物流業務の改善における物流システムとは?導入事例をご紹介

物流業務というのは、製品の生産から消費者への配送までを担う重要な業務です。特に近年の物流業界は、効率化やスピードアップ、透明性向上などの課題に直面しているため、物流システムの導入が必須といえるでしょう。

この記事では、これらの課題を解決するために役立つ物流システムと、その導入事例をご紹介します。物流システムで業務改善するメリットも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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物流業務の改善における物流システムとは?

物流システムとは、物流業務の効率化やコスト削減、品質向上を目的としたシステムの総称です。物流業務は、製品の生産から消費者への配送までを含む一連のプロセスであり、物流システムはこれらのプロセスを効率的に管理するために開発されています。

物流システムにはさまざまな種類がありますが、システムを統合的に運用することで、物流業務全体の効率化やコスト削減、品質向上が実現されます。また、物流システムは情報の一元化やリアルタイムでのデータ可視化を可能にするので、意思決定の速度と正確性を向上させることができます。

物流改善の考え方・ポイント

物流の現場では人の手による作業領域が大半を占めています。業務や作業環境のあり方には改善の余地が多く残されています。ここでは、物流現場の改善ポイントを紹介します。

人間のミスを少なくする

前述の通り物流の現場では人力による業務が多く、人為的なミス(ヒューマンエラー)が発生することも多いです。特に出荷時に起こりやすく、ピッキングミスや配送先の間違えなどによる誤出荷です。ご集荷は対応やその後の処理に本来必要のないコストと時間がかかり、クレームにも繋がりす。そのため、人為的なミスを防ぐため自動出荷システムなどWMS(倉庫管理システム)を導入するのがおすすめです。

作業を効率化する

受注業務ではスタッフによる受注状況の確認や修正を手作業で行うことも多く、作業効率には限界があります。主に受注、出荷業務、商品の棚卸に時間がかかります。この効率化を図るためにはロケーションの最適化やWMS(倉庫管理システム)や自動搬送システムなどの導入を検討しましょう考えて方がいいでしょう。

ムリ・ムダ・ムラをなくす

物流改善には、業務上発生している3M(ムリ・ムダ・ムラ)をなくすことも重要です。

ムリは能力以上に負荷がかかっている状態です。ムリをして慣れていない業務を遂行しようとすることで、生産性や品質に乱れを生じさせます。

ムダは能力に対して負荷が下回っている状態です。過剰仕入れや不必要な在庫管理は、時間やコスト以外にも様々な”ムダ”を生じさせます。

ムラはムリとムダの両方が混在し、担当者によって作業時間や成果にバラツキが生じている状態です。

コスト削減

物流コストとは商品の移動や取引・処理にかかる全ての費用のことを指します。
物流のコストは大きく分けて「支払い物流コスト」「社内物流コスト」2種類があります。

支払い物流コスト

支払い物流コストとは、トラック、鉄道、航空機、船舶などを利用する際の運賃や倉庫の利用料、包装などを社外へ委託した際にかかる費用のことです。
例えば自社でトラックや倉庫を所有していない場合、外部に配送や保管に関してアウトソーシングをしている時にかかったコストです。

社内物流コスト

社内物流コストとは、自社内で発生するコストの総称です。「社内輸送費」「社内保管費」「社内梱包費」などに分類されます。自社の人件費や倉庫の利用費なども社内物流コストに含まれます。

支払い物流コストや社内物流コストの見直し・コストの可視化によってコスト削減につながります。

作業工程の管理

以外に業務で気づかない小さな事がトラブルの原因になることもよくあります。そのため、作業プロセスを正確に把握し工程にあるムダを分析することが必要です。
例えば、「どこで誰がどのようなミスをおかしたのか」などの作業記録管理をして、ヒューマンエラーかかシステムの欠陥なのか的確に判断して改善していきます。

業務改善に最適な物流システムの種類

代表的な物流システムには以下のような種類があります。

  • 倉庫管理システム(WMS)
  • 配送管理システム(TMS)
  • 在庫管理システム
  • 運行管理システム

各システムの特徴を理解した上で、自社に必要なシステム選定を行いましょう。ここからは、各システムの特徴を解説します。

倉庫管理システム(WMS)

倉庫管理システム(Warehouse Management System, WMS)とは、倉庫内の業務を効率化し、管理を最適化するために開発されたソフトウェアシステムです。WMSは、在庫管理、ピッキング(商品のピックアップ)、梱包、出荷などの倉庫業務を効率的かつ正確に実行することを目的としています。

倉庫管理システムの主な機能は以下のようなものです。

  • 入出荷管理
  • 在庫管理
  • 棚卸管理
  • 返品管理

倉庫管理システムを導入することで、倉庫業務全体の効率化やコスト削減、品質向上が期待できます。

配送管理システム(TMS)

配送管理システム(Transportation Management System, TMS)とは、物流や配送業務を効率化し、コスト削減やサービス品質向上を目的としたソフトウェアシステムです。運送手段の選定、配送ルートの最適化、運賃計算、配送スケジュール管理など、配送に関する業務を効率的に管理することが可能です。

