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ロジスティクス戦略とは?CLO法制化に向けた策定のポイントを解説

ロジスティクス戦略

近年はEC市場の拡大、グローバルサプライチェーンの複雑化、人手不足や環境規制の強化など、物流を取り巻く環境は急速に変化しています。企業が競争力を維持し、効率的かつ持続可能な供給網を構築するためには、戦略的なロジスティクスの導入が重要です。

そこで本記事では、ロジスティクス戦略の基本やCLO法制化の背景と影響を解説します。企業が今後どのようにロジスティクス戦略を策定し、CLO制度に対応していくべきか紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ロジスティクス戦略とは?

物流業界は EC市場の拡大や消費者ニーズの多様化、人手不足に環境規制の強化など、多くの課題に直面しています。こうした変化に対応するためには、単なる輸送や倉庫管理の改善ではなく、企業全体の経営戦略と連携した ロジスティクス戦略の策定が大切です。

そこでここからは、ロジスティクスの基本的な概念やその重要性について詳しく解説します。

ロジスティクスとは?

ロジスティクスとは、物資の調達、保管、輸送、流通加工などの一連のプロセスを最適化し、効率的に管理する活動を指します。物流と混同されがちですが、ロジスティクスは原材料の調達から最終消費者への商品供給までを戦略的に管理する点で、物流より広範な概念です。

ロジスティクス戦略の目的は以下の通りです。

・供給チェーンの最適化

・コスト削減

・顧客満足度の向上

需要予測と供給計画を連携させ、適切な量の商品を適切なタイミングで供給するマネジメントを実施します。また、輸送・保管・在庫管理の無駄を省き、総コストを最適化する目的もあります。

なお、これらの活動を通して迅速かつ正確な配送を実現することで、サービスレベルを向上させ顧客満足度を向上させる目的もあります。現代のビジネス環境では、グローバルなサプライチェーンの発展に伴っているため、ロジスティクスの戦略的な役割がますます重要になっています。

ロジスティクス戦略の重要性

ロジスティクス戦略は、企業が競争力を強化し、持続可能な成長を遂げる上で欠かせない要素です。具体的には、以下のような点でその重要性が高まっています。

・市場競争力の強化

・環境負荷の低減

・デジタル化の推進

近年、ECの台頭やグローバル市場の拡大により、物流のスピードと柔軟性が企業の競争力に直結するようになっています。適切なロジスティクス戦略を策定することで、リードタイムの短縮や在庫回転率の向上を実現し、競争優位性を確立できます。

また、サステナビリティ(持続可能性)が企業経営において重要な課題となる中、ロジスティクス戦略は環境負荷の軽減にも貢献します。カーボンニュートラルを目指した輸送の最適化や、エネルギー効率の高い倉庫運営が求められています。

なお、AIやIoT、ビッグデータなどの技術を活用した物流DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むことで、ロジスティクスはより高度な管理が可能になっています。リアルタイムでの在庫管理、需要予測の精度向上などがその代表例ともいえます。

ロジスティクス戦略の主要な要素

ロジスティクス戦略を構築する際には、以下の主要要素を考慮する必要があります。

・輸送の最適化

・在庫管理の精度向上

・倉庫戦略の最適化

・物流DXの活用

輸送の最適化には、ルート最適化やモーダルシフト の活用が欠かせません。例えば、システムを活用した配送計画により、最短ルートを算出して燃料コストやCO₂排出量を削減できます。

また、適正在庫の維持は物流コスト削減と顧客満足度向上の両面で重要です。例えば、倉庫管理システム(WMS) を導入することで、倉庫内の在庫状況を可視化し、迅速な補充や最適なタイミングで発注を行い適正在庫を維持できます。

WMSとは ?基幹システムとの違いやメリットを紹介

倉庫戦略の最適化では、自動倉庫やロボティクス技術の活用によって省人化と作業効率向上を実現させることができます。例えば、都市部ならマイクロフルフィルメントセンター(MFC) を導入し、小規模な倉庫を分散配置することで即日配送やラストワンマイルの効率化を実現できます。

デジタル技術を活用した物流DXは、ロジスティクス戦略の中核を担う要素です。例えば、AIを活用した配送計画の自動最適化や、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による事務作業の自動化により業務の効率化が可能です。

CLO(Chief Logistics Officer)法制化とは?

