
シャープ製PLC(JWシリーズ)生産終了|制御更新の進め方とリスクガイド
【この記事の結論】
- シャープ製PLC「JWシリーズ」は2024年6月に全製品生産終了。
- 保守サービスは生産終了後7年間が目安(全製品生産終了の2024年6月起算では〜2031年6月頃まで。機種により時期は前後します)。
- 故障時の部品調達困難化に備え、計画的な制御更新の検討を推奨。
- APTでは機械系はそのまま、制御盤のみを更新する「制御更新(PLC更新)」を提供。
シャープ株式会社(以下、シャープ)が製造・販売していたPLC「JWシリーズ」は、2024年6月をもって全製品の生産が終了しました(出典:シャープ株式会社 公式Webサイト)。
自動倉庫やスタッカークレーンをはじめとする産業設備に広く採用されてきたJWシリーズですが、生産終了後も現役で稼働している設備は少なくありません。弊社APTにも「そろそろ対応を考えなければ」「故障したときが不安」というご相談が増えています。
この記事では、JWシリーズ生産終了の経緯と現状リスク、そして制御更新という選択肢の具体的な進め方について解説します。
目次
この記事で分かること
- JWシリーズ生産終了の経緯と、現在の保守サービス状況
- シャープ製PLCを使い続けた場合に想定されるリスク
- 制御更新(PLC更新・PLCリプレイス)の具体的な進め方
- 対応を検討すべきタイミングのチェックリスト
- よくある質問への回答
制御更新(PLC更新・PLCリプレイス)とは
制御更新とは、設備の機械部分を活かしたままPLCや制御盤など制御系のみを更新する方法です。設備全体の入れ替えと比較して工期・費用を抑えられることが多く、生産終了PLCを搭載した設備の延命策として採用されるケースが増えています。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 予備品交換(旧PLC付替) | 即時対応できる、費用が低い | 延命のみで根本解決にならない |
| 制御更新(PLC更新・PLCリプレイス) | 長期運用を見据えられる、機械系は流用できる | 工事・プログラム移行が必要 |
| 設備全面更新 | 最新設備に移行できる | 高額、工期が長い |
※本記事およびAPTが提供する「制御更新」は、上表中の「制御更新(PLC更新・PLCリプレイス)」に該当します。
▶ 自動倉庫の全面更新と部分更新(リニューアル)の費用・判断基準を比較する
シャープ製PLC(JWシリーズ)生産終了の経緯と現状
JWシリーズの生産終了は段階的に進みました。2021年頃から一部機種の受注・販売終了が始まり、2024年6月に全製品の生産終了が完了しています(出典:シャープ株式会社 公式Webサイト)。
シャープは公式資料において、対象製品の生産終了後7年間を目安として保守サービスを実施する旨を案内しています(出典:シャープ株式会社 公式Webサイト)。ただし、機種によって目安期間が異なる場合があるほか、目安期間内であっても半導体等の基幹部品の調達困難により修理対応が難しくなるケースがあることも、同資料内で言及されています。
また、シャープはJWシリーズの生産終了にともない、後継機種のご紹介やリプレイスに関する情報を公式サイトで案内しています。メーカーからもこうした更新に関する案内が行われていることから、設備側でも計画的な対応が求められる局面に入っていると言えます。
現在のシャープ製PLC設備について、まずは状況確認からご相談いただけます。
シャープ製PLCを使い続けるリスク
「今のところ正常に動いているから大丈夫」と感じている方も多いと思います。しかし、生産終了した既設PLCを搭載した設備を使い続けることには、いくつかのリスクが伴います。
なお、シャープの保守サービス期間内であれば、まずはメーカー窓口へのご相談が第一選択となります。本記事は、保守期間終了を見据えた中長期的な設備計画の一助としてお読みください。
純正交換部品の調達が困難になる可能性がある
故障時にJWシリーズの純正交換部品が入手できるかどうかは、市中在庫の残量に依存します。現時点では流通在庫が存在するケースもありますが、年数が経つにつれて調達が困難になる可能性があります。設備が止まってから部品を探し始めても、対応できない状況になりかねません。
予備品による延命には限界がある
手持ちの旧PLCを予備品として持っておくことは、短期的な延命策として有効です。しかし予備品にも寿命があり、いずれは底をつきます。また、予備品に交換する際のプログラム移行作業にも、JWシリーズを熟知した技術者が必要になります。
保守経験を持つ技術者が減少していくことが予想される
JWシリーズは既に新規導入がなくなっているため、今後は経験のある技術者が市場から徐々に減少していくことが予想されます。いざ故障が発生したとき、対応できる技術者を探すこと自体が難しくなる可能性があります。実際にそのようなご相談をいただくケースもあります。
APTが行う制御更新(PLC更新)の具体的な方法
APTでは、JWシリーズから三菱電機製PLCへの制御更新を手がけてきました。以下に、APTが行う更新の特徴をご説明します。
三菱電機製PLCへの置き換え
APTが制御更新に三菱電機製PLCを採用するケースが多い理由は、同製品が国内市場で広く採用されており、部品や保守に対応できる技術者を確保しやすい環境があるためです。現行シリーズで長期運用を見据えやすく、更新後も継続的な保守体制を整えやすいことを重視しています。