配送管理システムの主な機能は以下の通りです。

  • 配車計画機能
  • 運賃管理機能
  • 動態管理機能

配送管理システムを導入することで、適切な配送計画を立てることができます。

在庫管理システム

在庫管理システム(Inventory Management System, IMS)とは、企業が在庫を効率的かつ正確に管理することを目的としたソフトウェアシステムです。在庫管理システムは、在庫の保管、移動、発注、棚卸などの在庫管理業務を効率化し、適切な在庫量を維持するために開発されています。

在庫管理システムの主な機能は以下の通りです。

  • 在庫一覧管理
  • 入出庫管理
  • 在庫移動管理
  • ピッキングリスト機能
  • 棚卸機能

在庫管理システムを導入することで、在庫管理業務の効率化やコスト削減、品質向上が期待できます。

運行管理システム

運行管理システムとは、輸送業界や物流業界で使用されるソフトウェアシステムで、運行業務を効率化し、コスト削減やサービス品質向上を目指すものです。運行スケジュールの作成や管理、ドライバーや車両の割り当て、ルート最適化、運行状況の追跡・監視など、運行に関する業務を効率的に管理することを目的としています。

運行管理システムの主な機能は以下の通りです。

  • 運行管理
  • 配車管理
  • 動態管理
  • 安全運転管理
  • 日報作成
  • 運転手台帳

 

運行管理システムを導入することで、運行業務の効率化やコスト削減、品質向上が期待できます。

物流システムで業務改善するメリット

MERIT
物流システムを導入することによって、以下のようなメリットが期待できます。

  • コスト削減
  • 業務効率化
  • 情報管理の最適化
  • 顧客満足度の向上

 

ここからは、業務改善が期待できる物流システムのメリットについて詳しく解説します。

コスト削減

物流システムを導入することで、企業はさまざまな面でコスト削減を実現できます。たとえば、倉庫管理システム(WMS)によって在庫管理が効率化され、過剰在庫や在庫切れのリスクが最小限に抑えられるため、在庫保管コストが削減できるでしょう。

その他にも、配送管理システムや運行管理システムによるルート最適化機能は、燃料費や運行時間を削減し、運送コストを大幅に減らすことができます。また、リアルタイムでのトラフィック情報を活用することで、さらなる業務の効率化が実現されます。

以上の点からも、物流システムの導入は、在庫管理、配送業務、運行管理などの各段階で効率化を促し、コスト削減を実現することが期待できると言えるでしょう。

以下の記事では、物流コスト削減における課題や解決方法について詳しく説明しております。
物流コスト削減における課題は?理由や解決方法を紹介

業務効率化

物流システムの導入は、業務効率化に大きな影響を与えます。たとえば、倉庫管理システム(WMS)は在庫管理業務を効率化し、棚卸しや商品ピッキングの時間短縮が実現できます。また、在庫の正確性が向上し、適切な在庫レベル維持により無駄な在庫を減らすことができるでしょう。

また物流システムは、各部門やプロセス間でデータを統合し、統一された分析やレポーティングが可能になるため、業務改善の機会を見逃さず継続的な効率化が実現できます。業務プロセス全体の効率化が図られるので、企業の競争力向上に寄与することが期待できます。

情報管理の最適化

物流システムの導入は、情報管理の最適化に大きく寄与します。物流業務では、在庫、発注、配送、運行など、さまざまな情報がリアルタイムで発生し、管理が不可欠です。物流システムを活用することで、これらの情報を効果的に一元化し、リアルタイムでの情報共有が可能になります。

また、物流システムは情報管理機能に加えて、データ分析やレポーティング機能が付随します。これにより、過去のデータや業務パターンを分析し、業務改善のための意思決定が容易になるため、情報管理の最適化が行えるメリットがあります。

顧客満足度の向上

物流システムの導入によって、顧客満足度の向上も期待できます。物流業務の効率化や情報管理の最適化が、顧客へのサービス品質を向上させる要因となります。

たとえば、配送管理システムや運行管理システムによる運送ルートの最適化やリアルタイムの情報共有が、配送の迅速化や遅延トラブルの対応力を向上させます。顧客は、予定通りに商品が届くことを期待しているので、適切な配送管理は顧客満足度に直接影響を与えます。

物流システムで業務改善した導入事例を紹介

千葉県で大手お菓子メーカーの配送業務を請け負っている京和興業株式会社にて、配車計画支援システムを導入した事例です。同社では、人手不足により動かせるトラックの台数に限りがあるため、生産性を向上させるのが大きな課題でした。

そこでムダのない配車で積載効率を上げるため、配車計画支援システムを導入しました。これにより、操作性が格段に向上して運送効率が約10%アップしています。手動で入力していたデータも上位システムから送信されるため、データ入力の手間やミスがなくなり、業務品質も向上しました。

まとめ

物流業務の改善における物流システムとは、業務の効率化やコスト削減を実現させるためのシステムになります。なお、物流システムにはWMSやTMSなど、業務内容に合わせてさまざまなシステムがあります。

そのため、物流システムを導入する際には、各システムの特徴を正しく理解した上で検討しましょう。

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この記事の筆者

株式会社APT

株式会社APT

世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。

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