企業のロジスティクス管理がますます重要視される中、CLO(Chief Logistics Officer、最高物流責任者) の役割が注目を集めています。物流業界の人手不足や環境規制の強化、サプライチェーンリスクの増大に対応するため、企業はより高度なロジスティクスマネジメントが求められています。

そこでここからは、CLOの役割や必要性、法制化の背景について詳しく解説します。

CLOの役割

CLO(Chief Logistics Officer)は、企業の物流・ロジスティクス戦略を統括する最高責任者です。従来の物流管理者と異なり、CLOは企業の経営戦略の一環として、サプライチェーン全体を最適化する役割を担います。

主な役割は以下の通りです。

・ロジスティクス戦略の策定と推進

・サプライチェーン全体の最適化

・物流効率化の推進

・コスト削減と生産性向上

・リスク管理

・持続可能性の推進

・顧客満足度の向上

・新技術の導入

このようにCLOは企業の物流機能を戦略的に管理し、効率化、コスト削減、リスク管理、持続可能性、顧客満足度の向上を実現する重要な役割を担っています。

CLO法制化の背景

CLO法制化の背景には、以下のような要因が挙げられます。

・物流の2024年問題

・労働力不足

・物流効率化の必要性

・グローバル化とデジタル技術の発展

・サプライチェーンにおけるリスク管理

・環境規制の強化

物流業界では労働力不足が深刻化しており、より戦略的な人材管理が求められています。また、自然災害や地政学リスクによる供給網の混乱も想定できることからも、ロジスティクスの強化が必要不可欠といえます。

さらに昨今ではCO₂排出量削減の取り組みが加速しており、ロジスティクスの環境負荷低減が企業に求められていることも挙げられます。

これらの背景を受けて、2024年5月に流通業務総合効率化法が改正され、特定事業者の荷主にCLO(物流統括管理者)の設置が義務づけられました。

CLO(物流統括管理者)とは?義務化に対応するためのポイントを解説

CLO法制化に向けたロジスティクス戦略の策定ポイント

CLO法制化に向けたロジスティクス戦略の策定ポイント

以下のポイントが、CLO法制化に向けたロジスティクス戦略の策定において重要になります。

・KPIの設定

・物流DXの活用

・サステナビリティ対応

企業のロジスティクス戦略を評価するためには、輸送効率(配送時間・燃料使用量)や在庫回転率、物流コスト削減率などのKPIを設定し、定量的な管理を行うことが必要です。

また、デジタル技術やAIによる需要予測、IoTを活用した貨物追跡、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による業務の自動化を推進することで、物流業務の効率化と精度向上を実現できます。

環境規制の強化を見据え、EVトラックの導入やエネルギー効率の高い倉庫運営、カーボンニュートラルへの取り組みなどを強化し、持続可能なロジスティクスを目指す必要もあるでしょう。

まとめ

ロジスティクス戦略は、企業の競争力を左右する重要な要素であるため、輸送の最適化や物流DXなどを通じて効率化を図ることが重要です。特にCLOの法制化によって、企業はより戦略的なロジスティクス管理を求められるようになるでしょう。

そのため、さまざまな取り組みを実行し、ロジスティクス全体の最適化を図ることが大切です。

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株式会社APT

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世界を舞台に経済を動かしている物流、その流れの中心にある倉庫において、従来型のマテハン設備は多くのメリットもありながら、時代に合わせた進化に適応できず、物流のボトルネックとなることもありました。APTはこれまで培ったノウハウを武器に、大胆で先進的でありながら、お客様に寄り添ったユーザーフレンドリーなマテハン設備やシステムの提案を行うことで、価値とコストの適正化を図り、倉庫で働く全ての人を笑顔にしたい。APTは臆することなく、泥臭く挑戦を続けていきます。