごと商品や部品などを運ぶことができるので、棚にある製品を別の搬送機械へ積み替える必要がありません。
棚に車輪がなく移動することができない場合についても、低床型のAGVを用いることで簡単に移動させることができます。商品を個別に搬送するのではなく、棚やパレットごと移動させたいケースに適しているタイプといえるでしょう。
牽引型
牽引型に分類されるAGV(無人搬送車)は、その名の通り荷物を載せた台車などを牽引して搬送させるタイプになります。さまざまな荷物を載せた荷台を連結して移動させることもできるので、複数の製品を大量に運びたい様なケースにも適しています。
また、牽引型のAGVは数百キロの重量に対応しているタイプから、数トンと非常に重量のある荷物も牽引できるタイプまで幅広く販売されています。そのため、荷姿や量に応じて最適なタイプを選ぶことができます。
重量型
重量型に分類されるAGV(無人搬送車)は、数十トンに及ぶ重量物を搬送することが可能なタイプになります。軽量な荷物を運ぶAGVとは違い、重量物の取り扱い用に作られているため、駆動方式もバッテリー駆動以外にディーゼルエンジン方式なども存在します。
重量型の種類も非常に豊富で、数トンに対応しているAGVもあれば、数百トンに対応している超重量タイプなども存在します。そのため、搬送物の重量に合わせて最適な重量型を選ぶことが重要です。
屋外型
屋外型に分類されるAGV(無人搬送車)は、その名の通り屋外環境でも利用できるタイプになります。例えば、工場の建屋間を搬送するケースなど、構内の整備された路面だけでなく、凹凸の激しい路面でも搬送することができます。
また、屋外型は雨天にも対応しているため、AGVが雨に濡れてしまっても故障することはありません。傾斜の激しい場所も搬送できるので、広い構内から構外まで無人搬送を構築したい場合に最適です。
特殊型
特殊型に分類されるAGV(無人搬送車)は、用途に合わせてカスタマイズするタイプになります。自社の求める用途に合わせてカスタマイズを行うため、オーダーメイドタイプともいえるでしょう。
例えば、屋外型のAGVにルーフ部分(屋根)を取り付けるといったカスタマイズも可能です。カスタマイズの内容は多岐にわたるため、用途に合ったタイプを導入しましょう。
ライントレース式(誘導式)
ライントレース式AGVは、磁気テープや電磁誘導ケーブル、光反射テープなどを利用して、走行ルートが決定されます。センサーによってルートが高い精度で読み込まれるため、直進や停止が正確です。このタイプのAGVは誘導式とも呼ばれます。
自律移動式
自律移動型AGVは、自分の位置を推定し、走行を制御する機能を備えており、誘導体などがなくても目的地に移動できる走行方式です。床にテープを貼れない現場や、棚などの設備の配置が頻繁に変わる環境では特に、活躍しています。
追従式
追従式AGVは、自律移動型の一種で、先行する車両に追従して移動する走行方式です。事前に経路を設定する必要がなく、柔軟な運搬が求められる現場で効果を発揮します。
AGV(無人搬送車)の導入メリット
ここではAGV(無人搬送車)を導入するメリットについて説明します。
生産性の向上
AGVの導入により、かつては人が行っていた荷物の運搬作業が自動化されます。これにより、従業員は工場や倉庫内を歩いて移動する必要がなくなるので、生産性も向上します。さらに、AGVは24時間稼働可能であり、生産ラインの停止時間を最小限に抑えることもできます。
安全性の向上
重量物の運搬が自動化されることで、人間(作業者)の負担が軽減されます。AGV自体もセンサーによって障害物を回避しながら走行するため、接触事故などのリスクが低減されます。
コスト削減
AGVの導入により、運搬作業や人員の教育にかかる費用や、作業者の装備費用などのコストが削減されます。AGVの導入初期費用はかかりますが、長期的には総合的な運搬コストが削減されるため、大きなメリットとなります。
生産性の可視化
AGVはネットワークで接続されており、運搬状況をリアルタイムで把握することが可能です。また、稼働状況や周辺データの取得もできるため、運搬作業の生産性を可視化することが容易になります。
AGV(無人搬送車)の選び方
自社の運用方法に適したAGV(無人搬送車)を選ぶためには、以下のようなポイントに注意して選別しましょう。
- 対応している重量で選ぶ
- 使用する環境で選ぶ
- 搬送物の形状で選ぶ
- カスタマイズ可能かどうかで選ぶ
ここからは、AGV(無人搬送車)を選ぶ際に重要なポイントについて解説します。
対応している重量で選ぶ
AGV(無人搬送車)を選ぶ際に重要なポイントの一つ目は、搬送する荷物の重量に対応しているかどうかという点です。AGVは搬送できる重量が予め決まっており、対応重量は機種やタイプによって異なります。
数百キロに対応しているタイプもあれば、数十トンにおよぶ重量物を運べるタイプもあるので、どのような荷物を搬送するのかによって適したタイプを選別することが重要です。
使用する環境で選ぶ
AGV(無人搬送車)を選ぶ際に確認しておきたい点の一つが、使用する環境です。AGVには屋内の使用を想定したタイプと、屋外環境にも対応しているタイプの2種類が存在します。
建屋間搬送のように屋外環境を搬送する場合、屋外型を選択する必要があります。一方、屋内のみで使用を想定している場合については、通常のAGVでも問題がありません。このように、AGVを使用する環境で最適な種類を選ぶ必要があります。
搬送物の形状で選ぶ
搬送工程を無人化するといっても、何を搬送するかによって対応しているAGV(無人搬送車)の種類が異なってきます。例えば、段ボールのような箱を大量に運びたい場合は、牽引型のAGVが適している可能性があります。
また、棚にある商品をピッキングエリアに搬送したい場合、低床型が最適といえるでしょう。このように、どのような商品形状で取り扱いをしたいのかによって、選別するべきAGVの種類が異なってくるということです。
カスタマイズ可能かどうかで選ぶ
自社の想定している使用方法や搬送工程が既製品で対応していない場合、カスタマイズ可能かどうかで選別するのも一つの方法です。例えば、リフター機能が付いたタイプや、フォーク機能付きのAGVなども存在します。
搬送物の形状や利用環境に応じてカスタマイズ可能なAGVを選ぶことで、より業務効率を上げるポイントになります。そのため、既製品で対応が難しい場合は、カスタマイズできるタイプを選びましょう。
まとめ
AGV(無人搬送車)は、搬送工程を自動化できる施策として、物流倉庫や製造工場など多くの場所に導入されています。AGVを活用することで業務効率を大幅に向上させることができるので、積極的にAGVのような自動化施策に取り組むことが重要です。
一方で、ひとくちにAGVといっても多種多様なタイプがあるので、自社の導入環境に適したタイプを選択するようにしましょう。
APTでは、物流倉庫コンサルティングサービスを提供しております。お客様の倉庫状況、お悩み、ご要望、お気軽にご相談ください。自動倉庫運営に長年取り組んできた経験を活かし、お客様に合わせた最適なご提案をいたします。
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この記事の筆者
株式会社APT
世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。
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