なお、APTは特定メーカーのPLCを一律に指定してご提案するのではなく、設備の構成や運用状況、将来の保守性などを踏まえて最適な構成をご提案しています。三菱電機製PLCを採用するケースが多いものの、設備条件に応じて他メーカーを選定する場合もあります。
上位管理システムも含めた一括対応
自動倉庫には、PLCの上位に在庫管理や搬送指示を行う管理システムが存在するケースがほとんどです。APTでは上位管理システムが老朽化している場合、APT製システムへの置き換えをPLC更新と同時に実施することができます。制御層と管理層をまとめてリニューアルすることで、更新後の責任範囲を一本化できます。
機械系はそのまま、制御だけを更新する
スタッカークレーンや棚などの機械系設備が正常に動いている場合、設備全体を入れ替える必要はありません。APTでは「機械系はそのまま、制御だけを更新する」アプローチを基本としており、設備投資を最小限に抑えながらリスクを解消することができます。
更新後の保守・メンテ・オンコールも一括対応
更新工事が完了した後も、APTが保守・定期メンテナンス・緊急時のオンコール対応を継続して担います。「更新したはいいが、その後の保守がどこに頼めばいいか分からない」という状況にならないよう、運用フェーズまで一貫してお付き合いします。
対応を検討すべきタイミングの目安
以下のいずれかに当てはまる場合は、早めに制御更新の検討を始めることをお勧めします。
- JWシリーズの予備品(手持ちの交換用PLC)が底をついてきた
- 最近、設備のエラーや誤動作が増えてきた
- 現在の保守会社から「部品が取れなくなってきた」と言われた
- 設備の導入から15年以上が経過している
- 保守契約の更新時期が近づいており、継続可否を問われている
いずれも「今すぐ止まる」サインではないかもしれません。しかし、制御更新は計画・設計・工事・テストまでに一定の期間が必要です。「故障してから検討する」では間に合わないケースもあるため、余裕のあるうちに動き始めることが重要です。
チェックリストが気になった方は、まずお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 手持ちの予備品(旧シャープ製PLC)がまだあります。それでも更新を検討すべきですか?
予備品がある間は運用を継続できますが、その予備品も消耗品であり、いずれは底をつきます。また、予備品交換のたびに対応できる技術者を確保する必要があります。予備品があるうちに更新計画を立てることで、スケジュールや予算の調整がしやすくなります。まずはご相談ください。
Q. PLCだけ更新できますか?上位の管理システムも変える必要がありますか?
上位管理システムが正常に稼働しており、PLCとのインターフェース仕様が確認できる場合は、PLCのみの更新も対応可能です。一方、上位システムも老朽化している場合や仕様が不明瞭な場合は、同時更新をお勧めするケースがあります。設備の状況に応じてご提案しますので、まずは現状をお聞かせください。
Q. 工場を稼働させたまま工事できますか?
設備の停止期間を最小化する工事計画を立てることは可能です。ただし、制御盤の交換・配線・プログラム移行には一定の停止時間が必要です。工期・停止時間の目安は設備の規模や構成によって異なりますので、お問い合わせの際に設備の概要をお知らせいただければ、おおよその見通しをご案内できます。
Q. 更新にはどのくらいの期間がかかりますか?
設備の規模・構成によって異なりますが、設計・製作・工事・試運転まで含めると数か月程度を見込むケースが多いです。まずは設備の状況をヒアリングした上で、スケジュールをご提案します。
Q. 更新後の保守は誰が対応しますか?
APTが引き続き保守・メンテナンス・オンコール対応を担当します。更新工事を行ったAPTが保守も担うため、設備の構成や変更履歴を熟知した状態でサポートできます。保守契約の内容についても、設備の規模や稼働状況に合わせてご相談いただけます。
Q. 他社がすでに保守している設備でも相談できますか?
はい、対応可能です。現在の保守会社では更新工事まで対応範囲に含まれないケースもあり、そのようなご相談をいただくことがあります。現在の保守会社との契約状況や設備の仕様を確認した上で、対応範囲についてご提案します。
まとめ
シャープ製PLC(JWシリーズ)の生産終了は、設備を使い続けるうえで無視できないリスクをはらんでいます。部品調達の困難化、予備品の枯渇、対応技術者の減少——実際にそのようなご相談をいただくケースもあります。
APTでは、JWシリーズから三菱電機製PLCへの制御更新を、上位管理システムの置き換えから更新後の保守まで一括でご支援しています。「まだ動いているが、そろそろ考えたい」という段階のご相談から承っています。
設備を止めないために、今から動き始めることをお勧めします。
※「JWシリーズ」はシャープ株式会社の、「MELSEC」は三菱電機株式会社の商標または登録商標です。その他記載されている会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。
※本記事は各社との提携・推奨・認証を受けたものではありません。


