倉庫内の限られたスペースを最大限に有効活用するためには、効率的な運用方法を実践する必要があります。一方で、ダブルトランザクションと呼ばれる運用方法がありますが、どのような手法なのかを詳しくは知らないというケースも多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ダブルトランザクションとは何か?を徹底解説します。ダブルトランザクションの仕組みやメリット、導入に際して注意しておきたいポイントなども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ダブルトランザクションとは?
ストックエリアとピッキングエリアの二つのエリアを区分けしてピッキングを行う手法がダブルトランザクションです。商品を保管する場所とピッキング作業の場所を分離することで、業務効率を上げられるメリットがあります。
では、ストックエリアとピッキングエリアにはどのような役割があるのか?ここからは具体的に特徴を解説します。
ストックエリアとは
この場所は、その名の通り荷物や商品を一時的に保管するエリアになります。このエリア・区画では、大きな単位で商品を保管します。
商品の保管のみを目的としているエリアなので、保管効率を考えたレイアウトを採用することができます。例えば、通路の幅を若干狭めて保管効率を上げることもできるので、ピッキング作業に影響することなく保管効率を上げることができます。
ピッキングエリアとは
ピッキングエリアとは、出荷する商品をピッキングするための専用スペースになります。ピッキング効率を重視したエリアとなっているので、商品の保管場所が少ない代わりに作業場所や移動の通路幅も広く確保されている特徴があります。
商品は随時補充されるため、ピッキングに特化したエリアになります。商品を探す手間や移動のロスを極限まで減らすことができるので、ピッキング効率が向上する一面があります。
ダブルトランザクションの仕組み
ダブルトランザクションでは、商品を保管するストックエリアとピッキング作業を行うピッキングエリアでエリアを区分けすることで作業効率を上げる仕組みになっています。ピッキングエリア内にある商品が少なくなると都度補充する運用方法です。
なお、これらのエリアを分割するレイアウト方法は「縦配置」と「横配置」があります。
縦配置とは、ピッキングエリアの上にストックエリアを配置するレイアウトです。縦の空間を利用したレイアウトなので、スペースがあまり確保できないようなケースに適しています。
横配置とは、作業と保管を明確に区分けする平面レイアウト構成になります。縦配置よりも広く空間を利用できるほか、落下による商品破損リスクを低下させることが可能です。
このように目的別にエリアを区分けすることで、ピッキング効率と保管効率をともに向上させることができるわけです。
ダブルトランザクションのメリット
この作業における運用方法には、以下のようなメリットがあります。
- 保管効率の向上
- 作業効率の向上
- 移動距離の短縮
ここからは、上記に挙げた各メリットの詳細について解説します。
保管効率の向上
ダブルトランザクションで運用すれば、従来の運用方法よりも保管効率が向上するメリットがあります。ピッキングと保管場所が混在している運用方法の場合、スペースにも無駄が生じやすい一面があります。
一方で、ダブルトランザクションは商品を保管するエリアと作業エリアを分けるため、保管効率を考えたレイアウト構成にすることができます。そのため、通常よりもロスが生じにくく、保管効率が向上するメリットがあります。
作業効率の向上
ダブルトランザクションで運用することで、ピッキングの作業効率が向上するメリットがあります。商品を保管するストックエリアを別に設けることで、ピッキング作業を行えるスペースを広く確保することができます。
また、通路幅も確保できることからも、移動もしやすく作業効率は向上するでしょう。その他にも、商品を探すためのロスも低減できるため、ピッキング作業全体の効率を向上させることができるメリットがあります。
移動距離の短縮
ダブルトランザクションの運用方法では、ピッキング作業における移動距離の短縮が可能というメリットがあります。ピッキングエリアでは作業に特化した区画として運用するので、無駄な商品探しの移動がなくなる一面があります。
保管場所と作業場所が明確に分かれることで、商品探しの移動距離を短縮して業務効率を上げることができます。また、無駄な移動が少なくなることで、ピッキング作業を行うスタッフの業務負担を軽減できるメリットもあります。
ダブルトランザクションの注意点
この作業における運用を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 在庫管理の徹底
- 作業スペースの確保
- 出荷量が多い場合は不向き
ここからは、ダブルトランザクションを導入する前に周知しておきたい注意点について解説します。
在庫管理の徹底
ダブルトランザクションによる運用を行う際には、在庫管理を徹底しておく必要があります。この運用形態では、ピッキングを行うための商品をストックエリアから補充しなければなりません。
しかし、商品の補充が遅延するとピッキング作業自体も止まってしまうため、業務が遅れてしまうリスクがあるわけです。そのため、ピッキング業務を止めないためにも、在庫管理を徹底してストックエリアからの商品補充を停滞させないことが重要になります。
作業スペースの確保
ストックエリアとピッキングエリアで分けて運用する方法ですが、ピッキング効率を上げるためにもきちんと作業スペースを確保しておくことが重要になります。
例えば、ピッキング作業する際には、移動による無駄をなくした設計にすると効率化を図ることができます。また、倉庫内に十分なスペースを確保できない場合は、横配置ではなく縦配置を採用して作業スペースを確保するのも効果的です。
出荷量が多い場合は不向き
ダブルトランザクションは業務効率を向上できる方法ですが、すべてのケースに当てはまるわけではありません。例えば、出荷量が非常に多いようなケースの場合、ストックエリアから商品を補充する供給量が間に合わないことがあります。
そのため、あまりにも出荷量が多いようなケースでは、ダブルトランザクションによる運用方法では効率化を実現できないこともあります。また、比較的大きい商品を取り扱っているようなケースも、移動によるロスが多くダブルトランザクションは不向きといえるでしょう。
このように、取扱商品や出荷量によってはダブルトランザクションが適していないこともあるので注意しましょう。
以下の記事では自動ピッキングロボットについて詳しく説明しております。
自動ピッキングロボットの種類や導入メリット、デメリットを解説
まとめ
ダブルトランザクションは商品を保管するストックエリアと、ピッキング作業だけに特化した場所で運用する方法です。これにより業務効率が格段に向上するメリットがあります。
一方で、場合によってはダブルトランザクションの運用方法が適していないようなケースも存在します。そのため、自社の運用形態や環境で効果的かどうかを見極めた上で、この運用形態による方法を導入してみましょう。
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